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「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」

日時: 2016/10/10 21:57
名前: 敗北者

【概要】
ポケガイ民が理想の力(オリジナルも既存作品からのも)と容姿を手に入れ、二次元世界に生まれ変わる。力を使って戦いを繰り広げたり、二次元ヒロインと出会って生き抜いていく物語である。

【あらすじ】
ポケガイ住民のとある青年は、ある日呆気なくその短い生涯を閉じる。次に彼が目を覚ますと、そこは憧れの二次元世界だった。理想の力と容姿を手に入れた青年は様々な出会いと戦いを繰り返して生き抜いていく。

ロック/修正

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Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.148 )

日時: 2016/10/11 00:05
名前: 敗北者

ユニコーンに変化したエイジスの魔力が更に上昇し、李信の霊圧とぶつかり合い、弾け合いを繰り返して熱気と冷気が見渡す限りの地平と空を二分し支配する。

「最大出力!究極魔法・コキュートス!」

「残火の太刀 北 天地灰燼」

エイジスの角の先からコキュートスが李信に集中して伸びていく。
残火の太刀から天にも届く爆炎が沸き起こり李信はそれをエイジスに向けて上段の構えから振り下ろす。
究極魔法と最強の卍解の激突は天変地異を起こし、辺りの地面は地割れを起こす。地割れが起こったそれぞれの場所からは溶岩と、溢れた冷気が作り出した氷塊が冷水と共に噴水のように噴き出す。

爆炎の霊圧と冷気の魔力が混じり合い、2人はお互いにその膨張した力による反発に巻き込まれた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.149 )

日時: 2016/10/11 00:09
名前: 敗北者

あまりに激しいぶつかり合いで反発した二つの力はお互いに混じり合い、相殺された。
力を使い果たした2人が相殺された炎熱と冷気が消滅することで、お互いに視認出来るようになる。

李信は斬魄刀の解放や虚(ホロウ)化が解除され、眼帯も左目に装着されている。エイジスは変化の魔法が解け人の姿に戻っていた。
お互いに傷つき睨み合い、どちらが倒れるかという思いで気力のみで立っている。

「エイジス、貴様の負けだ。俺には崩玉の力がある。傷は塞がる。」

崩玉の効果で李信の傷が塞がっていく。 しかし李信の体に異変が起きる。体の内側から冷気が溢れ、李信の体を下半身から氷漬けにしていく。

「…!」

李信が目を丸くし絶句する。

「俺が打ち込んだ冷凍の矢(フリージングアロー)の効果が残っていたようだな。」

「どういうことだ!」

「フリージングアローは冷気と共に自分自身の魔力そのものを塊にして矢とする技。お前の体に打ち込んだ俺の魔力が時間を経て今発動したのさ。」

エイジスがニヤリと笑う。李信の体は胸まで凍っている。更に氷は体に広がっていく。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.150 )

日時: 2016/10/11 00:10
名前: 敗北者

「もうお前に抗する力は無い。俺の勝ちだ。」

エイジスが静かに李信に言葉をかける。氷は李信の首や腕にまで及んでいた。

「馬鹿な!こんな筈があるか!こんな…筈が!この俺が貴様のような、女相手に臭い茶番を演じる軟弱な男などに!」

「お前には人との繋がりが無い。俺は帰りを待つ人の為に戦った。お前の独り善がりな戦いとは違う。それがお前の敗因だ。」

エイジスが最後と言わんばかりに李信に呟く。

「俺はこんなところで終わらんぞ!必ずここから這い出てお前の喉元に刃を突きつけに来る!それまで…」

言いかけたところで氷が顔を覆い、全身が氷漬けにされていた。

「絶対零度の氷だ。力を出し尽くして余力も無い。もう生きてはいないだろう。」

「やりましたよ…団長!」

氷漬けになって動かない李信に見せつけるように、エイジスは拳を握り締めて天に突き上げた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.151 )

日時: 2016/10/11 00:11
名前: 敗北者

小銭が張った固有結界が解除され、水素、他のグリーン軍達が元の世界に足を着ける。

「これは…フェンリル、お前がやったんだな。」

氷漬けにされた李信を見つけ、水素がエイジスに言うまでもないことを口にする。

「そうだ。絶対零度の氷だ。もうそいつは助からない。だが俺は力を使い果たした。お前にすぐに発見されることは分かっていた筈なのにな。」

エイジスはそう答えると天を仰ぎ見て呟く。

「すいません、やっぱ俺約束果たせそうにありません。」

諦めの顔だった。全てを出し尽くして宿敵を倒した達成感と、生きて帰るという約束を果たせない悔しさで複雑な気分で胸が溢れる。

「行けよ。」

殺されると覚悟していたエイジスに、思いがけない言葉を耳が捉える。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.152 )

日時: 2016/10/11 00:11
名前: 敗北者

「お前、今なんて…」

「行けよって言ったんだ。待ってる人が居るんだろ?」

耳を疑い確かめるエイジスに水素が押すように答える。

「俺を見逃すってのか?」

「これはお前とこいつの男同士の真剣勝負だ。俺も、そして他の誰にも水を差す権利はねえ。俺は自分のヒーローとしての誇りを貫く。だからお前も約束を守って騎士としての誇りを貫け。」

水素がいつになく真剣な眼差しで語る。

「すまん、恩に着るぜ。だがそれはそれだ。次会ったらその時は敵としてお前を全力で叩き潰す。」

エイジスはそう言うと背を向けて歩き出した。

「俺も次会ったら容赦はしない。無敵の俺にはお前でも勝てないさ。その時まで人生をせいぜい楽しむんだな。」

水素はエイジスの背にそう声をかけると氷漬けになった李信を持ち上げて右肩に担いで王都の方へ足を踏み出した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.153 )

日時: 2016/10/11 00:13
名前: 敗北者

「直江の奴、負けやがったのかだっせえなあ。」

固有結界から出てきた小銭が、氷漬けになった李信を担いでくる水素に合流した。グリーン軍の全軍が国門に戻り集結していた。

「こいつはあの漫画の能力や技を全て手に入れて強くなってたと思ったが上には上がいるもんだな。俺は最強無敵だけど。」

「へえ、つかこいつ死んじゃったの?」

「さあな。2人の勝負だし、合戦は終わってたから今回は敢えて手を出さなかったけどこれは生きてるか分かんねえ。」

変わり果てた李信の姿を見たグリーン軍の中にはは戦に勝ったにも関わらず複雑な顔を浮かべる者も居た。

「とにかくこの氷は取り除かないとな。よいしょっと。」

水素が担いでいた氷漬けの李信を地面に置くと右の拳を叩きつけて氷を破壊する。

「奇跡だ。息はしてるぞ!脈もまだある!まだ助かる!」

水素が李信の状態を確かめる。意識は無い。だが、かなり弱まっているものの脈もあり、息もあった。

「マジかよ!?早く病院へ!」

「言われなくてもそのつもりだ!」

一部を除いて湧き上がるグリーン軍を尻目に、水素と小銭は急いでその場を去っていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.154 )

日時: 2016/10/11 00:14
名前: 敗北者

戦は、終わった。

グリーン軍の圧倒的勝利で幕を閉じたのである。ガルガイド軍は兵の過半数を失い、更に国王を討ち取られるという大敗北を喫した。

あの激戦から1日が経過していた。

グリーン軍を勝利に導いた男は、他の将兵と勝利の喜びに浸ることなく、病院の一室で生死の境を彷徨っていた。

「まさか勝ち戦の最大の立役者がね…。俺にクレイジーダイヤモンドが使えれば治せるんだが、全ての力を目覚めさせるにはまだ時間がかかる。」

星屑は水素、小銭と共に見舞いに来ていた。

「予め川の堤や油が用意されてとは言え、無い知恵絞って上手くやったな。意識を取り戻すといいんだが。」

「試合に勝って勝負に負けたってところだな。こいつ強いと思ってたんだが。」

水素の呟きに小銭が口を開く。

「相手が強過ぎたんじゃねえの?どんな奴かよく分からないけど。」

星屑が割って入る。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.155 )

日時: 2016/10/11 00:15
名前: 敗北者

激戦で疲れ果てたエイジスは、木の枝を拾い杖代わりにしながら気力で足を前に前に進み、ボロボロの姿で明後日の午前2時過ぎに王都ガルドリアの隅の門に到着した。

「エイジス・リブレッシャーだ。門を開けてくれ。」

門番に身分証を提示すると門は開かれた。

「疲れた…早く家に…帰らないと…こんなところでは寝られない!」

激戦を制してここまで歩いてきた体が疲労の限界を迎え、意識が朦朧とする。

「もう…駄目だ」

気力だけで立って歩いていた体が俯せに倒れようとした時である。何者かがエイジスの体を抱き抱えた。

「あ、あれ?なんだろうこれ。凄く暖かい…。」

「良く…帰ってきたわね。」

エイジスが上を見上げると、帰りを待つと約束してくれた人の顔がそこにはあった。

「どうして…こんな遅くに

「ずっと待ってたわよ。私だけじゃないわ。」

横に振り向くと、いつも見慣れた少女が2人、涙を浮かべてエイジスを見ていた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.156 )

日時: 2016/10/11 00:16
名前: 敗北者

「この馬鹿!何でこんな無茶したのよ!」

リーナが駆け寄ってエイジスを抱き締める。

「だって…こうしなきゃ国もみんなも守れなかったんだ。だから俺は騎士として、男として全力で戦ったんだ。」

そして咲も目に浮かべた涙を溢れさせてエイジスに抱きつく。

「無事で本当に良かった!エイジス君に何かあったら私は!」

「本当よ?貴方、私の頬を張ったこと忘れてないでしょうね?」

「忘れてません。俺はどんな罰でも受けます。」

エイジスが蹌踉めく体を支えられながらエリスにしたあの時のことを思い出す。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.157 )

日時: 2016/10/11 00:17
名前: 敗北者

「ちゃんと生きて帰って来てくれたから許すわ。これからも宜しく頼むわね。」

エリスの顔が柔和なものに変わる。

「はい!何処までも!」

「あーあ。何か妬けるわねー。見せつけてくれちゃってさ。私達も居るだけど。」

リーナが頬を膨らませて怒る。

「そうだよー。ちゃんと一緒に待ってた私達のことも忘れないでよね!」

「ごめんごめん、さあ帰ろうか。もうこれ以上歩けないや。」

2人に謝りつつ、エリスに肩を抱き抱えながら体を起こすエイジス。

しかし、王を失ったこの国が衰退するのは誰もが感じていた。ガルガイド王国をどう維持していくか、騎士達は新たな戦いの渦に巻き込まれることになる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.158 )

日時: 2016/10/11 00:18
名前: 敗北者

エイジスがガルドリアに帰還した翌日朝、グリーンバレーにある病院の一室で1人の男が静かに目を覚ました。

「ここは病院か…俺は生きているんだな。」

「やっと起きたか。お前2日間ずっと寝てたんだぜ。」

意識を取り戻した李信の目に映ったのは水素の姿だった。

「俺は…負けたのか…。」

「フェンリルにはな。でも戦には勝った。」

水素が淡々と事実を肯定する。

「フェンリルに負けた。この俺がだ。しかし命を落とさなかったのは幸いだ。奴は俺が死んだと思い込んでるだろう。」

「今は復讐のことは考えるな。これから論功だぞ。お前ちょうどいい時に起きたな。支度しろ。どうせ崩玉で傷は無いだろ。」

水素が李信の刀をベッドの脇から取って手渡す。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.159 )

日時: 2016/10/11 00:19
名前: 敗北者

グリーン城大広間では論功行賞の為に大勢の将士が集まってきていた。

「静粛にー!」

ざわめく大広間をぐり~ん2号が制した。

「国王陛下のおなーりー!」

ぐり~ん2号の大広間に響く大声でぐり~んが入室し王座に腰を下ろすと、並み居る将士が一斉にひれ伏した。

「これより論功行賞を始める!まず第一功、小銭!」

ぐり~ん2号に名前を呼ばれて驚きつつも小銭が立ち上がる。

「我が軍が兵力差と敵軍の精強さに苦戦を覚悟していたところをこの者は5万もの援軍を出現させて形成を一変させ、勝利を大いに貢献させた!よってこの者を第一功として賞する!小銭、前へ!」

王の前に出た小銭が一礼し、両手を差し出す。

「小銭には王都の城下に屋敷を与え、王国領内のグリグリーンと3000000Zを与える!」

恩賞の内容が書かれた書類がぐり~んから小銭に手渡された。広間から歓声が沸き起こる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.160 )

日時: 2016/10/11 00:20
名前: 敗北者

第二功は8000の兵を率いて敵本陣を奇襲したアティーク将軍であり、彼には領地グリンローと2000000Zが与えられた。

第三功が作戦を立てて全軍を指揮した李信だった。城下の屋敷と1000000Zが与えられた。

特別功として李信を守り作戦の遂行を助けた水素とガルガイド国王の首を取った星屑に10000000Zが与えられた。

主だった功労者である5人を除いた者には後日に沙汰があるという。 敵総大将の首を取った星屑は第一功でないことに対する愚痴を零し、第一功に選ばれた小銭は大はしゃぎしていたが、後の5人は可も無く不可も無くという表情で城を後にした。

ともかく、戦いは終わったのである。論功行賞の後、李信、水素、小銭、星屑はぐり~ん直々に戦勝の宴に招かれ、その日の夜は賑やかに更けていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.161 )

日時: 2016/10/11 00:20
名前: 敗北者

「今日は無理な頼みを聞いてくれてまずは礼を言う。」

翌日昼、グリーン王国領内のグリーン大砂漠に水素は李信に呼び出されていた。

「俺と手合わせしたいって?何でまたそんなことを。」

「思えば俺はこの世界に来てから戦績が芳しくない。先日もフェンリルに敗れた。だから今身近で最も強いお前と戦えば何か分かるかもしれん。あわよくば勝てるかもしれん。」

李信が腰の斬魄刀を抜いて上段に構える。

「成る程な。まあでも俺が本気出したらお前死ぬから。加減はするがせいぜい楽しませてくれよな。」

水素が右肩を回しながら歩いて李信と距離を取る。

「行くぞ水素!」

「散れ 千本桜」

李信の斬魄刀が無数の桜色の花びらと舞い散り、水素に向かって波のように押し寄せていく。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.162 )

日時: 2016/10/11 00:22
名前: 敗北者

千本桜が水素に覆い被さる前に水素は残像を作るほどの速さでその場から離れる。

「逃がさん!」

李信が顔に手を翳して虚(ホロウ)の仮面を被ると、瞬速で視界から消えた水素を再び目で追う。

「そこか!」

水素の姿を目で捉えた李信が瞬歩で水素に接近を図る。

「捉えたぞ!破道の九十六 一刀火葬」

自らの左腕を媒体に、刀身状の巨大な火柱が発生する。媒体となり失われた左腕は超速再生で修復された。

「これで少しは…」

言いかけたところで背後に気配を感じ、すぐさま瞬歩でかわした。

「中々いい攻撃だが俺には効かねえな。もっと力を出していいぞ!」

「縛道の六十一 六杖光牢」

李信が鬼道を放つが水素にはすぐに避けられてしまう。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.163 )

日時: 2016/10/11 00:22
名前: 敗北者

「ならば」

「卍解 千本桜景厳」

李信が右手から斬魄刀を離すと地に吸い込まれ、李信の背後に無数の刀身が出現する。刀身は億を数える刃となり、花びらのように舞い散る。

「そんなもんを使っても俺には当たらないぜー。」

億の刃が水素を捉えたように見えてもそれは残像であった。水素はただただ高速で跳び回り花びらの固まりを避けていく。

(手掌で操れば 速度は2倍!)

李信は手掌で億の刃を操る。そして遂に水素の動きを捕捉した。

(捉えた!)

「吭景・千本桜景厳」

千本桜の億の刃が球形になり水素を取り囲み、一気に包み込む。

「何処見てんだ?」

気付かない内に背後に回った水素が振り向き様に李信の肩に触れる。

「はい俺の勝ちー!」

「破道の三十三 双火墜」

李信が左の掌から蒼炎の固まりを直線に飛ばすが水素の姿はすぐに視界から消えた

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.164 )

日時: 2016/10/11 00:24
名前: 敗北者

背後に水素の気配を感じて振り向くが、遅かった。水素の拳が李信の顔面を捉えていた。



李信の頭にその一字が浮かび上がった時、水素の拳は李信の顔面に命中する寸前で止まった。

「終わりだ!飯だ飯!うどん食いに行こうぜ!」

李信の肩を叩くと水素は歩き出した。

李信は水素のあまりの強さに呆然と立ち尽くす。後ろを振り返ると、水素が先程寸止めしたパンチの衝撃波で砂漠の砂が大きく抉れていた。

「この力を手に入れた俺ですら手も足も出ないこの強さ…やはり上には上が居るのか…。」

「どうしたのー?うどん嫌いなのー?」

水素が李信の方に振り返って早く来いと催促する。

「いや、うどんは好きだ。今行く。」

李信は歩き出す。圧倒的力をもってしても敵わない者が存在するということを思い知らされるのであった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.165 )

日時: 2016/10/11 00:31
名前: 敗北者

国王・桑田をグリーン王国との合戦で失ったガルガイド王国では、次期国王の座を巡り後継者争いが勃発しようとしていた。
桑田には実子はおらず2人の養子を迎えていた。隣国・ランドラ帝国の皇族から迎えたサバと、桑田の甥であるかっしーである。
順当にいけば次期国王には王の血族であるかっしーが就任する筈である。しかしサバの後ろにはランドラ帝国があり、サバは桑田の娘であるルイを娶って娘婿となり、サバの勢力は無視出来ないものになっていた。

ガルガイド王国はサバ派とかっしー派に分かれて対立し、真っ二つに割れようとしているのである。

「なあエイジス。お前はサバ様とかっしー様どちらが次期国王に相応しいと思う?」

この日、エイジス宅にはエイジスの同僚であるリキッドが訪ねてきていた。リキッドは実力はあるものの、先日のグリーン王国との合戦の時にはランドラ帝国との国境を警備しており、参加していなかった。

「俺はかっしー様だな。サバ様はお人柄が良くない。傲慢で臣や民を顧みず、自分のことしか考えていない。」

エイジスが憚りもなくはっきりと答えた。

「俺もそう思う。だがサバ様にはランドラ帝国がついてるし、あの男が居るからな。」

リキッドは脳裏にある男の顔を浮かべていた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.166 )

日時: 2016/10/11 00:32
名前: 敗北者

その男とは、ただのハンターである。王国最強の騎士であるエイジスと互角の実力を持つとされ、第六騎士団が新設されるとその団長となった若き実力者であった。

「ただハンとランドラ帝国がついてる限り、かっしー様の王位継承は容易ではないな。」

エイジスが紅茶を啜りながらため息まじりに呟く。

「かっしー様は民からの信望も厚く篤実なお人柄だ。俺達の力で何としてもかっしー様を王位につけなければならん!」

力強くリキッドが主張する。

「しかし、また戦か。グリーン王国に敗れて多くの将兵を失った今、戦をしたらグリーン王国やランドラ帝国に付けいられるぞ。」

「どのみちランドラ帝国とは戦になるだろう。サバ様を王位に就ける為に既に戦支度を始めてるという噂もある。しかしグリーン王国の存在は厄介だな。」

リキッドとエイジスは、この国を取り巻く状況が逼迫していることを改めて思い、頭を抱えていた。
暫く唸った後にリキッドが口を開いた。

「いっそのこと、グリーン王国と和議を結ぶのはどうだろうか?」

「それは…ありえない!」

突然エイジスが机を強く叩いて立ち上がった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.167 )

日時: 2016/10/11 00:33
名前: 敗北者

「私怨か?」

「!」

リキッドに図星を突かれたエイジスが一瞬黙る。

「お前は戦いに参加してないからそんなことが言えるんだリキッド!真っ黒野郎の命令の下、残酷な作戦で多くの仲間が焼け死んだり、岩に押し潰されて死んだんだぞ!それに国王は奴らに打ち取られた!絶対に奴らは許さない!」

「それが良くないぞエイジス。先に攻め込んだのはガルガイドの方だ。グリーンはそれから守ったにすぎない。それに私怨で国事を考えるな。過去ではなく未来を見ろ。ランドラとグリーンを両方敵に回して俺達は勝てるか?」

「…。」

激昂するエイジスをリキッドが宥めると、エイジスは再び口を閉じたまま黙り込む。そんなことは分かっているが、やはり割り切れない気持ちがエイジスにはあった。

「少し考えさせてくれ。」

暫くするとエイジスが言った。

「例え俺が待っても時は待ってくれない。大人になるんだな。ごちそうになった。」

そう言うとリキッドはエイジス宅を後にした。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.168 )

日時: 2016/10/11 00:34
名前: 敗北者

事態は風雲急を告げる。

その夜、かっしー派の大臣Lパッチと第六騎士団長のぷろふら重要人物達がLパッチ邸で密議を行っていた。

「速やかにガルドリア城の金蔵を抑え、軍資金を得るべきだ。」

「食料庫もだ。兵糧を抑えればこちらが一気に優位に立つことが出来る。」

Lパッチの提案にぷろふが賛意を示す。

「グリーン王国との和睦交渉はどうする?」

「俺が責任を持って進める。抑えた金蔵の金でグリーン王国との和議を結び、援軍を要請する。」

ぷろふの質問に答えるLパッチ。水面下で事は動こうとしていたのである。

かっしー派の動きは早かった。翌日夜、かっしー派のぷろふや平行が兵を率いてガルドリア城の金蔵と食料庫を占拠し、ガルドリア城の二ノ丸にかっしーを迎えたのだ。

これによりかっしー派とサバ派の対立は決定的なものとなった。

「皆、余への忠義による行い、誠に大儀である。」

二ノ丸の大広間にかっしー派の将士が集まり、かっしーが上座に着座する。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.169 )

日時: 2016/10/11 00:34
名前: 敗北者

「この王国を他所者であるサバなどに渡す気は毛頭無い。皆、余の為いやこの国の為に力を尽くして欲しい。」

かっしーの言葉にぷろふが感極まって立ち上がる。

「良くぞご決意なされましたかっしー様!この国の王は貴方様を置いて他にありません!このぷろふぃーる、身命を賭してかっしー様にお仕えすることをお誓い申し上げます!」

「右に同ーじ!」「同じく!」「同じく!」「お味方致す!」

ぷろふに平行や他の将も続く。かっしー派の結束は高まったのである。

「かっしー様、抑えた金蔵の金を使い、グリーン王国と和議…あわよくば盟を結びます。グリーン王国が味方になればランドラ帝国とも互角に戦えます。」

かっしーの傍に控える大臣Lパッチが発言した。かっしーは首を縦に振って頷いた。

「皆の者、頼んだぞ!」

かっしー派の気勢は否が応でも高まり、サバ派を一歩出し抜いたのである。

「かっしー様、第二騎士団が馳せ参じましてございます!」

「おお!」

更なる味方の来着で湧き上がる大広間であった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.170 )

日時: 2016/10/11 00:35
名前: 敗北者

ガルドリア城の金蔵と食料庫を占拠されたサバは激怒した。

「この副管理人…いや、この俺を差し置いて王になろうなどと!俺よりも才覚の無いかっしー如きが!」

「サバ様、一先ずこの城を捨てましょう!金も食料も無ければ戦えません!」

「おのれかっしー!必ず貴様を殺して俺が王になってやる!」

第五騎士団長フクナガや堂明元師の軍勢に伴われてサバは城から脱出し王都を出た。そして王都に程近いクワータリア城に入った。

サバ軍とかっしー軍の戦いが始まった。王国各地の騎士や豪族達がサバ派とかっしー派に分かれて各地で戦支度を始める事態になった。

このサバ軍とかっしー軍の「クワータリアの乱」はやがて隣国のランドラとグリーンを巻き込む大乱に発展するのである。

かっしー陣営では第二騎士団が馳せ参じてきていた。

「先のグリーン王国との戦いで負傷したエリス・グリモワールに代わり、このエイジス・リブレッシャーが第二騎士団400、兵3500を率いて罷り越しました。かっしー様の為、この身を捧げ戦う所存でございます。」

「よく来たエイジス!頼りにしているぞ!」

「はっ!」

かっしーはエイジスの手を取って歓迎した。王都とガルドリア城を抑え、更なる味方を得たかっしー派の士気は大きな高ぶりを見せたのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.171 )

日時: 2016/10/11 00:36
名前: 敗北者

グリーン王国 グリーン城にはガルガイド王国の内乱の報がもたらされていた。

「ガルガイドで王位を巡る内乱か…ご苦労であった。下がって良い。」

「はっ!」

伝令を下がらせたぐり〜んはぐり〜ん2号に王国内の主だった将を集めよと命じた。

「何?俺にも召集命令?」

ガルガイド王国との戦いの功により与えられた李信の屋敷を水素が訪ねていた。

「お前この前の戦いでのことでアテにされてるんだろうなー。俺にも召集がかかってる。星屑と小銭にも命令が出たそうだ。」

「この間のはただのまぐれなんだが…。条件も整ってたしな。アテにされても困るぞ。」

李信が困惑した表情を見せる。

「だが召集がかかっちまったもんは仕方ない。行くぞ。」

「まあ能力バトルなら望むところだ。ガルガイドの戦うなら今度こそフェンリルをこの手で殺す機会が訪れるからな。」

「いいから、早く城に行くぞ。」

それから2人はグリーン城に急いで向かった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.172 )

日時: 2016/10/11 00:36
名前: 敗北者

2人がグリーン城大広間に到着すると、既に並み居る将が座についていた。

「おう、お前らも来たか。」

2人の姿を見て声をかけたのは星屑である。小銭も隣に座っていた。2人もその隣の座についた。

「また戦だ。今度こそ俺が大活躍する絶好の機会が訪れたのさ。今度こそこの手で強敵を倒せるんだ。ワクワクすっぞ!」

そう話している内にぐり〜んが広間へ入ってきた。将達は深々と頭を下げて迎える。

「皆、話は聞いているだろう。ガルガイドで内乱が勃発した。次期王位を巡るサバとかっしーの争いだ。そして今、俺はグリーン王国の使者と会ってきた。」

グリーン王国の使者と聞いて広間はざわめく。「静粛にー!」というぐり〜ん2号の制止で再び静まった。

「グリーン王国のかっしー派は我らと盟を結びたいと言ってきた。これについてどう思うか、お前達の意見が聞きたい。何なりと申してみよ。」

「その申し出は断り、グリーン王国に攻め込んで内乱と先の敗戦による国力衰退の隙をつき、滅ぼして領土を拡大すべきだと思うぜ!」

立ち上がって発言したのは小銭である。王の軍勢を持つ彼なら一気にガルガイドを潰せると思ったのである。小銭の発言に賛意を示す将が「そうだ。」「それがいい。」と口々に言い始める。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.173 )

日時: 2016/10/11 00:37
名前: 敗北者

「いや、待て。」

異を唱える太く短い声が上がる。李信であった。

「直江、俺の意見に反対なのかよ?」

小銭の言葉に「そうだ。」と言った後に続ける。

「サバの背後にはランドラ帝国の存在がある。此処でガルガイドの全てを敵に回せば例えガルガイドを滅ぼしてもランドラと単独で戦うことになる。この国にそれだけの力があるか?」

「俺もそう思う。それよりもかっしー派を味方につけて戦い、共同でサバ派やランドラと戦った方がいい。かっしーを勝たせてガルガイドを残さなければランドラの次の標的はこのグリーン王国だ。サバが王になればガルガイドの全てが実質ランドラの物になる。それは避けなければならない。」

アティーク将軍も李信に賛意を示すと、意見が割れた広間に緊張感が走った。

「グリーン王国に速やかに攻め込んでいくらかの領土を得ればランドラとも戦えるではないか!お前達2人は臆病風に吹かれているのだ!」

将の1人が李信とアティークを指差して罵倒する。

「領土を得てもすぐに兵の動員は出来ない。それは難しいだろう。」

アティーク将軍がそう答えるとその将は黙り込んだ。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.174 )

日時: 2016/10/11 00:38
名前: 敗北者

「じゃあサバ派やランドラに与すると言っておいてさっさと兵を出して切り取れるところまで切り取って力をつけて、残りのガルガイド領を手に入れたランドラと戦うのは?」

星屑が意見を出すが

「無駄に領土欲を出して国力が高いランドラをグリーン王国だけで対応するより、ガルガイドをかっしーに継がせてランドラを牽制させた方がいい。」

李信が星屑の意見を否定する。

「大体お前、フェンリルを殺したいんじゃなかったのか?」

「確かにそうだが、事態が事態だからそうも言ってられない。」

李信の答えに小銭は口を噤んだ。

「陛下、ご決断を。」

ぐり〜ん2号がぐり〜んに決断を促す。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.175 )

日時: 2016/10/11 00:39
名前: 敗北者

「我がグリーン王国はかっしー派と盟を結び、サバ派と戦う!各々、すぐに戦支度をせよ!」

ぐり〜んが決断すると、一同は深々と頭を下げた。国の方針が決定すると、ぐり〜んはすぐに客室に控えさせていたガルガイド王国の使者と面会した。

「我がグリーン王国は貴殿らと盟を結び、かっしー殿を王位に就ける為に戦うと決定した。」

「お聞き届けいただき、ありがとうございます。」

「して、同盟の条件は?」

「はっ、これに」

使者はぐり〜んに書状を手渡した。ぐり〜んは書状を読み始める。

「一、金1000000000Zをグリーン王国に献上するもの也
二、かっしー即位の暁には、ガルガイド領グワダタウンを以南グリーン王国に割譲するもの也
三、盟の証として、お互いに人質を出すもの也。
四、グリーン王国は2万以上の軍勢を率いてガルドリアのガルドリア城に来援すること。」

ぐり〜んは書状を読み終わるとそれを畳んで机に置く。

「この条件で承知した。かっしー殿にはそう伝えよ。」

「はっ!ありがたきお言葉!」

ぐり〜んは盟を承諾した旨の書状をしたためると、それを使者に手渡した。

「良きに計らえ。」

ぐり〜んの言葉に一礼した使者はそのまま退出し、風のように過ぎ去っていった。

グリーン軍25000人がグリーン城に集結したのは翌日午後のことである。グリーン軍が前回よりも多くの動員が出来たのは、密かにぐり〜んが間者を放ってランドラ帝国に噂を振りまいていたのである。

「ランドラ帝国の西にある幻影帝国がランドラ帝国に攻め込もうとしている。

これを警戒したランドラ帝国は兵の相当数を幻影帝国との国境に割く破目に陥り、グリーン王国は西のランドラ帝国との国境に置いていた多くの兵をこちらに回すことが出来たのである。

李信、水素、小銭、星屑の4人はグリーン軍総大将を務めるアティーク将軍の本軍に加えられた。

「これより我らはかっしー派の軍と合流する為、ガルドリアへ向かう!出陣!」

アティーク将軍の号令で、25000のグリーン軍は動き出した。その日は王都を出てグワダタウンに着陣したのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.176 )

日時: 2016/10/11 00:39
名前: 敗北者

翌日、グリーン軍25000がガルドリア城に到着した。

「援軍、誠にかたじけない。」

かっしーが自らアティーク将軍を出迎えて握手をした。

「ランドラを脅威に感じるのは我がグリーン王国も同じこと。共にランドラから国土を守り切りましょう。」

そしてアティーク将軍に従う李信ら4人も入城し、軍議への列席が許され座につこうと広間に入室した。そこではつい先日、壮絶な殺し合いを演じた宿敵との再会が待っていた。

「お前は…確かに殺した筈だ!何故生きている!」

李信の姿を見つけるなり、エイジスは飛び掛かって李信の胸ぐらを掴む。

「この崩玉が俺の命を長らえたのだ。だが死にかけた。危うく貴様に殺されかけるところだった。」

胸ぐらを掴まれながら平然と李信は答えた。

「俺は団長との約束を果たせなかったというのか!お前を倒すという約束を、俺は…!」

「そろそろ離せフェンリル。俺とてお前を殺してやりたいが此処に来たのは貴様と戦う為じゃない。俺は味方として来たんだ。」

李信はエイジスの手を振り払う。

「お、フェンリルじゃん。次会ったら容赦しないとかお互いに言ったけどまさか味方として再会するとはね。」

「お前はこの前の自称ヒーロー!」

水素が横から割って入る。エイジスも水素の姿を見て目を丸くする。

「俺達はお前らと共闘する為に来たんだぜ?もう啀み合うのはやめようや。俺達の敵はサバだろうが。」

「そうか、もうお前らとは決着をつけられないのか。」

エイジスが残念そうな表情を作る。それに水素がこう答える。

「もう二度と バトルできないねぇ。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.177 )

日時: 2016/10/11 00:40
名前: 敗北者

「お前のような外道と共闘しなきゃいけないとはな…。」

エイジスが李信を睨みつける。

「元はと言えばこの世界に来てたまたまガルドリアで目覚めただけの俺を、身分証を持ってないからと詰め寄って逮捕しようとしたあの女騎士が悪い。先に攻撃を仕掛けてきたのは向こうだ。」

李信がエイジスに事実を説明する。

「なっ、お前は身分証をこの世界に来た時に持ってなかったのか!」

エイジスの表情が怒りから驚きへと変わる。

「手に入れたのは理想の力とルックスだけで、金も身分証も地位も住居も無かった。それを攻撃してきたのは其方の方だ。」

「嘘をつくな!この世界に来る時にそんなことはありえない筈だ!」

「嘘なんてついてない。全てほあの女騎士の早とちりだ。」

李信の驚愕の答えに項垂れるエイジスだった。

「元々現実世界でのスペックが俺は最低レベルだったからな。その反動みたいなものじゃないか?」

「…。」

李信が推測を語るとエイジスは黙り込んだ。全ては誤解から始まったのだった。

「静まれ!これより軍議を始める!」

アティーク将軍がその場を静める。各々は話をやめ、座についた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.178 )

日時: 2016/10/11 00:40
名前: 敗北者

アティーク将軍とかっしー王子が2人で上座につき、軍議は始まった。

「アティーク将軍、サバはサバ派の軍勢と共にここから20km程のクワータリア城に立て籠もり、ランドラ帝国の援軍との合流を図っています。ランドラ軍は要請を受けて帝都ランドラを出立しました。その数、40000です。」

かっしーが用意していた絵地図を広げてアティークに状況を説明する。

「我が王の策略でランドラ帝国は幻影帝国との国境に兵を回した筈。それでも40000とは、これはかなりの大軍ですね。サバ派の軍勢は如何程ですか?」

「サバの軍勢は1万程です。我らの軍勢も1万程です。貴殿らの軍と合わせて35000となります。」

「皆聞いたか。敵は合わせて5万。我らは3万5千。如何にして戦うか、意見がある者は申し出よ。」

アティーク将軍が広間の将達に促す。

「グリーン王国軍李信だ。発言を求める。」

「李信、発言を許可する。」

アティーク将軍の本軍に加わっている李信が発言を求め、アティーク将軍がそれを許可した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.179 )

日時: 2016/10/11 00:41
名前: 敗北者

「速やかに出撃し、サバ軍1万が籠るクワータリア城を落とす。ランドラ軍は4万とは言えまだ到着まで3日はかかる。それまでにクワータリアを占拠し、クワータリア周辺の去就を決めかねている豪族を引き入れる。その後敗北したサバ軍が合流し士気が下がっているランドラ軍を叩く。」

李信は自分の意見を堂々と話す。

「ちょっと待て。籠城はしないのか?」

「ランドラ帝国は幻影帝国との国境に兵を割いたとは言え、一大強国だ。とりあえず4万を派遣してきたがまだ全兵力ではない筈。これ以上多くの援軍が見込めないのに籠城しても戦には勝てない。」

かっしーの質問に李信が答えた。敬語はない。相変わらず無礼で常識のない男である。

「いや、此処は籠城して敵が疲弊するのを待ち、一気に反撃する作戦を取るべきだ。」と反対意見を述べたのはかっしー派の平行である。

「座してランドラ軍がガルガイド領に侵攻し版図を広げるのを許してはこちらが不利になる。クワータリアを落として野戦で敵を叩き、此方に勢いをつけるのが肝要だ。」

「ガルドリア軍の平行だ。お前の作戦は危険な賭けだ!話にならない!」

「一旦守勢に入れば兵力で劣る此方は一気に不利になる。それが分からないのか?」

「このガルドリア城は桑田国王が築いた堅固な城だ。学の無いFランが偉そうに語るな!低学歴低能のお前の言うことは信用出来ないんだよ!」

「彼女にDVされる顎、お前のような奴が全体の足を引っ張るのだ。黙っていろ。」

「黙れ不細工低学歴!」

李信と平行が作戦を巡って激しく対立し口論に発展した。

「控えよ平行!グリーン王国の李信殿に無礼であろう!」

かっしーが平行を叱りつけた。

「お前も平行殿に謝れ。味方同士で啀み合うなと先程エイジス殿に自分で言ったのをもう忘れたのか?」

アティーク将軍も李信を叱り、平行と李信はお互いに礼をして口を噤んだ。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.180 )

日時: 2016/10/11 00:42
名前: 敗北者

「俺も直江に賛成だわ。城を守るだけなんてつまんねーじゃん。俺の出番無くなるじゃん。俺はたたかいに来たんだよ!それに城じゃなくて外なら俺のあのクラスカードが活きるぜ!兵の数だって敵を上回るあれが!」

小銭が立ち上がって発言した。

「俺も守るのはつまんねーから出撃に賛成ー。」

星屑が怠そうに便乗する。

「外で戦おうぜアティーク。こいつの言う通りなんじゃね?城に篭ってどうすんの?」

水素も続く。

「ガルガイド軍のお歴々は如何ですかな?」

アティーク将軍がガルガイド側の将に意見を求める。

「俺は平行に賛成だ。危ない橋を渡って、万一その野戦に負けたらどうすんだ?手堅くいくべきだと思う。」

「ぷろふ、お前は城に篭って男子トイレを覗いたり、一箇所に集まった男を物色したいだけだろ。」

「そんなんじゃねえよ!」

水素に思わぬ指摘をされて怒るぷろふ。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.181 )

日時: 2016/10/11 00:42
名前: 敗北者

「かっしー様、ご決断を!」

焦れた平行がかっしーに決断を煽ぐ。

「平行には悪いが今回はグリーン王国軍の方々の言うことに一理ある。李信殿の作戦を取る。」

かっしーがそう答えると落胆して座り込んだ。

「かっしー殿がそう言うなら俺もその作戦に従おう。」

アティークも賛同し、戦は出撃策に決定した。作戦が決まると陣立てが発表され、軍議は終わった。出撃は3時間後と決定した。急であるが、ランドラ軍が来るまでにクワータリアを落とさなければならないスピード勝負だからである。

軍議が終わり各々が進軍の支度をしていると、アティーク本軍と共に居る李信をエイジスが訪ねてきた。

「フェンリルか、まだ何か用か?」

李信が鬱陶しそうにエイジスを見る。

「済まなかった。」

エイジスが謝罪の意を口にした。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.182 )

日時: 2016/10/11 00:43
名前: 敗北者

「アンタが直江さんだなんて知らなかった。アンタを本当の密入国者だと思ってた。アンタを殺さなきゃこの国を守れないと思った。誤解したままアンタを殺すところだった。」

「…。」

エイジスの謝罪を聞いて李信が真顔になる。

「俺を知ってるのか。フェンリル、お前は何者だ?」

「俺はエイジス、氷河期だよ。」

「…そうか。」

李信はそう言ったきり、その場を立ち去ってしまった。

水素が李信を追いかけ、こう言った。

「お前さんの復讐は 本日をもって終了だ。」

「少し黙れ。」

李信はそのままツカツカと歩いていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.183 )

日時: 2016/10/11 00:43
名前: 敗北者

グリーンとガルガイドかっしー派の連合軍35000はその日の夕方にクワータリアに到着し、クワータリア城の包囲を始めた。

「クワータリア城を落とすのは俺1人で十分です!」

「お前の能力ならまあ大丈夫だろう。頼んだぞ。」

エイジスの申し出にかっしーはすぐに賛成した。

「俺も行くぜ。一応な。」

そう進み出たのは水素である。

「今度は味方として共闘だな。こんな城さっさと落としちまおうぜ。」

「分かった。水素、頼んだぞ。」

アティーク将軍も水素に許可を出した。

「自称ヒーロー、お前も行くのか。」

「俺は水素だよ。じゃあ行こうぜ。」

水素とエイジスは2人でクワータリア城に突入することになった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.184 )

日時: 2016/10/11 00:44
名前: 敗北者

「我は鋼なり、鋼故に怯まず、鋼故に惑わず、一度敵に逢うては一切合切の躊躇無く。これを滅ぼす凶器なり。」

エイジスが詠唱を唱えると、頭髪や瞳の色が赤に染まった。全身の皮膚に刺青のような赤い紋様が浮かび上がる。

「なんだそれ?初めて見るわ。」

隣に居た水素が初めて見るエイジスの能力であった。

「全身の気脈を活性化させて身体能力を大幅に高める力だ。行くぞ。」

「おう。」

最も2人から近い城内の二の曲輪から2人は新入した。

「サバは何処だ。此処で討ち取れば俄然有利になるぜ。」

「今鷹の眼を使って索敵している。少し静かにしてくれ。」

エイジスが鷹の眼を使い索敵していると、強敵の気配を感じた。

「近くに強敵の気配を感じる。気をつけろよ。」

「無敵の俺には無用の忠告だ。」

2人が走りながらやり取りしていると、声が上から聞こえる。

「侵入者発見!ただちに切断…じゃなくて排除する!」

「お、膨大な魔力をあの赤い男から感じるぞ?もう1人からは何も感じない、ただの雑魚かな?」

2人は城内を区切る城壁から降りてきた。

「俺は堂明元師!切断厨とよく言われるが切断厨じゃないぜ!」

「俺はフクナガ!見つけたからには生きて返さないぜ!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.185 )

日時: 2016/10/11 00:45
名前: 敗北者

「勝負だ赤い男!百獣の王たる男に勝てるかな?」

堂明元師の姿が二足歩行の獅子へと変化した。

「見掛けだけはご立派だな。だが俺は先を急いでる。お前に使う時間は無い。」

エイジスは二丁小刀を腰から抜くと逆手持ちに構える。

「ほざけ!獅子斬!」

堂明元師が鋭い爪を一閃すると、真空波となってエイジスに飛んでくるが、それを難無く避けた。城壁に真空波がぶつかり、三爪の傷をつけて大きく破壊される。

「当たらなければどうということはない。行くぞ!」

エイジスが強化された脚力で堂明元師に向かって跳ぶ。

「獅子斬!」

再度の獅子斬が飛んでくるが、それを一度地に足を着けて避ける。エイジスが堂明元師に接近し、二つの小刀で斬りかかる。

「手応えあり。」

エイジスの刃は堂明元師の腹部を斬り裂き深傷を負わせていた。堂明元師の傷口から血飛沫が噴き上がる。

「まだだ!喰らえ必殺!」

「獅子斬流星群!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.186 )

日時: 2016/10/11 00:46
名前: 敗北者

周囲の風景が夜空に変わり、堂明元師が爪を流星群の如く高速で、それも連続でエイジスに振り下ろす。

「速いな。だが見切れないわけじゃない。」

エイジスは獅子斬流星群を全て避けた。

「切断厨は俺が切断してやる。」

エイジスが二丁小刀をしまう。そして剣の柄に手をかける。

「俺の獅子斬流星群を避け切るとは見事。だがまだ俺には奥の手が…」

言いかけたところで堂明元師の体は左腰から右胸にかけて両断された。エイジスの抜刀術である。

「つまんね。」

エイジスは二つになった堂明元師の死体にそう吐き捨てた。

「俺はモビルスーツパイロットのフクナガ!来い!」

フクナガが手を天に掲げると、遥か点高くからモビルスーツが現れた。コクピットが開き、フクナガはモビルスーツに飛び乗る。

「俺の愛機はこのユニオンフラッグ・マスラオ!フラッグ・サキガケを改良したこのモビルスーツは、ガンダムとの圧倒的性能差を埋めるべく…オブァ!)

モビルスーツに乗り機体の説明をしている途中のフクナガが悲鳴を上げた。水素がジャンプして拳を機体に叩かつけて破壊したのである。モビルスーツは爆発を起こして四散した。フクナガは脱出装置を使い「覚えてろよ!」と捨て台詞を残して去っていった。

「またワンパンで終わっちまった…。クソッタレー!」

あまりに早い決着と手応えの無さに水素は嘆いた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.187 )

日時: 2016/10/11 00:47
名前: 敗北者

「申し上げます!侵入した敵によりフクナガ様は逃亡、堂明元師様は討死されました!」

「あの役立たず共め!全兵をその2人に差し向けろ!」

伝令が城内のサバに伝えるとサバは激怒した。

「お待ち下さいサバ様。此処は俺が出ます。」

サバの傍で控えていた男が窓からの陽の光を浴びて姿を見せる。

「オルトロスか。もはやこの状況を打開出来るのはお前しか居ない。任せたぞ。」

「はっ!」

オルトロスと呼ばれた背の高い細身の男はサバの命令を受けると窓から飛び降りた。

城内二の曲輪では無敵ワンパンの水素と鉄血転化で自身を強化したエイジスが暴れていた。

「何人来ようがお前らに俺らは倒せねえ!」

逆手に持った二本の小刀で向かってくる敵兵を次々に斬り捨てていくエイジス。

そして矢や槍、剣を受けても傷一つつかない頑丈な体と敵をワンパンで倒し屍の山を築く水素。

「嘘だろ?敵はたった2人だぞ?こうなったら!」

敵士官の1人が魔法陣を自分の前に展開する。

「雷撃魔法、サンダーボルト!」

雷が魔法陣から発生して水素を襲うが、もちろん無傷である。

「あれ?何で?」

「攻撃ってのはな、こうやるんだよ。」

水素は素早くその士官の前に出て拳を突き出す。だが突如現れた影によりその拳は防がれた。何やら自分が影に叩きつけた拳による攻撃を自分で受けたような衝撃が体に走る。

「調子に乗るのもそこまでだ。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.188 )

日時: 2016/10/11 00:48
名前: 敗北者

「俺の拳を受けて無傷なのはお前が初めてだ。これは楽しませてもらえそうだな!」

「俺はオルトロス。有する能力はベクトル操作。今のはお前の拳による攻撃のベクトルを反射したのさ。」

影だった人物の正体が明らかになる。

「エイジス、お前は先に行け!サバを探すんだ!」

「分かった!」

水素が後ろで敵兵を斬り捨てているエイジスに言うとエイジスは高速で敵兵を斬り伏せ走りながら消えていった。

「お前らは手を出すな。」

オルトロスがそう言うと周りの敵兵が二の曲輪を捨てて本丸に走り去った。

「さて、2人きりになったところで始めるか!」

オルトロスが水素の視界から一瞬で消える。

「殺し合いをな!」

オルトロスが水素の左脇に現れ、右手の指を突き出した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.189 )

日時: 2016/10/11 00:48
名前: 敗北者

「俺が指でお前の体に触れればお前の体内の血液を逆流させて死に至らしめることが可能!」

しかし素早さでは水素の方が上である。オルトロスに触れられる前に水素はかわした。

「お前は自分が最強無敵だとでも思ってるんだろ?だが上には上が居るんだよ!」

オルトロスが再度ベクトル反射で高速移動し、水素に迫る。しかしまた楽々と避けられる。

「要するにお前に触れられなきゃとりあえず死なないんだろ?俺お前より速いし。」

「いつまでそんなことを言ってられるかな?」

オルトロスが両手を天に掲げると掌の上で竜巻が発生する。

「圧縮圧縮ー!空気を圧縮ー!」

大気を一箇所に集め、プラズマを作り出す。天は雷雲に覆い尽くされ、巨大なプラズマが生成された。

「へえー。大した規模だな。」

「いつまで余裕こいてんだてめえ!死ねえ!」

巨大プラズマが水素に向けて放たれた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.190 )

日時: 2016/10/11 00:49
名前: 敗北者

「やっぱ大したことねえなお前。」

プラズマを受けて無傷の水素が平然と突っ立っていた。

「フンッ!」

オルトロスが落ちている小石を弾丸の様に投げつけて水素の胸部に直撃するが傷一つつかない。

「俺ベクトルとか難しいことよく分かんねえけどとりあえず、反射能力ってことはさ…」

オルトロスが気づかない内に水素が背後に回る。

「連続普通のパンチ」

水素がオルトロスに拳を連打するが、パンチの衝撃が水素に跳ね返ってくるのみである。オルトロスがその際に水素に触れようとしたが間一髪のところで避けられた。パンチの衝撃を跳ね返された水素は無論無傷である。

「なんかちょっと思ったんだけどさ、お前俺に攻撃してみてよ。」

「何だと?まあいい、どうせてめえは俺には勝てねえ。おらよっ!」

オルトロスが落ちていたサバ軍兵の槍を高速で投げつけるも、またもや水素に避けられる。

「もっとだよもっと。それじゃ足りねえよ。」

水素が右手の人差し指を自分に向けてクイクイと動かし挑発する。

「てめえもしかしてドMか?」

オルトロスが後ろに跳び下がり、城壁の一部を破壊して持ち上げると、水素に向けてそれを投げる構えをとる。

「そこだ!」

水素が素早くオルトロスの脇に現れ、拳を繰り出す。

「あぶねえ!」

オルトロスが運動能力のベクトルを操作し高速でそれを避ける。捨てられた城壁が音を立てて地面に落下する。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.191 )

日時: 2016/10/11 00:50
名前: 敗北者

「ははーん、お前の弱点分かったわ。」

水素がニヤリと笑う。

「お前は攻撃と反射を同時には行えないんだ。だからお前が攻撃する瞬間に俺の拳を叩き込めばジ・エンドだ。」

水素がオルトロスを指差して得意げな表情で能力の弱点を言い放つ。

「それが分かったから何だっての?運動エネルギーを操作してもっと速く移動すれば…」

オルトロスが目にも止まらぬ速さで水素の目の前に現れ、無反動で拳を突き出す。

「おしまいだよな!」

オルトロスの拳は水素を捉えていた…と思っていた。

「まさかの残像かよ!」

「ざんねーん。お前の速さはまさに理屈だけど俺の身体能力は理屈じゃないんだよね!」

オルトロスの頭上に現れた水素が拳は叩き込もうと突き出す。

「馬鹿め!お前の拳に触れてお前を!ってあぶね!」

オルトロスの攻撃は水素より遅かった。急いで反射ベクトルに戻し、水素の拳を防いだ。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.192 )

日時: 2016/10/11 00:50
名前: 敗北者

「いつまでこのやり取り続くんだ?ワンパターンで飽きてきたぞ俺は。それに理屈とは言えやっぱお前のベクトル操作速すぎて攻撃を喰らわせられん。」

水素は最初は自分の拳を受けて無傷だった敵に会えて高ぶったものの、戦闘のワンパターンさに開き始めていた。

「俺はてめえさえ足止め出来ればいいんだよ。別に倒さなくてもな!」

オルトロスが目的を吐く。

「でも氷河期…つかエイジスがサバのところに向かってるぜ?あの自称副管理人終わったな。あいつはあの死神漫画の能力を持つちょく…じゃなかった直江に勝った実力者だからな。」

「氷河期ってあの赤髪野郎がか。へえ、死神漫画の能力持ちに勝ったねえ…。でも終わったのはあいつだな。」

水素とオルトロスが膠着した戦いの中で互いを煽り合う。

「強がるのはよせよ。あいつに勝てる奴はそうそう居ねえ。」

「そうそうは居ないかもしれねえが全く居ねえわけじゃねえからな。そいつはヘタすると俺より強い…ってことは絶対ねえがかなり強い。」

「まだ城内に実力者が居るのか。面倒なことになってきたな。」

水素の表情が曇る。

「ああ、ついでにてめえにも退場してもらわねえとな!」

オルトロスが水素の後方上に現れ指を突き出す。水素はそれを難無くかわした。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.193 )

日時: 2016/10/11 00:51
名前: 敗北者

その頃、エイジスは本丸に居るサバを目指して無数の敵兵を剣術や弓術で倒しながら突き進んでいた。

「よし、本丸まであと少し!サバの首は近いぜ!」

「待ちな!」

突然上から降って下りてくる人影があった。

「誰だお前!」

エイジスが人物の姿を確認する。黒いコート、黒いサングラス、長身、筋肉質。

「俺は赤牡丹。お前を止めに来たぜ!」

「赤牡丹?確か現実世界で直江さんと仲良かった二次元派のコテか。俺はエイジス又の名を氷河期。二次元派同士だろ?戦う理由なんて…」

「今は立場が違うんだよ甘ちゃん!アンタが氷河期だろうが敵は敵!全力で行くぜぇ!」

赤牡丹は掌に炎を溜める。

「第四波動!」

炎熱が固まりとなりエイジスに一直線に伸びる。

「輝く流星の矢(スターライトアロー)!」

エイジスが弓矢をつがえて精霊術を行使する。神秘の光を纏う矢が拡散して第四波動とぶつかり合い、光と炎が混じり合い爆発を起こす。

「話を聞いてもらえそうにはないな!」

「そうだ!此処を通りたいなら俺を倒すんだな!」

爆発した炎と光が消え、赤牡丹の姿が視認出来るようになる。

「輝く流星の矢(スターライトアロー)!」

赤牡丹が光の矢を展開してエイジスに向けて発射する。

「俺の技を!」

光の矢が拡散してエイジスに降りかかる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.194 )

日時: 2016/10/11 00:52
名前: 敗北者

エイジスのそれよりも大きな矢が、エイジスのそれよりも多くの矢に分裂して襲い掛かる。

「氷の壁(ジエ ロ・ムーロ)!」

エイジスは魔力で氷の壁を作り出して無数の矢を防いだ。矢は防いだが、氷の壁は打ち砕かれた。

「俺の技を俺が使う時以上の威力で…!」

エイジスが歯嚙みする。苦虫を潰したような表情である。

「俺の能力はポジティブフィードバックゼロ。一度見た能力や技をオリジナルよりも増幅して使える能力だ。アンタがいくら強くても勝ち目は無いぜ。」

赤牡丹が再びスターライトアローを出現させて放つ。

「なんだそのチート能力!反則だろ!」

「俺はアンタが勝った直江さん程甘くないぜ?あの人の能力も俺からすれば二流だな!」

拡散したスターライトアローがエイジスに降り注ぐも、氷の壁を出現させて再び防ぐ。

「第四波動!」

「エターナルフォースブリザード!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.195 )

日時: 2016/10/11 00:52
名前: 敗北者

エイジスの冷気の波動は炎熱の波動に打ち消された。

「氷の壁(ジ エロ・ムーロ)」

氷の壁を作り出して第四波動を防ごうと試みるが氷の壁に穴が開き、エイジスは波動の直撃を受けた。

「魔力による技や能力を使えば増幅コピーされる…ならば体術で勝負だ。」

鉄血転化による身体能力の大幅な上昇で赤牡丹に急接近する。

「お、体術勝負か?だがそうか簡単に近づけると思うなよ?」

赤牡丹が掌から巨大な火球を作り出す。

「ヴァルカンショックイグニション」

火球がエイジスに放たれる。エイジスはそれに突っ込んだ。

「避けずに突っ込むとは馬鹿な奴だ。…ん?」

エイジスが火球を突き抜けて赤牡丹に二本の小刀を突き出す。

「俺は肉弾戦やチャンバラは苦手なんでな。」

「リトルボーイ」

赤牡丹が右拳に爆炎を纏わせてエイジスの胸部を狙う。

「冷殺剣」

エイジスの小刀に魔力と冷気が宿る。二本の小刀は爆炎を切り裂いた。エイジスの刃が赤牡丹の喉元に迫ろうとする。

「カンガタストリング」

赤牡丹が寸前で指から無数の糸を作り出し、それを壁として刃を防ぐ。

「切れないだと!」

「この糸は神にしか切れない糸と言われている。お前の刃如きが通る筈も無い!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.196 )

日時: 2016/10/11 00:52
名前: 敗北者

「俺の冷殺剣が通じない…」

「ボサッとしてるとこの糸で斬り刻むぜ?」

赤牡丹が両手の指から出している糸をしならせてエイジスを切り刻もうと、右へ左へ動きしていく。エイジスはそれを素早い身のこなしで5回程避け、反撃に出る。

「ブリザード・ディバイン・バースト!」

小刀の切っ先に魔力を込めて冷気の波動を放つ。波動はカンガタストリングの糸を全て凍てつかせ、その先の赤牡丹の腕も氷漬けにした。

「エイジストラッシュ!」

休むことなく攻撃を繰り出す。高速での連続斬りを試みるが、エイジスの刃が赤牡丹に届く前に体が凄まじい引力で地面に突っ伏していた。

「グラビトン。重量を操る能力だ。すぐに押し潰してやる。」

赤牡丹が手を上に上げるとそれを振り下ろす。

「ジャイルグラビテイション」

重量が強まり、エイジスの体は地面にめり込む。

「分かったか?上には上が居るんだよ!世の中を舐めてるからこうなる!」

赤牡丹がエイジスに近づき、右手の掌を向ける。

「くたばれ。第四波動!」

赤牡丹の掌から炎熱の波動が放たれた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.197 )

日時: 2016/10/11 00:53
名前: 敗北者

「神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)」

突如飛んできた光の矢により、第四波動はエイジスに直撃する寸前で打ち消された。エイジスはその爆発を氷の壁を作り、魔力を注いで辛うじて防いだ。

「誰だ戦いに横槍を入れる奴は。」

赤牡丹が矢が飛んできた方向を見上げるとそこには厨二病趣味丸出しの黒尽くめの眼帯少年が1人。

「さあ、能力を見てから当ててみるといい。」

城壁の上から飛び降りて赤牡丹の前に立つ。

「戦いに水を差されるのは愉快な気分じゃないな。」

「敵の気持ちなんて考えると思うか?」

李信が右手の掌から虚閃(セロ)を放つ。

「第四波動!」

赤牡丹の第四波動と李信の虚閃がぶつかり合う。しかし虚閃は打ち消され、第四波動が李信に向かってくる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.198 )

日時: 2016/10/11 00:54
名前: 敗北者

「縛道の八十一 断空」

鬼道の防御壁を展開して第四波動を防ぐ。

「直江氏、そいつは見た能力や技を増幅コピーする能力を持ってる!迂闊に技を使っちゃダメだ!」

後ろのエイジスが立ち上がり注意を促す。

「そんな反則級の能力を持ってるのか。ならいろいろコピーされる前に倒さないとな。」

「待て氷河期、今こいつを直江氏って呼んだか?」

赤牡丹が李信の名前を聞いて動きを止める。

「そうだ。お前二次元派の仲間なら流石に直江氏とは…」

「虚閃(セロ)」

エイジスが言いかけたところで増幅コピーした虚閃を赤牡丹が李信に放った。

「縛道の八十一 断空」

虚閃は断空を突き破り李信に命中する。

「俺は赤牡丹。アンタが直江氏でも容赦はしねえ。現実世界とこの世界は違うんだよ!」

「成る程、赤牡丹さんか。だが敵に回るというなら仕方ない。此処で消えてもらうぞ。」

虚閃の直撃を耐えた李信が指先に霊圧を込める。

「縛道の六十一 六杖光牢」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.199 )

日時: 2016/10/11 00:58
名前: 敗北者

「おっと!瞬間移動(テレポート)!」

鬼道の光が赤牡丹を捕らえる寸前に赤牡丹の姿が消え、鬼道は不発に終わった。

「そんな見え見えの技の技にわざわざ捕まるわけねえだろ!虚閃(セロ)!」

赤牡丹が西の方向に現れて特大の虚閃を放つ。

「The Balance(ザ・バランス)」

李信が能力名を口にすると、虚閃の威力は李信に届く前に弱まり消滅した。

「何をした!?」

「ザ・バランス。俺に起こる不運をお前に分け与えた。俺にとって増幅コピーの能力者と出会ったのは不運。その不運をお前に分け与えたに過ぎない。お前の能力は増幅コピーではなく劣化コピーになったのさ。」

「なん…だと…!?」

赤牡丹が再び虚閃を繰り出すが結果は先程と同じであった。

「こっちも忘れてんじゃねえよ!ブリザード・ディバイン・バースト!」

李信の頭を飛び越えたエイジスが掌から冷気の波動を放つ。

「第四…!」

「縛道の六十一 六杖光牢」

第四波動を放とうとしたところで鬼道を打ち込まれ、動きを封じられる。そしてエイジスの冷気の波動が赤牡丹を覆った。

赤牡丹は氷漬けになり、動かなくなった。

「さて、サバを探しに行くぞ。」

「あ、ああ…。」

李信が先に走り出すとエイジスもそれに続いた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.200 )

日時: 2016/10/11 00:58
名前: 敗北者

「サバが逃げた!?」

2人と合流した水素がもたらした報らせはエイジスを一瞬驚かせた。

「どうやって逃げたんだあの自称副管理人は。」

「側近に何らかの移動能力を持つ奴が居るらしい。オルトロスが言ってた。俺とあいつとの決着はつかなかった。あいつはどっかに行ったよ。」

エイジスとのやり取りの後、水素が目の前の氷漬けになった男を見やる。

「こいつがオルトロスが言ってた強い奴か。見事に氷漬けじゃん。」

「ああ、俺が見事に倒してやったぜ。」

エイジスがそう言うと詠唱を行う。

「我は戦いの終わりを告げる。我は人なり。」

全身の赤い紋様が消え、瞳と頭髪の色も元に戻る。

「城兵がサバの逃亡を知って逃げ始めている。俺達も戻るぞ。」

そう言ったのは李信である。我先にと逃げ始めた無数の城兵を捨て置き、3人は本陣に戻り始めた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.201 )

日時: 2016/10/11 00:59
名前: 敗北者

「と、いうわけで城は落としたがサバは逃げた。」

「ご苦労だった。今から陥落させたクワータリア城に入り、周辺豪族に味方につくよう使者を送る。明後日出立し、ランドラ軍を迎え討つ。」

「んじゃ俺ら3人は戦いの時まで休むわ。またな。」

水素がアティーク将軍に報告を終えると、エイジスと共に本陣の陣所を退出する。それに李信が続こうとすると

「あ、お前は残れ。話があるから。」

とアティーク将軍に言われたのでとどまった。

「何だ?何か今日は眠いんだが。」

「無責任なことを言うな。作戦の立案者はお前だろ。」

欠伸をしながら話す李信にアティークが厳しい表情で諭す。

「これから軍の首脳で軍議だ。お前も来い。」

「俺は首脳でも何でもないし後はお偉いさん達で頑張ってくれ。」

「おい!」

「…仕方ねーな。」

渋々了承し、軍議に入ることになった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.202 )

日時: 2016/10/11 01:00
名前: 敗北者

連合軍首脳陣(と、場違いな厨二病野郎)の軍議が終わり、宵闇は益々濃くなる時間帯となった。明朝、このクワータリア城を出立することに決した。

自分に与えられた陣所に戻ると、水素とエイジスが居た。

「ど、どうも直江氏…。」

戻ってきた李信にエイジスが恐る恐る挨拶をする。

「…ああ。」

そう言うと李信は黙り込んだまま座った。

「お前らポケガイでは仲良かったじゃん。なんだこの空気は、参ったなー。」

水素がにぎり拳を作って額に当てるポーズをとる。

「と、言われてもつい先日本気で殺し合ったからな。」

李信はそう言うと握り飯を口に放り込む。エイジスはバツの悪そうな顔で俯向く。

「よし、俺が話そう!ちょく…直江、いいか?」

「勝手にしろ。」

水素に視線も向けずに二個目の握り飯を口に運ぶ李信。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.203 )

日時: 2016/10/11 01:00
名前: 敗北者

「氷河期はこの二次元世界に来てガルガイド王国に拾われて騎士になったんだ。」

李信が陣所に戻るまでの間、水素はエイジスとすっかり打ち解けていた。水素は話を続ける。

「氷河期は騎士になるのが夢だったらしく、ガルガイド王国に忠誠を尽くして戦ってきた。この世界に来た時に得た理想の力を使ってな。」

水素の話を興味無さそうに聞きながら李信は黙って味噌汁を啜る。

「騎士になって配属された部隊で、氷河期は恋をしたんだ。その相手はお前も知ってる筈だがあの金髪の女騎士団長だ。」

「2度会ってるからな。1回目は直接戦闘して殺し損ねた。2度目はあのグリーンバレー国門戦だ。」

李信は味噌汁を飲み干してようやく口を開いた。相変わらず視線は他を向いている。

「その女騎士の為に命を懸けて氷河期はお前と戦った。好きな相手の為に命を懸ける。かっこいいじゃねえか。」

「で?」

李信の一言は場の空気を重くした。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.204 )

日時: 2016/10/11 01:01
名前: 敗北者

「あの女はいきなり俺を逮捕しようとした。あの女も、それを庇って俺を殺そうとしたそこの男も同罪だ。」

李信が冷たく言い放った。まだ根に持っているらしい。エイジスは何も言えずに黙り込んでいる。

「氷河期もお前の正体を知らなかったんだしさ。あの女騎士もお前の事情を知らなかったんだ。もう許してやれよ。お前一度氷河期に負けたろうが。男なら負けを認めて…」

「2度目は負けたが1度目は勝った。」

「1度目はお互い本気じゃなかったらしいじゃねえか。ガチバトルで負けたのはお前だ。此処は潔くだな…。」

「お茶貰える?」

水素はエイジスと和解しろとしきりに説得を試みるが、李信は知ったことかと言わんばかりである。李信は近くの番兵にお茶を所望した。番兵がお茶を差し入れるとそれを一気に飲み干す。

「お前さあ、恋したことないだろ。」

暫くして再び水素が口を開いた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.205 )

日時: 2016/10/11 01:01
名前: 敗北者

「せっかく憧れの二次元世界に来て、二次元美少女も居るのにお前全く恋とかしてないだろ。」

「愛する女の為なら命も投げ打つ。お前の正体が分からないから氷河期は尚更命を懸けてお前を倒したんだ。お前も二次元信者なら分かるだろ?」

水素は続け様に言う。

「なあ直江氏、団長がアンタに謝罪すればいいのか?」

エイジスがようやく口を開いた。

「約束しろ。戦が終わったらあの女を俺の前に連れて来い。殺しはしない。謝罪の言葉が聞ければいい。」

李信が妥協案を出すと、エイジスの表情は晴れやかになる。

「分かった。だから仲直りしよう。」

エイジスが握手をしようと手を差し伸べる。李信はそれを黙って取った。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.206 )

日時: 2016/10/11 01:02
名前: 敗北者

翌日午後、かっしーとグリーンの連合軍は軍議で決した予定戦場であるクワッタに到着した。

「何で不細工論とか語るようなFラン低学歴の作戦を大事な戦いで使わなきゃならないんだ。」と布陣を終えてからも愚痴を言っていたのは一隊を率いるかっしー派の重鎮・平行四辺形だった。

「しかもあいつ肩書きはグリーン王国の騎士団所属ってだけらしいじゃないか!下っ端の癖に軍議に首突っ込んであれこれ好き勝手言いやがって!かっしー様にもタメ口だし何様のつもりだ!」

平行が愚痴を溢すのも無理は無い。平行の言うそのFラン低学歴が今回全ての作戦を決めたからである。その張本人はアティーク将軍の本陣に居た。

「では、頼んだぞ。」

アティーク将軍が床几に腰かけてながら李信に言葉をかける。

「いきなり一隊の将とは大抜擢だな。」

李信も床几に足を組みながら腰を下ろしている。

「お前のようなバカでも使わなきゃならん。我が国は人材不足なんだ。」

「バカって単語は引っかかるが、この世界は優しいな。」

「優しい?」

「現実世界では人手不足とかのたまっておいて人材を選り好みして応募しても雇わない企業ばかりだからな。人手不足だから素直にバカでも拾ってくれるグリーン王国に感謝だ。」

李信が生前、散々な思いをさせられた経験を苦々しい表情を浮かべながら思い出す。

「就活の辛さは分かるぞ。自分を落とした企業の採用ページとか見るとまだ募集してたりするんだよな。現実世界の愚痴話に花を咲かせるのも悪くないがそれは後でゆっくりしよう。そろそろ…」

「ああ、持ち場につく。互いに生き残れるといいな。じゃ。」

李信はアティーク将軍の本陣を後にした。

李信は3500の部隊を率いてエイジス率いる2500の部隊の前方に布陣した。エイジス隊の右には平行四辺形率いる2000が布陣する。これが左軍である。

中央軍は後方にアティークの5000、かっしーの本軍3500、その前方に3000、リキッドの2000、他に2部隊ありそれぞれ3000ずつ。 右軍は2000の部隊が3つと1500の部隊が一つで魚鱗の陣を敷いている。

軍議で決した通り、かっしーとアティーク将軍は全軍に土木工事を命じた。堀と土塁を巡らし、馬防柵を立てて防御陣地を築き敵軍との戦いに備えるのである。

サバ派との決戦が後に2日というところまで狭っていた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.207 )

日時: 2016/10/11 01:03
名前: 敗北者

各将が布陣を終えて土木工事をしている最中、こちらに後方から向かってくる軍があった。ガルガイド王国領クワータリアを中心に、王国領三郡の領主達5000の兵を束ねたまさっちである。

まさっちはサバ派だったが、クワータリアからサバが逃げたと聞いてかっしーからの使者に会い、内応を約束していた。まさっちはサバ派に気づかれないように連合軍35000が布陣するクワッタの南方にあるクワーダン山を迂回して、戦場全体を見渡せる位置にあるクワユキ山に布陣した。サバ派には「クワータリアが落とされるのが早過ぎて間に合わなかった。これから5000の兵を率いてかっしー軍を牽制する。」と使者を通じて伝えている。

「この山、絶景だね^^何て山なの?^^」

布陣を終えたまさっちが土木工事を行う連合軍を見下ろしながら側近に尋ねる。

「はい、この山はクワユキ山と申します。」

側近は短く答える。

「クワユキ山?^^クワタ山の方が語呂がいいと思わない?^^」

「いえ、私はクワユキ山の方が趣があると思いますが…」

まさっちの質問に側近が汗を浮かべながら答える。

「それって君の主観だよね^^」

「え、いやそれは…」

「はい論破^^」

何とも疲れる男である。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.208 )

日時: 2016/10/11 01:06
名前: 敗北者

李信は内応したまさっち軍5000を戦場の東にあるクワユキ山に布陣するよう書状で指示(かっしーの名において)し、まさっちには「かっしー派とグリーンの連合軍がクワッタに布陣した為にそれを牽制する為にクワユキ山に陣取る。」とサバ派に伝えさせた。

まさっちを見捨てればサバの求心力は更に下がる。クワータリアでの敗北で既に1000以上の損害を出したサバとしては、まさっちの力は今後の統治の為にも必要なのである。

李信はそれを利用した。これでクワッタにランドラとサバの連合軍を引きずり出すことが出来るのである。

土木工事は1日かけて行われた。斥候の報告によれば、サバとランドラの軍はクワッタから15km離れたタカユキ平原を進軍中とのことである。

「いよいよ明日、決戦だな。」

李信の陣所にはエイジスが尋ねてきていた。

「勝てばサバをランドラに追いやることが出来る。この国はかっしーの物になる。だが…。」

李信が言いかけて暫く溜める。

「ただ、何だ?」

エイジスが口を噤んだ李信の態度に疑問を持つ。

「このままかっしーの世が続くとは思えない。」

はっきりと答えた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.209 )

日時: 2016/10/11 01:07
名前: 敗北者

「サバよりマシとは言え、かっしーに王としての器量は無い。この国はまた荒れるな。」

「…。」

李信のセリフにエイジスは黙り込む。

「氷河期さんも身の振り方を考えた方がいいぞ。このままこの国に居ても未来は無い。」

「俺は騎士だ。一度仕えると決めた国をそう簡単に捨てるわけにはいかない。」

エイジスがきっぱりと断った。

「忠告はしたからな。この国が嫌になったらいつでもグリーン王国に来るといい。俺がぐり〜んに口利きしよう。」

「気持ちだけ受け取っておくよ。さて、明日は決戦だ。俺は戻って休む。武運を祈る。」

エイジスは立ち上がってその場を後にした。

「俺も寝るか。」

決戦前夜は静かに更けていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.210 )

日時: 2016/10/11 01:08
名前: 敗北者

翌日午前2時頃、サバとランドラ帝国の軍49000余がクワッタに到着し、午前5時頃に布陣を完了した。

総大将はガルガイド王国の王子でランドラ帝国の皇族出身であるサバである。サバの本陣は北のクワキタ山に置かれた。サバの本軍は5000。

ランドラ帝国軍を率いるのは皇帝から派遣された大将軍・セール。セールの本営はクワキタ山の東、タカトー山に置かれた。その数15000。

右軍はオルトロスの3000、味噌カツの3000、真・ゆかりの2000。

中央軍はいぬなりの4000、ピザ屋の3000、くれないの3000、ぃょぅの2000。

左軍はああ@の3000、社員の3000、医学部ステハンの3000。

かっしー派に比べてサバ派には余裕があった。世界一の国力を誇るランドラ帝国には、この戦いに負けてもランドラ帝国に退けばまだまだ戦えるという思いがあったのである。

一方かっしー派には殆ど後がない。ぐり〜ん王国の兵力はこの25000が精一杯だからである。まさに背水の陣だった。

そんな中、ランドラ帝国の大将軍セールの陣に、1人の使者が訪れていた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.211 )

日時: 2016/10/11 01:09
名前: 敗北者

「アティーク家臣・HOPEです。お目通りが叶い、恐悦至極に…」

「挨拶はいい。俺の内応についてだな?」

セールの陣にはアティークの家臣・HOPEが訪れていた。李信の指示でアティークが度々セールに使者を送り、内応を約束させていたのである。

「まずは主アティークよりです。
こちらに内応するのであれば、狼煙を上げた時点でタカトー山よりランドラ帝国とサバの連合軍を背後から突いていただきたい。かっしー派とグリーン王国の勝利の暁には本領安堵の上、ガルガイド王国領内の5郡を与え、貴殿をグリーン王国の大将軍とする。とのことです。」

「分かった。他には? 」

セールはアティークが出した条件に納得して次のHOPEの言葉に耳を傾けた。

「はい。主アティークの配下・李信より口上をお伝えするように仰せつかっています。」

HOPEは李信の書状を開き、読み上げる。

セール殿。現実世界ではいろいろあったが我々は同じ二次元派の仲間。私と志を同じくするのであれば、貴殿の英断を期待している。この戦いは世界平和への第一歩である。暴虐なランドラ帝国を共に倒そうではありませんか。
ランドラ帝国滅亡の折には貴殿に今の本領に加え、ランドラ帝国領の半分の統治をお任せしたい。当座の軍資金として私が先のガルガイド王国との戦いの恩賞としてグリーン国王から賜った10000000Zの内、前金として半分の5000000Zを納めさせていただく。残り5000000Zはこの戦の勝利の暁に支払わせていただく。
では、健闘を祈る。」

HOPEが読み終えると、HOPEの従者が、荷車で運んできた金を開け、セールに渡した。

「確かに500万ある。受け取っておこう。」

セールはそう言うと、配下の兵を呼んで箱を下げさせた。

「アティーク将軍に宜しくお伝えしろ。俺は狼煙を見たら攻撃を行うと。」

「はっ!では、これにて!」

HOPEはセールに一礼し、アティークの陣へと戻っていった。

「直江も必死だな。余程俺をアテにしてると見える。」

タカトー山の山頂に立つセールの眼下には、両軍合わせて8万以上の大軍勢が展開されていた。ランドラの旗が、ガルガイドの旗が、グリーンの旗が、風を受けて靡いている。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.212 )

日時: 2016/10/11 01:10
名前: 敗北者

「はぁ?ガルガイド王国戦の恩賞で貰った金を全部セールに渡す?!お前馬鹿じゃねえの?」

李信の陣では、李信の部隊に配属された星屑が居た。

「勝つ為だ。負ければ我々の国が滅ぶ。そうすれば一文無しになる。負ければそれで財産を全て失うから持っていても意味が無い。なら勝つ為にそれを惜しみ無く使い、勝った時の恩賞としてそれよりも多くの見返りを貰えばいい。1000万Zでランドラ帝国最強のセールが味方になるなら安いもんだ。」

星屑の驚きに李信は平然と答えた。

「まあセールは1番兵を多く連れてるしな。でも本当に味方になるのか?」

星屑は半ばセールの内通を信じていない。

「確実に裏切らせる為にはもう一押し必要だ。」

「もう一押し?」

「俺達が戦いを有利に進めなければならない。此方が有利と見るやセールは必ず寝返りをうつだろう。」

李信が床几から立ち上がる。

「そろそろ始まる頃合いだ。アティークに指示しておいた。」

「何をだよ?」

星屑は話が見えていない。

「抜け駆けだ。戦端を切るのはガルガイドではなくグリーンの軍で無ければならない。戦後処理や外交を有利に進める為にな。先鋒のリキッドには悪いが。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.213 )

日時: 2016/10/11 01:11
名前: 敗北者

戦場になったクワッタという場所は周囲を山々に囲まれた盆地である。

この山々や盆地に両軍合わせて8万以上の軍勢が集結した。

クワキタ山にサバ軍総大将サバ、タカトー山にランドラ軍総大将セール、クワユキ山にガルガイド領3郡の盟主まさっち、グワグワ山にグリーン軍総大将のアティーク、バカンリニ山にかっしー軍総大将のかっしーがそれぞれ陣取っていた。

のどかな盆地と山々は人馬で埋め尽くされたのである。

かっしー派とグリーン軍には李信からアティークやかっしーを通してセールへの内応工作とその対応、セールが内応する場合しない場合の戦い方など、細かく作戦が伝えられていた。

敵の総大将を調略するという前代未聞の策に半信半疑の将も居たが、アティークやかっしーの名においての命令なので全軍が従う意志を固めていた。

午前7時、戦場全体は濃霧に包まれていた。その濃霧に紛れて先鋒を任されているリキッド隊の横を通り抜ける小隊があった。アティークの命で動いている家臣のカタストロフィである。

「止まれ!何者か!」

リキッド隊の騎士・庭師が通り抜けようとするカタストロフィの前に立ち塞がった。

「俺はアティークの家臣カタストロフィ。主の命で物見に向かうところだ。」

カタストロフィが馬上の人となったまま答えた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.214 )

日時: 2016/10/11 01:11
名前: 敗北者

「本日の先陣は主リキッドが承っている!物見も無用!」

庭師が力強く反論する。

「アティーク将軍はグリーン軍の総大将!戦場の状況を掴む必要がある!自分らの援軍として来た相手の軍事行動の妨害をするのがガルガイド王国騎士の作法なのか?」

「承知した。お通りシルガイア。」

庭師は引き下がり、カタストロフィ小隊は易々と先陣の前に躍り出た。

「よし、もっと敵に近づくぞ。」

カタストロフィ小隊は霧が立ち込める中、敵中央軍の先鋒・ぃょぅの部隊の前に出た。

「よし、弓隊構え。」

カタストロフィの指示で小隊の弓衆達が弓に矢をつがえる。

「放て!」

カタストロフィが振り上げた右腕を振り下ろすと、弓衆が一斉に矢を放った。ぃょぅ隊の10人程が射倒された。

「よし、退くぞ!」

霧がいつの間にか晴れ始め、カタストロフィ小隊は急いでアティークの本陣へと退がっていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.215 )

日時: 2016/10/11 01:12
名前: 敗北者

「申し上げます!我が隊の最前列の数名が敵の弓隊により射られました!」

「かあやた。」

ぃょぅ隊の伝令兵の報告がぃょぅに闘志を掻き立てた。

「ち○く○ー!」

ぃょぅの号令一下、2000のぃょぅ隊が動き出した。対するのはかっしー軍の先鋒・リキッド隊2000である。

リキッドは激怒はした。

「誰だ仕掛けたのは!ι[`_`ι]彡」

「カタストロフィ殿にございます!キシッー!」

庭師の報告を聞くなり、リキッドはいきり立った。

「おのれこのリキッドを差し置いて!かかれー!ぃょぅ隊を揉み潰すのだ!ι[`_`ι]彡」

リキッドの命令でリキッド隊2000が突撃を開始した。

リキッド隊とぃょぅ隊がぶつかることで、戦場全体が動き出したのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.216 )

日時: 2016/10/11 01:13
名前: 敗北者

「俺は負傷して参加出来ないエリス団長にこのガルガイド王国第二騎士団を任された。そして直江氏にはこの戦いにおける大役を任された…!2人の期待に俺は応えなければならない…!」

エイジスは自分に託された重大責任を改めて実感していた。緊張で胸が高鳴っている。全身が震えている。武者震いだと自分に言い聞かせるも、手から流れるように噴き出す汗が止まらない。馬の手綱が手汗で湿っていく感覚が、より一層エイジスの心臓の鼓動を早めている。

昨夜の回想

「氷河期さん、平行。呼び出したのは他でもない。我らグリーン・かっしー連合軍の左翼が明日展開する作戦を貴殿らに説明する。」

李信は左軍の部隊を率いるエイジスと平行を自分の陣所に呼び出していた。

「学の無いFランが立てる作戦に従わなきゃならないのが癪だが、お前の作戦を用いるとかっしー様やアティーク将軍が決めたからな。仕方ない。」

平行がそう言いながらも仏頂面をしていた。

「平行さん、そういうこと言うなよ。ここまで全て直江氏の作戦通りに事が進んでるじゃないか。俺達の命運はこの人に賭けられているんだ。」

エイジスが横から平行を宥める。

「氷河期さん、ありがとう。明日の我ら左軍の作戦を説明する。
我ら左軍8000は、敵右軍8000とぶつかることになる。俺の3500と平行の2500の計5500で敵右軍の攻撃を全て受け止める。その為に全軍に防御陣地の構築をアティークやかっしーに命じさせた。」

李信が絵地図を広げて指揮棒で叩きながら説明を始める。

「直江氏、俺は?」

エイジスが当然の疑問を吐き出す。

「貴殿には大役を担ってもらう。2000の兵を率いて崖に隔てられたこの間道を通り、敵右軍の側面を突き崩して欲しい。」

「おいその間道って敵に気づかれないのか?」

平行が横から尋ねてくる。

「出入口をカモフラージュする為の工事を命じ、完成させてある。氷河期さんが敵右軍を突き崩せば、正面の我らも守りから反撃に出る。右軍を突き崩せばその敗軍は敵総大将の1人であるサバの本軍の方へ逃げ込むだろう。戦場西は敵にとって丸裸になり、サバ軍は敗走兵の影響で混乱する筈だ。」

「そして、サバを討ち取るのか!」

エイジスが前屈みになる。

「いや、それで討ち取れる程甘くない。敵は中央軍の何割かを西の守りに回して我ら左軍にぶつけてくるだろう。」

李信は一呼吸置くと続ける。

「だがそれでいい。そうなれば敵中央軍は手薄になる。中央軍にはその時まで守りに徹するよう伝えられている筈だ。その時をもって中央軍には攻勢に出てもらう。」

「だがそれだけで勝てるかな?敵の方がそもそも数は多いんだぞ。」

口を挟んだのは平行である。

「敵右軍の崩壊が敵全軍に波及する。味方右軍には我が調略さえ実れば必勝の策を伝えてある。右軍が敵左軍の攻撃を跳ね返せばもう勝ちは見える。」

「どういうことだよFラン。」

平行は一言余計に付け加える。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.217 )

日時: 2016/10/11 10:40
名前: 敗北者

「敵総大将の1人セールと、サバ派の将まさっちには内応を確約させてある。我らが狼煙を上げれば奴らを山を駆け下りて敵を攻める。そういう手筈になっている。」

「奴らの内応は確実なのか?」

平行は半信半疑である。

「奴らは莫大な利で釣ってある。敵が勝った時以上に奴らに与える恩賞よりも確実だ。それは調べがついている。後は我らが有利に戦いを進めるしかない。それが後押しとなる。」

李信は作戦の説明を終えると一息ついた。

「おいおいそんな賭け要素の強い作戦が成功するのか?やはり俺の言う通り籠城策の方が良かったんじゃないのか?」

平行は最後まで疑いの姿勢を崩さない。

「為さねば敗れ去るのみ。作戦にケチをつけるより作戦の成功の為に戦うのがお前の役目だ平行。もう賽は投げられている。」

「チッ…」

平行は舌打ちすると仏頂面のままそっぽを向く。

「俺はアンタを信じる!アンタがこの国を救ってくれると!大役、果たして見せる!」

エイジスは平行と真逆の態度で胸を叩き返事をする。

「勝つぞ。俺達の未来の為に。軍議は以上だ。各々、持ち場に戻り明日に備えよ。失敗は許されない。」

回想終了

エイジスは李信の指示で間道に入った。間道から敵の側面を突く指示を待っているのである。因みにこの間道は敵からは死角になっている。この戦場を選んだのも、この戦場に敵を引きずり出す為の準備も、全て李信の策だった。

リキッド隊とぃょぅ隊がぶつかり合うことで、戦火は戦場全体に飛び火した。

オルトロス、ゆかり、味噌カツの敵右軍が味方左軍の李信と平行に襲い掛かったのである。兵力差は2500。数の上では不利な戦いであった。

李信の部隊3500にはオルトロスとゆかりが、平行の部隊2500には味噌カツが押し寄せた。

「キモ男さん、あれを。」

押し寄せてくる5000の敵部隊を防ぐ。この決戦を想定し、李信は借金をしてまで入手した物がある。部隊の副官であるキモ男を呼ぶと、キモ男は配下に銘じて大砲を引いてきた。

「放てー!」

轟音と共に砲弾が発射された。弾はゆかりの部隊に命中し、炸裂する。一気に数十人の損害を与えた。爆散したゆかり隊将兵の血と肉片が断末魔と共に戦場に飛び散る。

「よし、だが大砲は一発放つのに時間がかかる。敵は多少怯むが数に物を言わせて押し寄せてくるぞ。引きつけてから矢を放て!」

李信が下知を飛ばすともう1人の李信隊副官・ポルクが弓隊に矢をつがえるよう命じる。

敵が堀まで押し寄せてくると命を下した。

「放てー!」

弓隊が一斉に矢を放つ。矢は放物線を描いてオルトロス隊とゆかり隊の兵を射倒していく。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.218 )

日時: 2016/10/11 10:49
名前: 敗北者

空堀、土塁、幾重にも巡らされた馬防柵に守られた李信隊と平行隊の防御陣は堅く、兵力で勝っているにも関わらず敵右軍は攻めあぐねていた。

「放て!」

李信の命で砲弾が再びゆかり隊に発射され、弓隊の絶え間無い射撃と堅固な防御に怯んでいたゆかり隊に更なる損害を与えた。
オルトロス隊もゆかり隊もいたずらに犠牲者を増やすばかりである。

「俺が出る!」

業を煮やしたオルトロスの家臣・ぱしろへんだすがオルトロス隊の内1000を率いて出撃した。

「強弓隊、射撃用意!放てー!」

ぱしろへんだすは弓の名手であり、その配下も強弓の使い手揃いであった。通常よりも威力の高い強弓から矢が放たれ、李信隊の前列の弓衆が射倒されていく。

「第二射、放てー!」

ぱしろへんだすは自らも強弓を射る。次々と自隊の兵が射倒されていくのを李信はほぞを噛みながら見ていた。

「敵は怯んだぞ!柵を引き倒し突っ込め!敵将の首を取れ!」

オルトロスの大音声が鳴り響くと共に、オルトロス隊が李信隊目掛けて殺到しようと迫る。

「このままではまずい。槍隊用意!」

李信が叫ぶとポルクに指揮された李信隊の槍隊が隊列を作り前に出て槍を構える。

「絶対に柵を突破されてはならん!何としても持ち堪えろ!」

ポルクも必死だった。作戦を成功させる為には何としても守りきらなければならなかったのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.219 )

日時: 2016/10/11 10:50
名前: 敗北者

「押し戻せー!」

平行隊2500と味噌カツ隊3000は一進一退の攻防を繰り広げている。平行隊は既に一の柵を突破され、二の柵まで迫られていた。

「このままじゃ俺が戦犯じゃないか!あのFランにも笑われる!何とかならないのか!」

平行が側近に怒りをぶち撒けるも、どうにもならない。すると1人の男が平行の前に出た。

「俺が敵の右側面を突きます。敵が崩れたら柵の外まで押し返して下さい。」

「お前か。よし行って来い!」

平行隊の副官が500の兵を率いて味噌カツ隊の右側面に回り込み、弓隊による射撃が行われた。側面を突かれた味噌カツ隊は浮き足立つ。

「槍隊前へー!」

副官部隊はそのまま突撃を開始し、味噌カツ隊を突き崩していく。

「あ、あの…態勢を立て直すからまた後で攻めるわ…。」

混乱する自隊を見て味噌カツが一時退却を命じる。しかしその時を見計らい平行隊は正面からも突撃を開始した。

平行の副官が慌てふためく味噌カツの側近衆を突き伏せ、味噌カツの眼前に迫った。

「も、漏れはまだ死にたくないんダナw」

味噌カツが馬を駆り、全速力で逃げる。

「逃がすか!」

副官が放った矢が味噌カツの後頭部に命中、味噌カツは落馬し起き上がることはなかった。

「味噌カツを討ち取ったぞ!」

平行隊から歓声が沸き上がった。この報は敵味方全軍に知らされ、反応は当然真逆のものだった。
指揮官を失った味噌カツ隊は隊の原型を留めず後方に逃げ去っていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.220 )

日時: 2016/10/11 10:53
名前: 敗北者

「申し上げます!味噌カツ様お討ち死に!味噌カツ隊は平行隊に追撃され、此方に敗走しております!」

サバの本陣にもこの報は伝えられた。山の頂から戦場右を見渡すと、散々に打ち破られて追われている味噌カツ隊の姿がはっきりと見える。

「味噌カツがやられたかあの役立たずめ!中央軍のピザ屋隊3000を右軍に回せ!中央軍はそのまま攻撃の手を緩めるな!柵を突破しアティークとかっしーを討ち取るのだ!」

サバの命令を伝えられた伝令兵がピザ屋の陣に馬で駈け去っていく。

指揮官を失った平行隊は逃げる味噌カツ隊を追撃していたが、李信の指示があった為の追撃を中止して防御陣内に戻ることになった。味噌カツを討ち取り味噌カツ隊を撃破したことで、敵が中央から新手を此方に割いてくると読んだ李信が、伝令を通じて平行に守りに専念しろと言ったのである。

「柵内に戻る!次なる敵の来襲までに引き倒された柵を立て直すのだ!」

平行隊は再び守りを固めるのであった。


同じ頃、オルトロス隊とゆかり隊の攻撃を受けている李信隊は苦戦していた。オルトロス隊のぱしろへんだすの活躍により、李信隊は一の柵を突破されて二の柵に下がり、必死に敵を食い止めていた。

「こうなったらアティークの本軍に後詰めを要請するしか…」

李信隊副官のキモ男が切り出す。

「平行が味噌カツを討ち取り、敵中央を薄くしたのに我らはアティークに助けを乞うことになっては俺の面目が…!いや、今は面目に拘る時では無い!分かったキモ男さん、すぐに使者を遣わしてアティークに後詰めを…!」

言いかけたところで戦場に異変が起きた。瞬く間に李信隊の槍隊が竜巻に屠られていくのである。

「何処だ李信隊の指揮官は!俺がお前を殺して一気に勝負をつけてやる!」

敵指揮官のオルトロスが能力を発動し、一気に勝負を決めに来たのである。

「オルトロスか!キモ男さん、ポルクと共に此処を死守してくれ!俺が奴を倒して戦局を変える!」

李信はキモ男に一方的に指揮を任せる旨を告げると、オルトロス目指して飛び出していった。

「仕方ない、直江さんの面目を潰すことになるがアティーク将軍に後詰めを要請しよう。おい、頼むぞ!」

キモ男は傍で控えていた兵を呼び、使者として遣わした。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.221 )

日時: 2016/10/11 11:09
名前: 敗北者

どのみち、オルトロスを倒さなければ策は為らない。李信は自隊を掻き分けて前に飛び出した。

「俺がグリーン王国軍の将・李信だ!」

「そこに居たか敵の指揮官!赤牡丹の仇を取ってやる!」

オルトロスが運動エネルギーをベクトル操作して高速で李信に向かってくる。

「破道の六十三 雷吼炮」

鬼道の雷はオルトロスを逸れてオルトロス隊の兵を呑み込む。

「こっちだ!」

オルトロスが背後に回って拳を突き出す。しかし拳は六角形型の白い防御壁に阻まれた。

「ミジョン・エスクードだ。俺に背後からの攻撃は通用しない!」

李信が抜刀し、背後に向かって振り向きざまに薙ぎ払うが、オルトロスの姿は既にそこには無い。

「こっちだよ間抜け!」

頭上からオルトロスから拳を振り下ろす。

「外殻静血装(ブルートヴェーネ・アンハーベン)」

血装(ブルート)の紋様が外に出現し球体の防御壁でオルトロスの攻撃から身を守る。

「効いてねえ!」

「俺にお前の能力は通用しない!俺は物理法則ではなく霊力で戦う者!ベクトル反射は無意味!」

「八爻双崖」

李信が外と隔絶された結界を展開する。

「簒奪聖壇(ザンクト・アルタール)」

更に李信は聖なる光の領域をオルトロスの周囲に作り出した。

「これで2人きりだ。将兵に遠慮なく全力でお前を討ち取れる!」

「ほざけ!霊力だからってベクトル反射や触れることによる攻撃は効かねえかもしれんが…!何?能力が出さねえ!」

オルトロス自分の身に起こった異変に気付いた。大気を集めてプラズマを作り出そうとするも、能力を発動することが出来ない。

「簒奪聖壇(ザンクト・アルタール)は相手の能力を奪う技だ。お前はもう無能力者なんだよ。」

李信が大気を集めてプラズマを作り出す。

「お前が俺にしようとした技で、お前を殺す!」

「ま、待て!そんなチート技反則だろ!」

オルトロスが怒りに任せて怒号を飛ばすも、力を失ったオルトロスに最早為す術はない。

「死ね。」

李信の掌に集められたプラズマがオルトロスに頭上から落とされた。

八爻双崖が解除される。再び景色は戦場へと戻る。両軍の将兵の怒号と悲鳴が耳を刺激する。

「サバ軍武将オルトロスをこの軍王国の李信が討ち取った!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.222 )

日時: 2016/10/11 11:11
名前: 敗北者

「これはいい能力を手に入れたな。オルトロスには感謝せねば。」

李信がオルトロスを討ち取り、李信隊は勢いを取り戻す。ぱしろへんだすが李信隊を猛攻しているがオルトロスの戦死を聞いて態勢を立て直す為に退却を開始した。

指揮官を失ったオルトロス隊が混乱し始める。だがオルトロス隊は退かない。ぱしろへんだすの他にオルトロス隊を受け持つ者が留まり踏ん張っているのだ。更にゆかり隊の猛攻が続いている。

だが息を吹き返した李信隊はゆかり隊を跳ね返し始めた。李信隊の槍隊がゆかり隊の騎兵を馬防柵で勢いを封じてから突き崩していく。更にオルトロス戦死の報でゆかり隊も混乱をきたし始めた。

「キモ男さん、アティークに再度使者を送れ!後詰めは無用と!」

「承知!」

オルトロス隊が力を失い始めた今、アティークの後詰めは不要になった。自身の面子もあるが、万一の為に総大将の兵は全体の為に温存したいのが李信の本音だった。

「今だ!ゆかり隊を押し返せ!」

ゆかり隊との攻防において前線部隊を指揮しているのは李信につけられた与力・マロンである。

「しぶといオルトロス隊を突き崩す!氷河期さんに合図を送れ!」

近くの兵に命じて狼煙を上げさせた。

「直江さんの合図だ!者共かかれ!オルトロス隊を殲滅する!」

エイジス隊が間道の出口からオルトロス隊の真横に出現し、オルトロス隊の左側面を突いた。不意を突かれたオルトロス隊は浮き足立つ。エイジス率いるガルガイド王国第二騎士団の騎兵が次々に混乱するオルトロス兵を突き伏せる。

「何事だ!」

「右側面が敵の別働隊が突如現れ攻撃に曝されています!エイジスの部隊です!」

ぱしろへんだすが側面の異変に気付き、伝令の報告を受ける。

「このままでは正面と側面からの挟撃ではないか!殿は俺が務める!退却するぞ!」

ぱしろへんだすは素早く断を下し、オルトロス隊は退却を始める。

「俺が追撃する!キモ男さんはゆかり隊を頼む!」

「承知!」

李信は1000の手勢を率いて逃げるオルトロス隊への追撃に移る。オルトロスを討ち取り勢いに乗る李信隊がオルトロス隊に追いすがり、討伏せていくが、ぱしろへんだすが獅子奮迅の働きで李信隊を跳ね返す。

「あの男が邪魔だ!俺がやる!」

「我は鋼なり、鋼故に怯まず、鋼故に惑わず、一度敵に逢うては一切合切の躊躇無く。これを滅ぼす凶器なり。鉄血転化!」

別働隊を率いて側面攻撃を行っているエイジスがオルトロス隊を切り伏せ続け、隊の指揮を第二騎士団の士官に任せてぱしろへんだすに向かって単騎斬り込みを開始する。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.223 )

日時: 2016/10/11 11:11
名前: 敗北者

クワキタ山 サバの本陣

「申し上げます!オルトロス様お討ち死に!オルトロス隊はぱしろへんだす殿が率いて持ち堪えておりますがついに退却を開始、崩壊は時間の問題です!」

サバが遣わした斥候の1人が本陣に戻り、味噌カツ戦死に続く更なる凶報をもたらした。

「オルトロスまでもが…!一体何をしている!このままオルトロス隊が崩壊すればゆかり隊が危ないではないか!それに中央は何をしている!ピザ屋はどうした!何故動かん!右軍の援護に回れと命じた筈だ!」

兵力で勝るサバ・ランドラ連合軍の勝利をサバは信じて疑わず決戦に臨んだ。ところが、蓋を開ければ凶報ばかりが舞い込んでくるのである。こんな筈では無い、サバはそう強く感じているからこそ理想と現実の大きな乖離に焦りを募らせる。

「それが、ランドラ帝国のセール大将軍からこのような書状が届いておりまして…」

サバは兵が差し出した書状を強引に取り上げて開く。

「決戦を左右する中央軍を他へ回すわけには参りません。我が中央軍は敵中央軍の必死の抵抗に遭い、攻めあぐねております。此処はサバ様ご本人が出馬し、右軍の後詰めとして向かわれるべきかと思います。」

サバは読み終えると激怒して書状を破り捨てた。

「左軍も苦戦しておるではないか!何故セールとまさっちは動かない!出撃の狼煙を上げろ!」

「先程から何度も参戦を促していますが、頃合いを見計らっているとの一点張りで動く気配がありません!」

配下の兵の知らせに更に苛立つサバである。

「2人は何をしている!右軍こそ劣勢だがセールとまさっちの2万が参戦すればまだ巻き返せるではないか!」

戦が始まって3時間 サバ・ランドラ連合軍54000の内、戦っているのは3万余りだった。兵力で劣っているかっしー・グリーン連合軍に明らかに押されているのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.224 )

日時: 2016/10/11 11:12
名前: 敗北者

中央軍ではリキッド隊がぃょぅ隊とぶつかり、頃合いを見計らって退却し馬防柵、空堀、土塁を利用して被害を与えていた。

ぃょぅ隊の苦戦を見てくれない隊といぬなり隊が参戦し、必死に猛攻をかけるが堅固な陣の前に苦戦を強いられていた。
リキッド隊の左右にそれぞれ3000の部隊が展開し、後ろを3000の部隊が固めている。この後ろの3000は前方に置かれていたが、リキッド隊と配置が入れ替えられていた。

李信はセールが仮に内応しなかった時のことを考え、味方中央に合計11000を配置して最も厚くしていた。セール隊を除いた敵中央軍は12000。数では僅かに味方が劣っているが、堅固な防御陣地により容易に攻撃を防いでいた。

しかしセールが内応しなければ敵は27000の兵力で攻めてくる。如何に堅固な防御陣地があるとは言え、ランドラ帝国最強のセールの大軍を受けてはひとたまりもない。そこで李信は自分達左軍が、中央軍が苦戦したら敵右軍を破った後に、敵中央軍やサバ本軍が味方左軍に向かってこなければ敵中央軍の右側面を突いて助成するか、それが不可能な状況ならばアティークやかっしーの本軍が後詰めするよう指示していた。

因みに味方左軍については李信は崩れることはないと確信していた。まさっちがクワユキ山に布陣して敵をこのクワッタに引きずり出した時点で実は内応を確信していたからである。

敵中央軍のぃょぅ隊が苦戦していると、いぬなり隊4000がぃょぅ隊と入れ替わりリキッド隊に猛攻をかける。くれない隊3000も味方中央軍に攻撃を開始した。

これを受けて味方中央右翼の星屑と中央左翼の小銭がリキッド隊の援護に入った。戦場中央はこのクワッタの戦いで最も激戦となる。

しかし敵の中央軍は戦いながら疑問を抱いていた。何故セールが参戦しないのかと。
セールは最も多くの兵を率いている。そのセールが何故中央軍に加勢しないのか、セールが加勢すれば一気に突破出来るのにと。

しかし、セールは動かない。まさっちも動かない。既に李信の策により調略を受けてかっしー・グリーン軍に内応していたからである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.225 )

日時: 2016/10/11 11:12
名前: 敗北者

中央軍右翼を率いるのは星屑であった。星屑隊3000は敵のいぬなり隊と激突していた。

「俺、軍を指揮するのなんて初めてなんだが。よっぽど人材不足なんだなグリーン王国。あれ?」

星屑が前を見やると柵や空堀、土塁を利用して守る自隊の前で見覚えのある顔を見つける。

「あれはフクナガ!今日こそ引導を渡してやる!」

宿敵フクナガの姿をいぬなり隊の中に発見し、星屑は前線に飛び出した。

「お前、フクナガだな!俺が星屑だ!今日こそケリをつけようぜ!」

柵の真後ろまで出てフクナガを呼びつける。

「お前は星屑か!ちょうどいい!我が新しい愛機・スサノオの力を見せてやる!来い!」

フクナガへ頭上に現れたモビルスーツのコクピットに飛び移り、乗り込む。

「そんなロボット、ぶっ壊してやる!マジシャンズレッド!」

因縁の対決が始まろうとしていた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.226 )

日時: 2016/10/11 11:13
名前: 敗北者

「このスサノオは擬似太陽炉を搭載したGNフラッグだ!会いたかった!会いたかったぞ星屑!貴様を殺すこの時を!俺はずっと待ち侘びていたのだ!」

星屑のスタンド・マジシャンズレッドのクロスファイヤーハリケーンをビームサーベルで切り裂く。

因みにフクナガと星屑の一騎討ちにより、いぬなり隊と星屑隊の将兵は戦闘を停止し、両隊と共に2人から距離を取った。(某春秋戦国時代漫画理論)

「邪魔は居ない!思い切り楽しもうぜフクナガー!クロスファイヤーハリケーン!」

マジシャンズレッドで再度、炎を十字に固めた攻撃をモビルスーツ・GNフラッグのスサノオに打ち込む。

「そんな小さな炎では、俺の心すら燃え上がらせ切ることすら不可能だ!GN粒子砲発射ー!」

スサノオがGN粒子を集め、赤いビーム砲が発射される。

「ザ・ワールド!」

星屑はスタンドのザ・ワールドで時間を停止させ、数秒の間にスサノオに接近する。

「そして時は動き出す。」

時間停止が終了し、世界の時間は再び動き出す。

「コクピットの目の前に星屑が!何故だ!」

フクナガの目には、突如星屑が目の前にワープしたように映っていた。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!無駄ァ!」

星屑がコクピットをザ・ワールドのラッシュで破壊した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.227 )

日時: 2016/10/11 11:13
名前: 敗北者

「とどめだフクナガァ!」

ザ・ワールドでとどめを刺そうと、フクナガにラッシュをキメに行くが、スサノオの素早い動きにそれは避けられた。

「やるようだな!だがこれならどうだ!トランザム!」

スサノオの機体が赤く輝く。機体性能を上げるスサノオの奥の手である。

「GN粒子砲発射ァ!」

威力が倍増したビーム砲が星屑に向けて放たれる。

「スタンド・クリーム!」

スタンド・クリームを呼び出し暗黒空間を発生させ、ビーム砲を空間に飛ばすことで回避する。

「ビームサーベルの一撃を喰らえ!」

フクナガはGN粒子砲を回避されたことに反応を示さず、ビームサーベルで星屑に切り掛かる。

「無駄だ!我がクリームの暗黒空間の前にお前は無力なんだよフクナガァ!」

クリームが作り出した暗黒空間は、フクナガをスサノオごと呑み込んだ。

「グリーン王国の星屑がフクナガを討ち取ったぞ!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.228 )

日時: 2016/10/11 11:14
名前: 敗北者

「フクナガ殿がやられたぞ!なんだあの暗黒空間は!」

強者であるフクナガを討たれたことはいぬなり隊には衝撃だった。

「ついでにてめえら雑魚も俺の餌食にしてやる!」

星屑のスタンド・クリームの暗黒空間で次々といぬなり隊の将兵を呑み込んでいく。

「まずい、退却だ!退却してセール大将軍に出馬を乞うんだ!」

戦局を見て不利と悟ったいぬなりは退却を命じた。中央軍の主力であるいぬなり隊が敗れたことで中央の戦局はかっしー・グリーン側に傾く。

「追いたいところだが直江の策に従わないとな。」

いぬなり隊が退却しところで、ぃょぅ隊も戦闘を控える。今出れば星屑隊とリキッド隊を相手にすることになるからである。リキッド隊は正面に敵が居なくなったが、更なるぃょぅ隊といぬなり隊の攻撃を想定して動きを止めた。

中央右にくれない隊が取り残され、小銭隊と戦闘を繰り広げ続けていた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.229 )

日時: 2016/10/11 11:15
名前: 敗北者

「クラスカード・ランサー!」

クー・フーリンの姿に扮した小銭は自ら先頭切ってくれない隊に特攻を始めた。英霊の力を身に纏った小銭の素早い動きと槍術の前に、くれない隊は屍の山を築いていく。

「お前が小銭か!これ以上好き勝手はさせんぞ!」

指揮官のくれないが、小銭の暴れっぷりに痺れを切らして前に出てきたのである。

「来い!クリムゾン!」

くれないがクリムゾンという名前を叫ぶと、肩に乗る程の小型の龍が現れた。

「これは俺の精霊だ!この世界で発現した俺のオリジナル能力!お前みたいな丸パクりの紛い物能力とは違うんだよ!」

クリムゾンがくれないと同化し、くれないは炎の服と赤い瞳、龍の形を模した鎧を装着している。

「うるせえ!オリジナルかパクりかは関係ねえ!力が全てなんだよ!受けてみろ俺の魔槍を!」

小銭が跳び上がり、槍の鋒をくれないに向けて構える。

「ゲイ・ボルグ!」

小銭は真紅の魔槍を投擲した。ゲイ・ボルグはくれないの心臓目掛けて突き進む。

「ファイアーウォール!」

くれないが眼前に手を翳して炎の壁を作り出す。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.230 )

日時: 2016/10/11 11:43
名前: 敗北者

展開された炎の壁とゲイ・ボルグが激突する。

「ゲイ・ボルグは相手の心臓を穿つという結果を発生させるもの。お前には防げない!」

「クッ…ウオオオオオオ!」

しかしくれない魔力を注ぎ込んでゲイ・ボルグの投擲を防いだ。ゲイ・ボルグは直線移動で小銭の手元に戻る。

「ゲイ・ボルグが防がれるとは思わなかったぜ。クラスカード・セイバー!」

小銭がセイバーのクラスカードを取り出し、聖剣を持つ騎士の姿になる。

「炎斬波!」

くれないの右手の掌に炎の刃が出現する。その炎の刃を振りかぶり、振り下ろすと炎の斬撃となって小銭に向かって飛んでいく。

「弱いな!」

小銭は聖剣で斬撃を切り裂く。

「なんだその武器、見えねえぞ!」

「これは風王結界(インビジブル・エア)と言ってな。風を纏わせて光を屈折させて見えなくしてるんだよ。」

小銭はくれないの疑問に答えると、一歩踏み込んでから跳んでくれないに接近する。

「炎の剣で勝負してやる!」

くれないが炎で出来た剣を作り出し、小銭と鍔迫り合いになる。

「剣が見えないんじゃ戦いづらい!」

「さっさと斬られて死ねよ。」

小銭が鍔迫り合いから一歩引いて再び踏み込み、一太刀、二太刀と繰り出していく。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.231 )

日時: 2016/10/11 11:43
名前: 敗北者

小銭の剣を炎の剣で受けていくくれないだが、このままでは埒があかないと判断して距離を取った。

「パイロキネシス!」

くれないの掌から広範囲に向けて炎が発射される。炎は植物を呑み込み、小銭を呑み込もうと迫る。

「すげえ炎だなー。だが!」

天高く跳び上がることでパイロキネシスにより発生した炎をかわす。

「跳んで避けても意味ねえぜ!パイロキネシス!」

小銭の居る上空に向けて豪炎を放つ。小銭を捉え、炎が広がりながら天へと伸びていく。

「エクス…カリバー!!」

聖剣が姿を現し、振り下ろすことで眩い光の斬撃が放たれる。エクスカリバーの聖なる光は炎を呑み込んでくれないの体を頭から股まで両断する。

「よし!敵将くれない、この小銭がぶっ殺したぜ!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.232 )

日時: 2016/10/11 11:45
名前: 敗北者

小銭がくれないを両断すると、戦場の中央東で声が湧き上がる。小銭隊の将兵達である。くれない隊は将を失って後退していく。

同じ頃、李信隊のマロンがゆかりと出くわしていた。

「お前がゆかりか!」

全身を宝飾した派手な姿の女が将兵の人混みの隙間から光を放って現れる。

「私はこの世界のプリンセス、ゆかり!この美貌に加えて明晰な知能、更には…」

「来い!我がジン・バアル!バララークサイカ!」

マロンが腰に差している剣を抜き、稲妻のように折れ曲がった2本の角と龍のような尻尾を持つジンを召喚し、ゆかりに向けて稲妻を放つ。稲妻はゆかりと周囲の兵に命中し、兵は黒焦げになって倒れていく。

「ちょっと、まだ喋ってる途中よ!喰らいなさい、プリンセス・ゆかりアロー!」

全身を覆う宝飾を破壊され、深手を負ったゆかりがマロンの態度に怒り、桃色の光の矢を放った。

「バララークサイカ!」

剣より放たれた稲妻がその矢を打ち消し、ゆかりに最後の光を全身に浴びせた。稲妻が消えると、黒焦げになってこと切れたゆかりが前のめりに倒れた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.233 )

日時: 2016/10/11 11:46
名前: 敗北者

「来てくれ!隕鉄!」

ぱしろへんだすの握り拳に鉄の塊が握られ、それが刀となって出現する。

「この鉄血転化状態の俺に接近戦を挑むとはな。」

エイジスが二丁小刀をしまい、腰から長剣を抜いて構える。

「一刀修羅!」

ぱしろへんだすの周りに風圧が発生し、身体能力を極限まで上昇させる。

「フェンリル・獣人化!」

エイジスは鉄血転化状態のまま獣人化を行い、狼男となったエイジスの全身に赤い紋様が浮かび上がる。

「第二秘剣・裂甲!」

エイジスの眼前から突如姿を消したぱしろへんだすが背後に周りを斬りつけてくる。エイジスは素早く察知して振り向きざまに鍔迫り合いになる。

「今、色はいらない!」

ぱしろへんだすは視界から色を遮断して更に身体能力を上昇させる。

「第七秘剣・雷光!」

視認出来ない速さで不可視の斬撃をエイジスに放つ。しかし速さならエイジスも負けていない。

「エイジストラッシュ」

エイジスが高速でぱしろへんだすの体を斬りつける。ぱしろへんだすはそれを全て隕鉄で受け切る。

「成る程な、お前の剣術覚えたよ。俺の能力・模倣剣技(ブレイドスティール)でな!」

「何!?」

「エイジストラッシュ」

ぱしろへんだすがエイジスと同じ技の名を唱えると、エイジスと全く同じ動きで四方八方から剣撃を繰り出してくる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.234 )

日時: 2016/10/11 11:46
名前: 敗北者

「グハッ…!」

「どうだ?自分の技を受けて傷を負う感想は!」

ぱしろへんだすのエイジストラッシュを受けたエイジスは胸部や腹部の傷から血を流していた。

「だが俺にも時間が無いんだ!行くぞ!」

ぱしろへんだすが更に魔力を掻き集める。

「第一秘剣・犀撃!」

ぱしろへんだすが素早い突きを正面から突き出してくる。

「氷の壁(ジ エロ・ムーロ)!」

氷の壁を急いで展開してぱしろへんだすの突き攻撃を避けるが、ぱしろへんだすは高速移動で脇から同じ突き攻撃を仕掛けてくる。

「エイジストラッシュ!」

ぱしろへんだすの突きを間一髪でかわし、高速剣撃を見舞い全身を斬り刻む。

「この速さは!」

「無想・樹海浸殺!」

精霊の力を引き出し、両手を地面に叩きつけることで禁術が発動する。地面から無数の蔦が飛び出す。

「なら本気を出す!一刀羅刹!」

ぱしろへんだすは身体強化の極限を発揮し、無数に生えてくる蔦を隕鉄で斬り刻みながら突き進む。

「氷の槍(アイスブロック・パルチザン)!」

「第七秘剣・雷光!」

作り出した氷の槍と隕鉄の穂先が互いを捉え、ぶつかり合う。力でエイジスが上回り、ぱしろへんだすの隕鉄が砕け散る。

「お前、まあまあ強かったよ。身体能力が半端じゃねえ。でも、俺の方が上だったな。」

エイジスが言葉をかけると、為す術が無くなったぱしろへんだすの体を無数の蔦が囲い、鋭い枝で全身を貫く。枝や蔦を伝って流れるぱしろへんだすの血液が生々しく大地に滴り落ちる。

「我は戦いの終わりを告げる。我は人なり。」

エイジスは詠唱を唱えて元の姿に戻る。

「さて、これで敵右軍は壊滅だな。俺も持ち場に戻らなきゃ。」

ぱしろへんだすをも失ったオルトロス隊は、エイジス隊に蹂躙されていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.235 )

日時: 2016/10/11 11:47
名前: 敗北者

かっしー・グリーン連合軍の右軍は、開戦当初から最も有利に戦いを展開していた。

それもその筈、味方右軍が守る陣は高台にあるのである。更に敵後方のタカトー山のセールが敵左軍に度々使いを出して「突撃を続けよ。」と無茶な命令を出していた。

無論、セールの姿勢を疑っていない敵左軍は敵中央軍と違ってセールの命令を鵜呑みにして従い続けていたのである。

「劣勢を装って三の柵まで退け!」

味方右軍を統括するのはガルガイド王国かっしー派のぷろふぃーるである。ぷろふぃーるが下知を下すと、5000余りの味方右軍が巧みに敵を引きつけて退却を始めた。

敵左軍は猛然とそれを追ってくる。頃合いを見計らい、味方が退却し、敵が高地の坂を登っているところでぷろふぃーるは合図をした。

「放てー!」

高地に横広く陣取っていた味方右軍が敵左軍を包囲し、矢を射かける。包囲一斉射撃、それがぷろふぃーるの狙いだった。三方から射撃を受けた敵左軍は大混乱をきたした。

「俺が行く!非医学部の雑魚共を蹴散らしてやる!」

前に出たのは医学部ステハンである。矢の雨を掻い潜り、最前列に躍り出て三の柵に肉薄する。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.236 )

日時: 2016/10/11 11:48
名前: 敗北者

「お、敵将が来た。」

医学部の前に立ちはだかったのは白いマントをはためかせた水素である。

「何者だお前は。」

「趣味でヒーローをやっている者だ。」

水素が答えると、医学部ステハンの表情が変わる。

「なんだその適当な設定は!俺はこの世界に生まれ変わる人間共の知能指数があまりにも低いと世界が嘆くことにより転生した医学部ステハンだ!俺はこの天才的頭脳で世界を救うことを使命と思い、日々低知能共を抹殺する為に働いている!それを趣味!?趣味だと!貴様らは…」

医学部ステハンが怪人化し、言いかけたところで水素の拳が炸裂した。医学部ステハンの血飛沫と肉片がその場で飛び散る。

「またワンパンで終わっちまった…クソッタレー!」

またしても敵をワンパンで倒してしまい、水素は虚無感に襲われた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.237 )

日時: 2016/10/11 11:48
名前: 敗北者

「すまない。ホモ以外は帰ってくれないか。」

業を煮やしたああ@がぷろふぃーる目掛けて斬りかかるも、ぷろふぃーるを覆う謎のハート型の障壁が攻撃を一切受け付けない。

「なんだこのバリアーは!喰らえ、イケメンスラッシュ!」

魔力の光を帯びた騎士の剣をぶつけてもビクともしない。

「この性愛の障壁(セクシャル・バリアー)は自分と異なる性愛を持つ者の干渉を受け付けないバリアーだ。俺は同性愛者、お前は異性愛者。お前の攻撃は通用しない。」

「なんだその出鱈目な効果は!イケメンビーーーム!」

掌から光線を発射するも、全て性愛の障壁に阻まれる。

「ひ、退けー!」

包囲射撃を受けた自隊と敵わない敵が前に居ることから退却を決意したああ@だが、ぷろふぃーるからは逃れようもなかった。

「性愛の回転突き(セクシャル・ドリル)」

ハート型の柄尻を持つ光のドリルが現れ、ああ@の尻穴にぶち込まれる。

「アッー!!!」

ドリルは容赦無く尻穴を掘り続け、やがて頭の天辺まで貫通させた。ああ@の無惨な死体が戦場に転がる。

「もう二度と、ウンコ出来ないねぇ。」

「イケメンだけど俺の好みじゃないんだよな。残念。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.238 )

日時: 2016/10/11 11:51
名前: 敗北者

ぷろふぃーる率いる部隊は、同性愛者で構成されていた。男性同士のカップルを共に戦わせることで、恋人同士で守り合い、恋人の前だからこそ奮戦する、騎士達の戦意を高める目的があったのである。現在エイジスが率いている第二騎士団と王国最強の騎士団の座を争っている程である。この部隊は別名・神聖隊と呼ばれている。

「やはりホモが最強!異性愛者など恐るるに足らず!」

ぷろふぃーるがああ@の首を掲げると、神聖隊の歓声が湧き上がる。

「うわキッモ…二次元に来てまでホモかよ…」

隣の部隊を率いて戦う水素は、この味方を大層気色悪がった。医学部ステハンとああ@を失った敵左軍は、社員に率いられて退却していった。

戦いは、各将各部隊の奮戦とセール、まさっちが動かないことによりかっしー・グリーン連合軍の圧倒的有利に進んでいた。戦場西では一向に出撃許可を出さないセールの命令を破り、ピザ屋が李信隊、平行隊、エイジス隊からゆかり隊やオルトロス隊を救うべく出撃していたが、オルトロス隊やゆかり隊は壊滅した後だった。敵中で孤立したピザ屋は三部隊から攻撃を受けて戦死、ピザ屋隊も壊滅した。これにより、更に敵中央は手薄になった。

アティーク、かっしーそれぞれの本陣には李信が遣わした使者が訪れていた。

総攻撃をかけるから狼煙を上げろ。それで味方全軍にもセールやまさっちにも伝わるとの口上である。

承諾したアティークは狼煙を上げさせた。狼煙がグワグワ山から天高く打ち上げられた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.239 )

日時: 2016/10/11 11:52
名前: 敗北者

クワキタ山 サバの本陣

次々と舞い込んでくる凶報にサバは半ば青ざめていた。 そして敵本陣のグワグワ山から狼煙が上がったのを確認した。敵の総攻撃の合図である。

「狼煙を上げろ!セールとまさっちの出馬を促せ!」

先程から何度も狼煙を上げているが、セールもまさっちも傍観するのみであった。

サバ本陣から7回目の狼煙が上がった。既に敵が総攻撃をかけるべく進み始めていた。

「まだ敗残兵をまとめて俺も出馬し、セールの15000とまさっちの5000が動けば戦局を五分に持ち込める!」

「サバ様、あれをご覧下さい!」

近くの兵が西の方角を指差して叫んだ。タカトー山のセール隊とクワユキ山のまさっち隊が動き出し、下山を始めたのである。

「やっと応じたかウスノロ共め。これで巻き返しを…ん?」

サバは目を疑った。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.240 )

日時: 2016/10/11 11:52
名前: 敗北者

「まさっち隊が左軍の社員の方に向かっている…あいつ、血迷ったか!」

まさっち隊が目指しているのはグリーン・かっしー連合軍右軍のぷろふぃーる隊や水素隊ではなく、味方の社員隊だった。

「サバ様!タカトー山のセール隊も!」

タカトー山に目を見やる。明らかに味方のいぬなり隊やぃょぅ隊を目指して下山しているのである。

「奴ら…奴らまさか!まさか!」

サバの頭に最悪の事態が思い浮かぶ。その最悪の事態が起きれば最早持ち堪えられない。味方の負けが確定するのである。

そしてサバの予感は現実のものとなった。まさっち隊が社員隊を、セール隊がいぬなり隊を攻撃し始めたのである。

「申し上げます!セール隊が味方中央軍を、まさっち隊が味方左軍を攻めております!」

目の前の信じ難い光景と、伝令兵の伝令が、サバを絶望へと叩き落とした!

「裏切った!まさっちとセールがこの俺を裏切りよったぁぁぁ!」

サバが激昂し、床几から立ち上がって抜刀するや否や、自身の馬印を切り倒した。

「アティークとかっしーの本軍が動き出しましたぁ!」

兵が正面の方向を指差して叫ぶ。この機に乗じてアティークとかっしーも総攻撃に参加すべく動き出したのである。

サバ・ランドラ連合軍は正面からかっしー・グリーン連合軍、西からまさっち隊、中央軍の背後からセール隊の攻撃を受けることになり、退路はサバ本陣のクワキタ山から南しか無くなったのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.241 )

日時: 2016/10/11 11:53
名前: 敗北者

「サバ様!此処はお退き下さい!生きて再起を図るのです!」

サバの側近がサバに退却を促す。もはや勝敗は誰の目にも明らかであった。

「敵左軍の李信、エイジス、平行が此方に向かっております!お早く!此処は我らが食い止めます!」

サバの側近・トラウマがサバの腕を掴み、無理矢理陣幕から引きずり出して背中を押した。

「トラウマ…お前…」

「サバ様、諦めてはなりません!死んではなりません!ランドラ帝国に戻ればまだ十分戦えます!再起の道があります!」

サバはトラウマの必死の説得を受けてついに退却を命じた。

「無念だが勝敗は決した!これよりこのクワッタから俺は落ち延びる!」

サバは3000の兵をトラウマに与えて殿を任せ、自らは2000の兵を伴いクワキタ山から下山を始めた。目指すはランドラ帝国領である。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.242 )

日時: 2016/10/11 11:58
名前: 敗北者

セール隊の裏切りにより、背後と正面から攻撃を受けることになったいぬなり隊は、壊滅寸前の状況だった。自らの部隊と敗残兵を合わせて8000以上居た中央軍は、もはや3000以下に減っていたのである。

「申し上げます!社員様お討ち死に!味方左軍壊滅!」

いぬなりにもたらされる更なる凶報。いぬなりは此処で死ぬ覚悟をより一層硬くした。

「いぬなり様、此処はお逃げ下さい!セール隊の先鋒と星屑隊、リキッド隊、小銭隊がこの陣に迫っています!」

「此処で逃げたら敵がサバ様の所へ雪崩れ込むではないか!少しでも時間を稼ぐのだ!サバ様が落ち延びる時間を!」

側近の言葉を否定し、自ら剣をとって戦い続けるいぬなりだが、ついに最期の時が訪れた。

「そこに居るのはいぬなり殿とお見受けする!」

「如何にも俺がいぬなりだ!」

「我こそはセール家臣・ハンペル!いぬなり殿覚悟ー!」

セール隊のハンペルがいぬなりの剣撃を受け流し、刀身が黒と紫に彩られたロングソードをいぬなりの胸部に突き立てた。

「セール…この裏切り者め…!」

いぬなりの遺骸から首が切り取られ、天高く掲げられた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.243 )

日時: 2016/10/11 12:00
名前: 敗北者

ランドラ帝国軍の部隊長の1人・ぃょぅ。彼にも最期の時が迫っていた。

「そこに居るのはぃょぅだな!俺は星屑!死んでもらうぞ!」

「かあやた。」

ぃょぅは星屑相手に剣を向け、魔法陣を展開して火炎系魔法を撃ち出すが、星屑のスタンド・クリームの前では無力だった。

「せめて痛みを感じることなく安らかに眠れ。」

ぃょぅは暗黒空間に呑み込まれた。ぃょぅの死により、中央軍は完全に戦闘不能に陥り壊滅したのである。

サバ・ランドラ連合軍の中央軍を撃破したセール隊、リキッド隊、星屑隊、小銭隊 更には敵右軍を壊滅せしめたぷろふぃーる隊、水素隊、まさっち隊が逃げるサバを追いかけるべく戦場西へと移動を始めた。

落ち延びていくサバを追い、左軍の李信隊、エイジス隊、平行隊がトラウマ率いる3000の殿部隊に殺到していた。更に右側面から中央軍や左軍を撃破した味方の部隊が駆け付け、トラウマ隊の側面を攻撃し始めた。

「もはやこれまでか…。サバ様は無事に逃げられただろうか。」

いつの間にか味方は屍の山を築き、自分1人が敵中に孤立していた。

「お前がトラウマだな。現実世界ではよくも俺に変なあだ名をつけてくれたな。俺がお前を殺してやる。」

「ほざけこの雑魚が!」

トラウマの水を纏った斬撃が李信の胴を斬りつける。だが傷を負ったのは李信ではなくトラウマだった。

「何故!斬ったのは俺の方だ…」

「オルトロスから奪った力は実に便利だな。トドメだ。」

深い傷から血を流して項垂れるトラウマの肩に触れ、血液を逆流させる。全身から血が噴き出し、トラウマの息は止まった。

時刻は既に夕方4時になっていた。アティークやかっしーから各隊の将に使者が派遣され、戦闘の停止命令が伝えられた。夜間での追撃は大いなる危険が伴い、ランドラ帝国の動きも読めないからである。

クワッタの戦いはかっしー派とグリーン王国の大勝利で幕を閉じたのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.244 )

日時: 2016/10/11 12:00
名前: 敗北者

午後5時半頃

戦いを終えたかっしー派の各隊の将が続々とバカンリニ山のかっしーの本陣に集まっていた。

「此度の勝ち戦、誠に祝着至極!」

各将の方を向いて前で床几に座る平行が第一番にかっしーに祝いの言葉を述べる。

「まさかこれ程鮮やかに勝てるとは思わなかった!これも皆の力があってこそ!礼を言うぞ!」

「ありがたきお言葉!」

平行に続き、各将が床几に座したまま頭を下げた。

「そろそろグリーン王国の方々も来る筈だ。皆、粗相の無いようにな。」

グリーン王国軍の将達も集まろうとしていた。

グリーン王国の将達がかっしー本陣の陣小屋に続々と入る。

総大将のアティーク、人材不足の為急遽抜擢された小銭、星屑、水素、そして右軍の部隊の指揮官として参加していたグリーン王国の譜代である二代目ダメツナやヤナギの姿もあった。

「グリーン王国のお歴々、さあどうぞお座り下され。」

かっしーは自らの王位を確かなものとする為に援軍として馳せ参じ、奮戦した将達に低姿勢で接した。

「かたじけない。」と表面上は口にして着座する一同だがかっしーは欠けていることに気づいた。

「今回の大勝利の立役者が居ないようですが…あの者の策と調略のおかげで勝てたというのに…」

「李信ならセール殿とまさっち殿を呼びに行っています。寝返り組は顔を出しづらいそうで…」

アティークが答える。

「そうか。では全員揃うまで少し待つとしよう。」

陣小屋は勝利の喜びを分かち合う勝達の歓声で満ちていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.245 )

日時: 2016/10/11 12:01
名前: 敗北者

「セール殿、まさっち殿。此度の大勝利は貴殿らのお働き無くしてありえませんでした。胸を張って堂々となされば良いではありませんか。」

李信は中々顔を出したがらないセールとまさっちの説得に当たっていた。

「ねえ君。俺達が白い目で見られない保証はあるの?^^;」

「まさっち殿、万事この俺がフォローしますので、何卒!」

「君がフォローすれば場の空気を保てるってこと?それって君の主観だよね^^はい論破^^」

まさっちは先程から態度を変えない。

「仕方ない。気が重いが俺は行く。堂々とな。」

セールが噤んでいた口を開く。

「おいセールさん、そりゃないぜ!」

まさっちがセールに突っ掛かる。

「セール殿ありがとうございます。まさっち殿も…」

「あー分かった分かった。俺らのおかげでお前らは勝てたんだからな!忘れんなよ!」

「その意気ですまさっち殿!」

李信に伴われ、セールとまさっちはバカンリニ山を登り始めた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.246 )

日時: 2016/10/11 12:01
名前: 敗北者

李信がセールとまさっちを伴いかっしーの陣小屋に到着したのは午後7時頃だった。

「おー、良くぞ来てくれたな李信殿、まさっち殿、セール殿!」

かっしーは三人を自ら出迎え、中に案内した。 中に入ると、既に他の将達は酒盛りを始めていた。

「皆聞けー!此度の功労者3人が来たぞー!」

かっしーの声で皆が視線を向けてくるが、酒が入っているせいか不穏な空気が流れることはなかった。

「さあ貴殿らも!ささ!」

かっしーは3人に最前列の席に座るように促すと、酒瓶と杯を3人に手渡し、順番に酌をしようと酒瓶を傾ける。

「かっしー待て。俺は酒は飲めんのだ。」

李信はそう言うと酌を拒んだ。

「そうなのか?残念だなー。まさっち殿とセール殿は?」

「頂きます^^」

「頂こう。」

かっしーはまさっちとセールの杯に酒を満たし、2人は一気に飲み干した。

「2人ともいい飲みっぷりですぞ!さあさあ!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.247 )

日時: 2016/10/11 12:02
名前: 敗北者

「しかし李信、お前の策のおかげで我々は勝てた!実に見事な策だった!数で劣る我らがこうも鮮やかに勝てるとは思わなかった!」

横から酒を含んだアティークが絡んでくる。

「いや、各々が奮戦して敵将を討ち取ったのが大きい。まさっち殿とセール殿の活躍も大きい。俺は大したことはしていない。」

「謙遜するなよー!何だお前酒は飲まないのか?」

李信が否定すると、アティークは尚も絡む。

「そうだ直江氏ー。酒だ酒だー。」

「氷河期さん、貴殿も酔っている。酔いを醒ました方がいい。」

更にエイジスが絡んでくる。余程飲んでいる様子だった。顔が真っ赤になっている。

「酒を飲んでるんだから酔って当たり前じゃないかー。」

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