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「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」

日時: 2016/10/10 21:57
名前: 敗北者

【概要】
ポケガイ民が理想の力(オリジナルも既存作品からのも)と容姿を手に入れ、二次元世界に生まれ変わる。力を使って戦いを繰り広げたり、二次元ヒロインと出会って生き抜いていく物語である。

【あらすじ】
ポケガイ住民のとある青年は、ある日呆気なくその短い生涯を閉じる。次に彼が目を覚ますと、そこは憧れの二次元世界だった。理想の力と容姿を手に入れた青年は様々な出会いと戦いを繰り返して生き抜いていく。

ロック/修正

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Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.248 )

日時: 2016/10/11 12:02
名前: 敗北者

「しかし李信、お前の策のおかげで我々は勝てた!実に見事な策だった!数で劣る我らがこうも鮮やかに勝てるとは思わなかった!」

横から酒を含んだアティークが絡んでくる。

「いや、各々が奮戦して敵将を討ち取ったのが大きい。まさっち殿とセール殿の活躍も大きい。俺は大したことはしていない。」

「謙遜するなよー!何だお前酒は飲まないのか?」

李信が否定すると、アティークは尚も絡む。

「そうだ直江氏ー。酒だ酒だー。」

「氷河期さん、貴殿も酔っている。酔いを醒ました方がいい。」

更にエイジスが絡んでくる。余程飲んでいる様子だった。顔が真っ赤になっている。

「酒を飲んでるんだから酔って当たり前じゃないかー。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.249 )

日時: 2016/10/11 12:03
名前: 敗北者

「勝てる戦を、僅か1日で…!」

クワッタの戦いに敗れたサバは2000の兵に守られながらランドラ帝国目指して逃げ続けていた。ランドラ帝国へ落ち延びる途中にマツモト城というサバ派の城がある。一先ずそこに入り休息してからランドラ帝国に帰還するつもりだった。

「兵力では勝っていた!それをセールとまさっちが!」

セールとまさっちの裏切りでサバ派の敗北は決定的になった。サバの胸にセールとまさっちへの憎しみの炎が燃え盛る。

「…誰かがこの戦いの裏で糸を引いていた!そうでなければありえない!」

サバはセールとまさっちを寝返らせた誰かを、八つ裂きにしてやりたい思いでいっぱいになった。

「サバ様、明日にはマツモト城に着きます。お気を強くお持ち下さい。」

兵に励まされながら、サバは惨めに落ち延びていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.250 )

日時: 2016/10/11 12:04
名前: 敗北者

翌日昼頃、マツモト城に到着したサバは城主の捏造ステハンに迎えられて城の中にある風呂でルイと2人で入浴していた。

「良い湯だな。敗戦の疲れが癒されていく。」

「はい。極楽ですね。…何か音がします!」

ルイが具足が擦れる音が此方に近づいてくるのを感じた。

「はて?まあ戦支度だろう。この城まで敵が追撃してくることも考えられるからな。」

サバがそう言った途端、大浴場の戸がバタンという音を立てて開けられた。入ってきたのはマツモト城主・捏造ステハンの手下10名程であった。全員が武装し、刀を手に持っていた。

「無礼者!入浴中であるぞ!下がれい!」

サバが大音声で怒鳴りつける。ルイは恐怖で震えている。

「サバ様、主命によりお命頂戴仕る!」

捏造ステハンの配下達が剣を構えてサバに詰め寄ってくる。

「おのれ!裏切ったな卑怯者め!」

サバは近くにあった風呂桶に湯を満たして刺客に投げつけて抵抗するが、無駄な足掻きである。刺客の1人が振り下ろした刃がサバの肩を切り裂く。

「むっ…ぐぅ…」

サバの肩から胸にかけての傷から血が流れ、湯船を真っ赤に染めていく。

「お覚悟!」

仰け反ったサバの胸部を刺客の刃が貫いた。サバは絶命し、飛沫音を立てて湯船に倒れる。死体から流れ出てくる血が湯船の全てを真っ赤に染めた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.251 )

日時: 2016/10/11 12:04
名前: 敗北者

「ヒッ…!」

サバと共に入浴していたルイは恐怖で体を硬直させる。

「お覚悟!」

刺客はルイも始末した。湯船に2人の死体が並ぶように浮かんでいる。

「よし、首を取れ!捏造ステハン様にご報告するぞ!」


マツモト城 城主の間

「良くやった。下がって良いぞ。」

捏造ステハンは差し出された二つの首桶の蓋を開け、サバとルイの首を確認すると刺客達に退出を命じた。

「これらの首をすぐにかっしー殿に届けて来い!」

「はっ!」

捏造ステハンはすぐに使者をかっしーに向けて遣わした。これで自分の首は繋がり、本領は安堵される。そう信じて疑わなかったのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.252 )

日時: 2016/10/11 12:04
名前: 敗北者

夕方、逃げるサバを追ってかっしーとグリーン王国の連合軍5万3000余はマツモト城を目指して進軍していた。そこへかっしーのもとにマツモト城からの使者が馬で駆けてきたのである。

「かっしー様、御目通り叶い恐悦至極に存じます。」

かっしーは進軍停止を命じて使者と会っていた。

「まずはこれをご覧下さい。」

使者が二つの桶をかっしーに差し出す。かっしーが受け取り、蓋を開けると驚きで目を丸くした。

「サバとその妻・ルイの首でございます。」

使者に言われずとも分かる。昨日まで王位を争った大きな敵は、無惨に首だけになってかっしーの前に現れたのである。

「つきましては、かっしー様への言伝を主・捏造ステハンより仰せつかっています。」

「言ってみろ。」

「本領安堵と命の保証を約束していただきたく…。」

「…。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.253 )

日時: 2016/10/11 12:05
名前: 敗北者

「そのくらいいいだろかっしー。そいつらのお陰でランドラ帝国へと逃げていくサバを追う手間が省け、こうして確実に首が手に入った。認めてやれ。」

横から首を突っ込んできたのは李信であった。クワッタの戦いの勝利にその智謀で大いに貢献した李信は、この軍中で大きな発言権を得ていた。

「李信殿がそう言うなら良いだろう。城主とその一族郎党並びに城兵全ての命を保証し、本領安堵を約束しよう。」

「ありがたき幸せ!私は戻って主に急ぎ伝えますのでこれにて!」

使者は嬉々とした表情で一礼して去っていった。

「かっしー、マツモト城に居る者は老若男女の別無く皆殺しにしろ。約束を守ると言って城を明け渡させ、降伏の証に武器を捨てさせる。そして一網打尽にする。」

使者が去ると、李信は先程とは真逆のことを口に出す。

「何を言ってるんだお前は!さっきと言ってることが違うじゃないか!マツモト城の皆を騙すのか!」

かっしーがあまりのことに激怒する。

「奴らは元々お前の敵だぞ。お前が勝ったからといって容易に鞍替えし、お前に擦り寄る。今更遅い。それに奴らを許して本領安堵すれば、此度の戦で戦った将兵に与える恩賞の地の確保がまた難しくなる。」

李信は平然と冷酷な性格を露わにする。

「ならん!絶対にならん!良いな!」

かっしーは李信に怒鳴りつけると、その場を立って再び進軍を命じた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.254 )

日時: 2016/10/11 12:05
名前: 敗北者

「アティーク、かっしーと話をつけて来い。」

グリーン王国軍総大将のアティークに、李信は話をつけようとしていた。

「何のことだ?」

「マツモト城の降伏に際しての手続きは我らグリーン王国軍が行う故、かっしー軍には待機していてもらいたいとな。」

「お前、何のつもりだ?」

「…かっしー軍の勝利は我らグリーン王国軍の手柄であると世界に誇示する為だ。戦後処理の一環であるマツモト城降伏の儀は我らが受け持つとな。」

アティークは納得したような表情に変わると、すぐにかっしーに向けて馬を走らせた。

「…。」

しかし李信の狙いは別にあった。彼の心の奥底の本性が表へ出ようとしていた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.255 )

日時: 2016/10/11 12:06
名前: 敗北者

「我らはグリーン王国軍である!マツモト城を検めに参った!城内の者共は武器を捨て、城外に出よ!」

アティークがかっしーに何とか話をつけてグリーン王国軍がマツモト城の降伏の儀を担当することになった。李信はアティークと話をつけてその担当者となり、李信隊が城の前に出ていた。

程無くして城主・捏造ステハンとその一族郎党、城兵の合計5000人が城を出て李信隊の前に出頭してきた。

「グリーン王国の李信殿ですな?私はマツモト城主の捏造ステハンと申します。此度は降伏をお許しいただき誠にありがとうございます。」

恭しく捏造ステハンが李信に頭を下げる。

「全員丸腰かどうか調べろ!」

捏造ステハンの言葉は無視し、自体の兵に降伏してきた5000人が丸腰かどうかを徹底的に調べさせた。

「よし、全員丸腰か。ならば良し!」

李信が右手を上げると、それが合図となり李信隊の兵達が弓矢をつがえる。

「これは一体どういうことでしょう!?李信殿!」

「やれ!」

捏造ステハンの声には耳も傾けず、自隊に射撃を命じた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.256 )

日時: 2016/10/11 23:35
名前: 敗北者

弓隊の射撃が丸腰の捏造ステハンとその一党を正確に射抜いた。女子供の断末魔が木霊するが、李信はまるで意に介しない。

数分経つと、そこには矢の雨を浴びた捏造ステハンとその一党5000人の死体が血の川を流して横たわっいるという、凄惨な光景があった。

「李信!何をしている!」

女子供の断末魔に気づき、アティークが駆け付けてきたが、事は終わった後だった。

「お前、独断でこんなことを!許されると思ってるのか!」

アティークが凄惨な光景を目にして額に青筋を浮かべて躙り寄る。

「戦後処理の為だ。それに…」

李信が言いかけたところで辛うじて息をしている捏造ステハンが力を振り絞って声を上げる。

「どうして…さっきと言ってることとやってることが違うじゃないか…。それに、まさっちやセールの裏切りは許されて何故俺だけ…」

「まさっちやセールは俺が調略をかけて裏切らせたのだ。だがお前は違う。お前は必要無いんだよ。」

李信はそう吐き棄てると、刀で心臓を突き刺してとどめを刺した。

「こいつらを許せば恩賞として配る土地が確保出来なくなるんでな。」

「何を言っている!ここはガルガイド王国領だぞ!まさかお前勝手にセールに…!」

「戦後処理の主導権は我々グリーン王国が握る。城の接収に行くぞアティーク。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.257 )

日時: 2016/10/11 23:36
名前: 敗北者

凄惨な光景は城外だけではなかった。

「こいつはひでえ…」

アティークは想わずそう呟いた。アティークと李信が目にしたのはサバを守っていた兵達の死体だった。城内に血の池が広がっていた。

「捏造ステハンの命令だろう。何らかの方法で武器を別の場所に置かせてくつろいでいるところで騙し討ちにした。」

李信が自らの推察を述べる。

「始末する手間が省けたな。」

「李信、お前どうかしてるぜ…。」

アティークが李信のあまりの冷血漢ぶりに声を震わせる。

「此処で奴らが騙し討ちにしてくれなければ、俺達はまた損害を出していた。奴らは後始末をした後俺に始末された。味方の被害を避け、更に戦後処理で有利に立つ良い展開だ。」

「死体を片付けろ!アティーク、暫く此処に留まるぞ。」

李信が配下に城の片付けを命じると、アティークにも指示を出す。

「おいてめえ、いい加減にしろよ。」

アティークが再び怒りを露わにする。

「何がだ?俺は最も有効な手段を用いているに過ぎない。」

「総大将は俺だ!お前に指図される謂れは無い!」

アティークが李信の胸ぐらを掴む。

「俺の指示を受けて軍を動かさなければクワッタの戦いは勝てなかった。戦いへのお膳立ても全て俺がやった。お前は最早俺無くして今後の戦後処理も進められない。俺がそう仕組んだからな。まさっちやセールへの調略は戦いの勝利の為だけでは無い!お前はもう俺には刃向かえない!」

李信の表情が悪い笑いへと豹変する。

「貴様…!本性を現したな!」

アティークの手に力が更に入る。

「俺が居なければ勝てなかったお前が偉そうに俺に意見するな。俺の言う通りにしていればいい。それに…」

「それに…なんだ!」

「お前も総大将として莫大な恩賞にありつける。俺の言う通りにしていれば全て上手くいく。悪いようにはしない。」

「…いいだろう。今はお前に従ってやる。」

アティークが李信の胸ぐらを掴んでいた手を離す。

「だがこれだけは言っておく。勝手な行動は慎め。総大将は俺だ。今後は俺に相談無く事を進めるな。」

「…いいだろう。」

李信とアティークは通路で繋がっている天守閣に入り、城主の間に進んだ。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.258 )

日時: 2016/10/11 23:36
名前: 敗北者

マツモト城 天守閣 城主の間

かっしーとアティークが上座につき、主な将が集まっていた。

平行四辺形、ぷろふぃーる、リキッド、エイジス、二代目ダメツナ、ヤナギ、まさっち、セール、水素、小銭、星屑、李信。

「皆、此度の戦誠に大儀であった。」

かっしーの言葉で各将が一礼する。

「さて、今後の方策のことを協議したく皆には集まってもらった。何か意見はあるか?」

アティークが将達を見回してから確認する。そこで李信が立ち上がる。

「これを見ろ。」

李信が懐から書状を取り出す。それは幻影帝国皇帝のホッサムからであった。

「何でお前が幻影帝国からの書状を!まさかまた勝手に!」

「では、読み上げる。」

アティークを無視して李信は先に進む。他の将達は何が何だか分からないという様子である。

「まずはクワッタの戦いでの大勝利、誠に祝着至極。サバ派とランドラ帝国の主力は見事に壊滅せしめたと聞き及びこの皇帝ホッサム、嬉しき限りです。先日より李信殿とは文通させていただいておりましたが、よもや此れ程鮮やかな勝利を飾るとは思いませんでした。
さて本題ですが、我々幻影帝国はこれを機に貴殿らの存念次第でランドラ帝国打倒の兵を挙げたいと考えております。幻影帝国とグリーン王国、ガルガイド王国で一気にランドラ帝国に攻め込み、滅亡せしめたいと思います。貴殿らのご返答をお待ちしております。」

李信が読み終わると「以上だ。」と付け加えて書状をアティークに手渡した。

「お前、前から幻影帝国と勝手に交渉してたのか…。」

アティークが怒りを見せる。

「だがこの機に乗じてランドラ帝国は始末しておかなければ奴らは後々また厄介の種になるぞ。それに我々だけでは戦力が心許ない。」

「…。」

アティークは黙り込む。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.259 )

日時: 2016/10/11 23:37
名前: 敗北者

「李信殿、私は貴殿に城主やその一党を殺すなと言った筈だぞ。」

かっしーが命令を無視した李信に怒りを露わにする。

「今更内応する者など信用能わん。それに奴らの存在は戦後処理の障害になる。消しておいた方が無難だ。」

李信は悪びれもせず返答した。

「それよりも幻影帝国への返事をどうするかだ。俺はこの機に幻影と共同してランドラを滅ぼすべきだと思うが。」

「お前の独断専行は問題だが、その案には賛成だ。」

「私も賛成だ。ランドラ帝国との因縁に決着をつけたい。」

アティークとかっしーは賛意を示した。

「待て!」

立ち上がったのは平行だった。李信の方を向いている。

「何だ。」

「この軍の総大将はかっしー様とアティーク殿だ!何でお前が勝手に幻影と交渉したり、城兵を虐殺したり、この軍議を仕切ってるんだ!何様のつもりだ!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.260 )

日時: 2016/10/11 23:37
名前: 敗北者

「ならお前は俺無しで戦に勝てたと思うか?幻影の力無しでランドラ帝国と戦えるか?ランドラ帝国を放置して攻めてきたらお前らだけで防げるか?」

「ぐっ…それは…」

平行は口を噤んでしまう。

「かっしー軍単独で出来ないから我々に助力を求めたんだろう。お前こそ立場を弁えろ。」

平行は黙って再び着席した。

「他に意見はあるか!」

李信が強い口調で確認すると、発言する者は居なかった。

「では、幻影帝国には共同侵攻同意の旨を使者を派遣して伝えることにする。」

李信がそう言うと着席した。

「で、では李信殿の交渉が決まるまで我らはこの城に留まることとする。」

かっしーが締めの一言を発し、諸将が一礼して軍議は終了した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.261 )

日時: 2016/10/11 23:38
名前: 敗北者

その夜、李信はまさっちとセールを一室に呼び出していた。

「何の用かな?^^」

「俺はこれから筋トレしたいんだ。手短かに頼む。」

「これからランドラ帝国との戦になる。そこで俺から貴殿らに頼みがある。」

李信は前置きを言い、続ける。

「ランドラ帝国攻めの先鋒を務めていただきたい。ランドラ帝国に侵攻する際、まず国境付近にあるシヴァタ城を攻めることになる。貴殿らの力で陥落させていただきたいのだ。」

本題を切り出した。

「寝返り組の俺達に箔をつけて約束した恩賞を受け取ることへの他の奴らの視線を少しでも弱くする為だな。」

セールが李信の意図を悟る。

「まあ、後は信用問題もあるし俺達は武功を挙げないとね^^」

まさっちも流石に気づいているようだった。

「御二方とも話が早くて助かる。このこと、肝に銘じていただきたい。要件は以上だ。」

話が終わるとまさっち、セールは退室していった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.262 )

日時: 2016/10/11 23:39
名前: 敗北者

次に李信に割り当てられた部屋を訪れたのはエイジスだった。

「氷河期さんか。何用かな?」

顔を見るなり李信はそう言った。

「直江さん、流石にアンタやり過ぎだぜ。」

「説教しに来たのか。まあいい俺も貴殿に話がある。」

良い雰囲気とは言い難かった。

「アンタ、独断専行が過ぎるぜ。いくらアンタの策で勝てたと言っても限度があるだろ。」

エイジスは李信に詰め寄る。

「ハーッ、こうでもしないと戦には勝てない。各将との協議にかけようものなら決定に時間がかかる上に平行やかっしー辺りが反対してきて進まないんだ。俺が独断でやらなきゃまさっちやセールも寝返らなかった。早く戦を終わらせる為だ。貴殿も平和主義なら少しは分かるだろう。」

李信はため息混じりに説明した。

「だがアンタが今日やったあの虐殺は騎士道に反する行為だ。少しは恥を知ってくれ。」

「俺は騎士じゃないんでな。それにああしないと戦後処理で支障を来すんだ。そうなればまた乱が起きるかもしれない。全てを救い尚且つ平和な世を築くなんて無理な話なんだ。貴殿こそ大人になるべきでは?」

話が平行線を辿りそうだと思った李信は話題を切り替える。

「かっしーは王の器じゃないとこの前話したが、決意は固まったか?」

「…。」

エイジスは答えない。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.263 )

日時: 2016/10/11 23:39
名前: 敗北者

「騎士道もいいが、器じゃない王が治める国や民のことも考えてみろ。忠義やら正義は時として害になる。無能な王に尽くすのは悪政の手助けをするのと同義だ。それでも貴殿は騎士道とやらを貫くのか?あの女騎士と言い、貴殿と言い、騎士道とは人の視野を狭めて忠義という檻に閉じ込める悪しき道のようだな。」

李信が言い終わると、エイジスは李信の胸ぐらを掴む。

「おいアンタ、やっぱ調子に乗り過ぎだぜ。それに好きな人や騎士への侮辱はいくらアンタでも許さない。」

「胸ぐらを掴まれるのは今日で二度目だ。氷河期さん、一度騎士道から外れてものを考えた方がいい。」

李信は胸ぐらを掴まれても平静である。

「俺とアンタの誼みだ。今の話は聞かなかったことにしてやる。もし次に同じことを言い出したらこの間みたいに氷漬けにしてやる。覚悟しておけ。」

エイジスはそう吐き棄てると李信の胸ぐらから手を離して退室していった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.264 )

日時: 2016/10/11 23:40
名前: 敗北者

総大将であるかっしーとアティーク、寝返り組であるまさっちとセール、そして李信を除く将達は広間に集まって酒盛りをしていた。

「直江の奴、調子乗り過ぎでしょ。策や調略が上手くいったからってさ。」

平行が酒を含みながら言い出す。

「誰が総大将だか分からなくなるよな。かっしー様やアティーク様を差し置いて仕切ってるし。随分偉くなった気でいるんだろうな。」

ぷろふぃーるがつまみを口に運びながら平行に同調する。

「でもあいつ含めて俺らグリーン王国が居なきゃお前らは負けてたからな。お前らこそあんま調子のんなよ?」

小銭が2人に反論する。

「うるせえ、素人DTは黙ってろ!」

平行が小銭に杯を投げつける。

「彼女にDVされるお前よりはマシだよ!」

小銭が杯に酒を満たすと、それを平行に投げつける。平行の服に酒がかかり、アルコールの匂いが立ち込める。

「やったな性欲猿!」

「うるせえ不細工鉄オタ!」

2人は取っ組み合いを始める。

「くだらね。俺らはそろそろ寝るわ。」

「そうだな。」

星屑と水素は立ち上がり、その場を去った。残ったメンバーは仲裁に入ろうとしたが、あまりに激しい取っ組み合いに割って入ることが出来なかった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.265 )

日時: 2016/10/11 23:40
名前: 敗北者

数日後、幻影帝国からの返書が届き、3日後にランドラ帝国に侵攻がすることが決定した。

マツモト城では再び軍議が開かれ、諸将が大広間に集まっていた。

「李信、幻影帝国から返書が届いたようだな。」

アティークに呼ばれると、李信は幻影帝国からの書状を手渡した。

「ランドラ帝国滅亡の暁にはランドラ帝国領全35郡の内、南部12郡を幻影帝国領のものと、予てよりの交渉通りに致します。
残り23郡はグリーン王国とガルガイド王国で協議して決めるのが宜しいでしょう。滅ぼし切れなかった場合やどちらかが敗戦した場合は切り取り次第。
我々幻影帝国は3日後、ランドラ帝国南部のカントー口より攻め上がります。グリーン王国軍とガルガイド王国軍は北西のシヴァタ口よりの侵攻をお願い致します。」

それからはお互い同時に敵本拠地のランドラ城を攻めることなどが書いてあった。

アティークは書状を読み終わると、畳んで李信に返した。

「勝手に幻影との交渉を始めたのは論外だが、上手く交渉を進めたことは評価する。次からは総大将に相談するように。」

「いいだろう。」

アティークの注意を一言の返事で李信が済ませた。

「皆、聞いたな。ランドラ帝国侵攻は3日後だ。出陣は2日後。備えを怠るな。」

かっしーがそう言うと李信が侵攻路等を絵地図を広げながら説明し、軍議は終わった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.266 )

日時: 2016/10/11 23:41
名前: 敗北者

ランドラ帝国 ランドラ城

「やはり幻影とグリーン、ガルガイドが攻めてくるか。」

ランドラ帝国皇帝のゲノンは、忍の頭領である北条から報告を聞いていた。

「幻影軍4万がカントー口から、グリーン軍とガルガイド軍が4万1千、裏切り者のセール軍1万5千、同じくまさっち軍5千がシヴァタ口から侵攻してくる模様。」

北条が坦々と報告をする。

「合計9万1千か。クワッタの戦いで大惨敗を喫した我が国内で動員出来るのは残り5万余といったところか。それよりも、クワッタの戦いでのグリーン王国軍もかっしー派の軍もクワータリア陥落前より増えているのは何故だ?」

「かっしー派には諸豪族が味方につきました。グリーン王国は幻影と手を結んだ上、周辺国と不可侵条約を結んだようです。それ故、国境の兵を戦に回したものかと。」

「ご都合主義だな全く。とにかくこれより軍議を開く。諸将を集めよ。」

「はっ!」

ゲノンの命を受けて、北条は風のように消えていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.267 )

日時: 2016/10/11 23:42
名前: 敗北者

ランドラ帝国 ランドラ城大広間では9万を超える侵攻軍をどう食い止めるかについて軍議が行われた。

「5万余の動員数で食い止めなければなりません。」

最初に簡単に状況を説明したのは紅蓮だった。

「やはり余の判断が間違っていたのか。もっと兵をクワッタの戦いに派遣していれば…。セールやまさっちの裏切りを防げたやもしれん。だが…。」

「幻影帝国の存在がそれを許しません。今それを論じても致し方ありません。大切なのはこれからの話です。」

後悔するゲノンを紅蓮が宥める。

「しかしまだ5万余も居る。敵は9万余。攻める側は守る側の3倍の兵が必要というのが兵法の常道。十分に防げます。」

紅蓮がそう希望を持って答えると、伝令兵が血相を変えて走って入室してきた。

「軍議中だぞ!」

紅蓮が伝令兵を叱責する。

「急報でございます!幻影帝国の同盟国・仁王帝国が3万の兵で幻影帝国軍と合流しました!」

伝令兵の報告は広間に居た諸将を凍りつかせた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.268 )

日時: 2016/10/11 23:42
名前: 敗北者

グリーン王国のNo.2であるぐり〜ん2号が隣国の一つである仁王帝国と話をつけていた。仁王帝国は幻影帝国とも国境を接し、同盟関係を気づいていた。ぐり〜ん2号は仁王帝国の劉や幻影帝国のまさよんと協議し、ランドラ帝国打倒の形成を築いていたのだった。

「北条の報告では、グリーン王国の李信がランドラ帝国打倒後の領土配分の取り決めはグリーン王国、ガルガイド王国、幻影帝国の三国で行う交渉をしていたそうではないか。これはどういうことだ!」

皇帝ゲノンが伝令兵に問うが、そこまでは分かりませんと返答するのみであった。

「敵は12万。兵法の常道に照らして考えば…。」

紅蓮が言いかけたところで制止する者が現れた。ランドラ帝国の将・連投ステハンである。

「二方向に軍を分けて防げる数ではありません。此処は全ての防衛戦を撤廃すべきかと。」

「ではあそこに兵を結集して食い止めると?」

「はい、国門・元国関に5万余の軍を集結させ、このランドラから補給を行いながら食い止めるのが上策かと。」

「それもそうだな。陛下、それで宜しいでしょうか。」

連投ステハンの意見に賛意を示した紅蓮がゲノンの判断を仰いだ。

「良いだろう。全軍を元国関に集結させろ!」

戦いの方針が決定した瞬間であった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.269 )

日時: 2016/10/11 23:43
名前: 敗北者

マツモト城を出陣したグリーン・ガルガイドの連合軍は国境付近のマツジュン城を経て国境を越えランドラ帝国領に入り、シヴァタ城を包囲していた。

このシヴァタ城攻撃を請け負ったのが、李信の調略に応じてクワッタの戦いでサバとランドラ軍から寝返って味方になったセールとまさっちの2万の軍だった。

対するシヴァタ城を守るのは城主・柴田と城将の加楽や丸嶋ら1500の軍勢だった。

「何かわけ分からん内に大軍が攻めてきたわ爆笑」

元国関に集結せよの命はシヴァタ城には到達していなかった。柴田は城主として能力にも問題があり、セール軍が加楽が守る二の丸を、まさっち軍が丸嶋を守る三の丸を難無く制圧した。

「申し上げます!加楽殿お討ち死に!」

「申し上げます!丸嶋殿お討ち死に!」

伝令兵が凶報を告げるが、柴田はいつも通りだった。

「まだや!イズミヤで貰ってきたおにぎりとアクエリアスが大量にあるんや爆笑大爆笑超大爆笑」

「無理です!降伏しましょう!」

「降伏ってなんや爆笑」

兵の進言を取り入れず、柴田は戦闘を継続した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.270 )

日時: 2016/10/11 23:43
名前: 敗北者

結局、柴田はセール軍のハンペルに討ち取られた。シヴァタ城は僅か2時間で落城し、城兵は戦死もしくは逃亡した。

「セール殿、まさっち殿。見事なお働きです。」

李信が城攻めを難無く成功させた2人に労いの言葉をかけた。

「いや、この城の将も兵も弱過ぎて話にならなかったぞ。」

「今回も俺の完全勝利だったお^^」

事実、2人の軍には殆ど被害は無かった。最前線を守る城だというのに弱過ぎて拍子抜けしたくらいだと、セールは後から付け加えた。

「報告ー!」

李信が放った斥候が戻って来た。

「ランドラ帝国は全ての防衛戦を撤廃し、元国関に全軍を集結しました!その数、5万!」

「そう来たか。ある程度予想はしてたが。」

その夜、グリーン・ガルガイド連合軍は攻略したシヴァタ城に入って夜を明かした。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.271 )

日時: 2016/10/11 23:44
名前: 敗北者

グリーン・ガルガイド連合軍は幻影・仁王連合軍と連絡を取り合い、シヴァタ城を攻略した6日後に元国関前の風蘭平原に到着した。

4ヶ国12万の兵が集結し、これから始まる大戦を前に兵全員の表情から緊張感が伝わってくる。流石にこの世界で最も多くの兵が集まっただけに壮観である。

風蘭平原に設けられた4ヶ国連合軍の本陣には、各国の軍を率いる総大将が集まっていた。李信は総大将では無く一部将に過ぎなかったが、各国の総大将に呼び出されていた。ここまでの流れを作り、戦いを実質的に主導してきたからである。グリーン軍総大将のアティークと共に設けられた本陣を訪れた。

「もしやグリーン王国の御二方ですかな?私は幻影帝国軍総大将のシルバーです。お見知り置きを。」

全身を銀色の甲冑、銀色に輝くマントを身につけた、名前に相応しい堂々たる格好の男が挨拶してきた。

「グリーン王国軍総大将のアティークです。何卒よしなに。」

アティークが名乗り、一礼する。

「グリーン王国軍の李信。」

短く済ませ、一礼する。

「やはりグリーン王国の方だったか。最初に着いたのが俺でな。しかしこんなに大きな戦は初めてだ。武者震いがするのう!」

シルバーは急に馴れ馴れしい口調になる。どうやら本当に武者震いしているようだ。

「ではまだ仁王帝国の総大将は来ていないのですか。」

「そういうことだな。此方からもまだ1人来る予定なんだがまだ来ないな。少し世間話でもして待ってるか。」

アティークの質問にそう答え、シルバーは勝手にあれこれと話し始めた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.272 )

日時: 2016/10/11 23:45
名前: 敗北者

シルバーの話を聞き流していると、何者かが陣所に入ってきた。

「もう3人も来てるのか。」

入ってきたのはかっしーだった。

「ん?何か覇気が無いのが来たな。誰だ?」

アティークに対しては最初は敬語だったシルバーがかっしーにはあからさまな態度を取る。

「ガルガイド王国の王子・かっしーですが。いきなりご挨拶ですね。」

「あー、かっしー王子ね。グリーン王国の助けを借りてサバを討ったってのは。」

明らかに小馬鹿にしたような態度である。

「あと1人か?仁王帝国の総大将。」

かっしーが今更確認する。

「うちからもう1人来るよ。しかし頼りない顔触れだな。」

「余計な御世話だ。」

かっしーはシルバーに苦手意識を持った。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.273 )

日時: 2016/10/11 23:46
名前: 敗北者

三日月の前立てをつけた黒い兜、右目に眼帯、戦国時代の当世具足、そして竹に雀の家紋が入った緑色のマント…何処かで見たことのある格好の男が入ってきた。

「仁王帝国軍総大将・伊達藤次郎政宗!只今参上仕った!」

「何かメンドくさそうなのが来たな…。」

シルバーが苦笑した。

「この独眼竜が今回、仁王帝国の総大将という重大な役目を任された!このワシが第一の武功を挙げてくれるわ!」

「あーはいはい。アンタの席はそっちね。」

呆れた表情でシルバーは伊達藤次郎政宗と名乗った男の席を指差した。

「そろそろうちの奴が来ると思うんだが…。」

シルバーが陣所の外に出ようとすると、入ってくる者が居た。

「俺が今回この4ヶ国連合軍の総大将を務める幻影帝国皇帝のHostSamurai、又の名をホッサムだ。」

「これで全員揃ったかな?」

ホッサムが陣所内を見回すと席が2つばかり空いている。

「いや、まだだ。もう来る筈だが。」

李信が返答するとすぐに2人が現れた。

「元ランドラ帝国の大将軍・セールだ。」

「元ガルガイド王国サバ派の将軍のまさっちだお^^」

セールとまさっちは遠慮なくドカッと着席した。

「さて、これで全員だな。軍議に入る前に全員揃ったところで改めて自己紹介をしたい。俺は幻影帝国皇帝・ホッサム。この4ヶ国連合軍の総大将を務める。」

ホッサムが立ち上がって今一度名乗る。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.274 )

日時: 2016/10/11 23:47
名前: 敗北者

「幻影帝国軍総大将のシルバーだ。まあせいぜい宜しく。」

「仁王帝国軍総大将・伊達藤次郎政宗!」

「ガルガイド王国第一王子・かっしーです。」

「グリーン王国軍総大将のアティークです。」

「グリーン王国軍部将・李信だ。」

「ガルガイド王国軍部将のまさっちだお^^」

「元ランドラ帝国大将軍・セールだ。」

各々が立ち上がり、名乗りを上げて一礼する。連合軍首脳の顔触れが今ここに揃った。

軍議が終わり、各々が持ち場についた。

セール・まさっち連合軍2万は元国関東の山間部からの侵入を狙う。対するはランドラ帝国将軍の水瓶率いる1万。

仁王帝国、幻影帝国、ガルガイド王国の連合軍8万5千は元国関を破るべく正面に布陣。対するはランドラ帝国将軍の紅蓮、捏造ステハン、エリナ率いる2万5千。

グリーン王国軍2万6千は元国関の西に布陣し、ランドラ帝国の北条率いる1万5千と相対した。

後方には連合軍総大将のホッサムが控えている。

「すまんなアティーク殿。我ら幻影帝国はランドラ帝国に次ぐ大国だ。面子というものがある。この戦いの戦端を開くのは我ら幻影帝国でなければならない。」

ホッサムは後方の本陣で眼下に広がる8万5千の大軍を見下ろしながら隣に座るアティークに言った。

「構いません。どうぞ初めて下さい。」

「ではお言葉に甘えるとしよう。シルバーに始めさせろ!」

アティークに返答を聞き、ホッサムが命令を出すと何人もの旗持ちが順番に旗を上げていき、それがシルバーへの合図となった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.275 )

日時: 2016/10/11 23:47
名前: 敗北者

「幻影帝国軍総大将・シルバーより全幻影兵に告ぐ!」

シルバーが戦場全体に響き渡る大音声を発し始めた。

「我ら幻影帝国軍は此度の連合軍の盟主也!この大戦の栄えある開戦の一刃を幻影帝国軍が承った!」

「この戦でランドラは滅ぶ!!!」

「この戦はァ 深く歴史に刻まれること間違いない!!沈めランドラ!!全軍突撃ー!」

シルバーの号令で幻影帝国軍4万が元国関へ押し寄せる波の如く動き出す。

「幻影が出たか!出陣じゃー!独眼竜が出る!」

伊達政宗の号令で仁王帝国軍も幻影帝国軍に続いて動き出した。

「かっしー様、そろそろ我々も…」

ガルガイド王国軍では平行が傍に控え、かっしーに出撃を促す。

「うむ!全軍出陣!元国関を陥落させるのは我らガルガイドだ!」

ガルガイド王国軍15000もかっしーの号令で動き出した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.276 )

日時: 2016/10/11 23:48
名前: 敗北者

「アティークの代わりにグリーン王国軍を任されたが、敵はグリーンバレーで会ったあの北条とはな…。」

全戦場を見渡し、総大将のホッサムの傍に居るアティークにグリーン王国軍2万6千を委ねられたのは李信だった。

「キモ男さん、ポルク氏。俺が敵能力者と戦闘状態に入ったら俺の代わりに指揮を任せる。」

「分かった。」「了解。」

李信隊副官のキモ男とポルクに念を押して、戦いに備える。

「まだ出るな!北条隊が出てくるまで陣形を維持、待機だ!」

他の連合軍は自ら出撃していったが、李信は攻撃側でありながら敵の出撃を待った。

「直江さん、怖じ気づいたのか?出てこないとはな。なら此方から出る!出撃!」

忍でありながら部隊指揮官も兼任する北条の15000の部隊が出撃した。

「来たか。さて、どちらに行くか。」

李信は前衛右に小銭、前衛左に星屑、前衛中央に水素の部隊を配置し、自らは後方に布陣して本陣を置いた。

北条が前衛のどの部隊に攻撃を仕掛けるか、それを見極めようとしたのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.277 )

日時: 2016/10/11 23:50
名前: 敗北者

北条軍は三つ鱗の紋が入った旗を押し立てて、兵の旗指物としても用いている。北条軍が突撃したのはグリーン王国軍右翼の小銭隊だった。

「守りに堅いと史上有名な北条の紋を用い、防衛戦でありながら何故自ら突撃を敢行するのか…。」

李信はふと考えた。だがその答えは北条軍の勢いを見てすぐに分かった。北条軍は瞬く間に星屑隊を突き崩さんばかりの勢いで圧倒しだしたのである。その勢いの源は、先頭の「地黄八幡」と描かれた黄色の旗指物を背負い、大太刀を奮う無双の勇者の存在だった。

「我こそは北条左衛門大夫綱成!この戦は既に勝っている!勝った勝ったー!」

勝った勝ったと大音声で叫び続けることで味方の兵を鼓舞し、猛然と攻めかかるのである。

北条軍には五色備えがある。この北条綱成の黄備え、富永直勝の青備え、多目元忠の黒備え、北条綱高の赤備え、笠原康勝の白備えである。

北条綱成の黄備えを戦闘に、5人の部隊長が率いる色備え部隊が気勢を上げて小銭隊を窮地に追い込んでいた。

「小銭隊が危ないな。中央の水素隊に北条勢の背後を突かせろ!」

瞬く間に小銭隊のチャイやしずくなのが指揮する部隊を打ち破り、小銭の陣がある手前の奇人まで迫る北条勢の勢いを封じるべく中央の水素に指令を下した。

「行くか。正義執行!」

水素が5000の兵を率いて北条軍の背後に回り込んだ。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.278 )

日時: 2016/10/11 23:51
名前: 敗北者

水素隊5000が素早く移動して小銭隊を突き崩している北条軍の背後に回り込み、攻撃を開始した。背後からの攻撃を想定していた北条軍黒備えの多目周防守元忠は、水素隊の槍衾突撃に対して数百の火縄銃を打ちかけて巧みに応戦した。

「やはり足りないか。星屑隊に北条軍の左側面を突かせろ!」

水素隊が北条軍の背後に回り込んだ為、空白となった水素隊の陣の後を星屑隊が通り抜け、北条軍の右側面への攻撃を始めた。矢を撃ちかけて浮き足立った北条軍右備えの青備えの指揮官・富永三郎右衛門尉直勝の部隊に星屑隊が槍衾を作って突きかかる。勢いに乗って小銭の首を目指していた北条軍の攻勢が緩み始めた。

「李信隊出るぞ!北条軍の右側面を突き、完全包囲にて殲滅する!」

11000の李信隊が小銭隊の左を迂回し、北条軍から見て右に出る。これで完全包囲が完成した。

「名付けて鶴翼及び逆さ魚鱗の陣!」

右翼と左翼に小銭隊、星屑隊それぞれ5000を配し、それから少し突き出た中央へ水素隊5000を配した魚鱗の陣から変形した包囲陣がこれにて完成した。

「北条君、弱兵ばかりの小銭隊をすぐに見抜いたのは見事だった。やはり歴戦の将だな。だがこれで終わりだ。」

包囲を完成させたグリーン王国軍が一気に勝負を決めに行くが北条軍の精強さは流石で、少し浮き足立つもののすぐに小銭の陣まで迫ろうとしていた。

「やはり此処は俺が出る他ないようだな!キモ男さん、ポルクさん。指揮を頼む。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.279 )

日時: 2016/10/11 23:51
名前: 敗北者

北条自身も写輪眼を利用して小銭隊の兵の動きを見切り、突き出される槍や降り注ぐ矢を掻い潜り小銭の首を目指している。

「そこまでだ北条左京大夫殿。」

李信自身が自隊の先頭に躍り出て北条を睨み据えた。

「ほう、やはりあの時の黒尽くめの指名手配犯は貴方だったか。あの時は邪魔が入ったが今度はそういかん。この手で貴方を討ち取り名を上げる!」

「分身を使って俺をつけ狙っておいてよく言う。いいだろう。今度こそ俺が相手になってやる。」

李信が腰の刀を抜く。

「陸奥守、指揮は任せる。」

北条が馬から降りて指揮を家臣の北条陸奥守氏照に任せた。

「八爻双崖」

李信が鬼道による結界を展開し、外からの干渉の一切を遮断する空間を作り出す。

「これで邪魔は入らない。思う存分戦えるというものだ!」

李信が刀を下段に構えて北条に打ち掛かった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.280 )

日時: 2016/10/11 23:52
名前: 敗北者

李信が刀で斬りつけてくると北条はクナイを取り出して受け止める。刀とクナイでの接近戦の応酬となったが写輪眼のある北条の方が圧倒的有利だった。李信は頰や腕に何箇所かの傷を作り、一旦間を取る。

「軍略や策動には多少長けてるようだがやはり生来の馬鹿は隠せないな。写輪眼を持つ俺に接近戦で単純な武力勝負を挑むとは。」

「ただの小手調べだ。本番はこれからだ。」

北条の挑発を李信は軽く受け流す。

「火遁・豪火滅却」

北条が印を結び、火遁の上位に位置する術を口から吐いて繰り出す。

「破道の七十三 双蓮蒼火墜」

蒼火墜よりも威力が上昇した蒼炎を太くした直線状に両掌から撃ち出して対抗する。威力は拮抗し、火炎と蒼炎は衝突した後に相殺されて弾けた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.281 )

日時: 2016/10/11 23:52
名前: 敗北者

「ならばこれならどうだ?火遁・頭刻苦、風遁・圧害!」

両掌から上位の火遁と風遁の術を撃ち出し、撃ち出した先で混じり合い威力を倍加させて李信に襲い掛かる。

「紆余曲折(ザ・ワインド)」

火遁と風遁が合わさり巨大な火の海と化した攻撃は、李信が居る位置のみを避けていった。

「お前の攻撃など当たらない。この能力は敵の攻撃を屈折させる。」

「なら避けられない術を見舞ってやる!天照!」

北条の万華鏡写輪眼の瞳術が発動する。北条の視点から李信の体に黒い炎が発火した。

「対象を燃やし尽くすまで消えない炎だ!焼き尽くされて死ねぇ!」

「破道の九十 黒棺」

しかし何故か背後から現れた李信による鬼道が発動し、北条は霊圧で作り出された重力の奔流を持つ黒い直方体に覆われた。

「ガハァッ!」

北条を黒棺の内部から伸びる無数の黒い刃で斬りつけ、黒棺は消滅した。

「やはり詠唱破棄だと威力はこの程度か。」

全身から血を流す北条を見やりながら落胆する。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.282 )

日時: 2016/10/11 23:54
名前: 敗北者

「確かに天照は命中した筈だ…!」

「あれはお前がそこに落ちていた木の枝を俺だと認識して天照を発動しただけのこと。」

李信が地面に目を向ける。北条も後ろを振り返りその地点を見ると、木の枝が黒い炎により焼かれていた。

「どういうことだ?…まさか!」

北条は最も深く傷つけられた腹部の傷を手で押さえながら生前の記憶を反芻した。

「鏡花水月の能力を使用した。始解の発動を見たお前を完全催眠にかけたのだ。」

「じゃあ最初に抜刀した時から…!」

「そうだ。」

李信が掌を突き出し、青色の霊圧を込める。

「虚閃(セロ)」

青色の霊圧が光線となって至近距離から発射される。

「須佐能乎!」

北条の万華鏡写輪眼の瞳術の一つである。青いチャクラの巨人が北条を覆う形で出現し、虚閃は巨人に当たり消滅した。

「そんな攻撃は俺には届かない!」

李信は跳び下がって北条と距離を取った。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.283 )

日時: 2016/10/12 00:04
名前: 敗北者

北条が更に瞳術を発動させ、辺りに何とも言えない、世界の色が変わるような音が鳴り響く。

「幻術破りだ。これでお前の鏡花水月は使えない。」

「鏡花水月にも有効だったのか、厄介だな。」

北条は須佐能乎にチャクラで作り出された弓矢をつがえさせる。

「インドラの矢を受けてみろ!」

インドラの矢と呼ばれた巨大なチャクラの矢が放たれた。

「狂え!來空!」

李信の刀が両刃形態に変形し、その斬魄刀「來空」を右回転させてインドラの矢を空間ごと切り取り吸収した。

「何だその斬魄刀は!天照!」

天照を放たれる直前に來空を右回転させ、発生した空間に天照の黒い炎は吸収された。

「これは斬魄刀・來空だ。能力は見ての通りだ!」

來空を左回転させると、北条の背後に切り取った空間が復元され、インドラの矢と天照が北条に浴びせられた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.284 )

日時: 2016/10/12 00:05
名前: 敗北者

インドラの矢は須佐能乎により防がれたが、天照の黒い炎は須佐能乎の胴体に着火した。

「天照は対象を焼き尽くすまで消えない炎だったな。ならその須佐能乎はもう…」

李信が言いかけた時である。北条が瞳術によって須佐能乎に取り付いた黒い炎を消滅させた。

「黒炎のコントロールは俺次第だ。馬鹿め。そろそろ本番だ。」

須佐能乎が更に大きさを増し、姿も部将風の風格を兼ね備えた堂々たるものに進化した。

「完成体須佐能乎だ。これが繰り出す一撃に耐えられるかな?やれ!」

完成体須佐能乎がチャクラで出来た刀を抜刀して振り下ろす。

「來空!」

來空を右回転させて須佐能乎の右腕ごと切り取り、次いで左回転させて北条に須佐能乎の太刀を浴びせる。
が、須佐能乎の太刀では須佐能乎の体には傷一つつけられなかった。

「面倒だな。これでは埒があかん。」

李信の表情は険しくなった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.285 )

日時: 2016/10/12 00:05
名前: 敗北者

「月読」

北条の万華鏡写輪眼の第一の瞳術が発動する。精神世界に引きずりこまれ、李信は十字架に磔られている。

「これから72時間、お前を刀で刺し続ける。刺した傷は幻だが痛みは現実だ。」

刀を持った無数の北条が李信の眼下に出現し、磔られている李信の全身を刺し始めた。

「グアァァァ!」

これまで上げたことのない悲鳴を上げ、壮絶な痛みに耐えられず声を張り上げる。そうすることで辛うじて涙を堪えているのだ。

北条の攻撃は終わらない。一瞬を72時間と同じ感覚にさせて行うこの幻術は、万華鏡写輪眼が有する最強の幻術である。

「どうした?まだ30分しか経ってないぞ?あと71時間30分だ。」

ニヤリと笑みを浮かべながら刀で李信の心臓や内臓を抉り続ける。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.286 )

日時: 2016/10/12 00:06
名前: 敗北者

「フッ…」

李信が北条に刀で刺されながらふと不敵な笑みを浮かべた。

「何だ?お前まさかMに目覚めたか?」

北条が嘲笑するような表情を李信に向ける。

「ようやくこの力を使える時が来たようだ。」

「全知全能(ジ・オールマイティ)」

李信が能力名を唱えると、幻術により作り出された精神世界は崩壊し、月読は解除された。

「全知全能(ジ・オールマイティ)は目にした力を知る能力だ。知った力は俺には通じない。だがこの世界に来て日が浅い俺ではまだ一回しか使えないが。だがもう月読は俺には通じない。」

とは言え、30分に渡り精神世界で無数の刀に刺され続けたダメージは大きく、崩れ落ちて片膝をついて息を切らしている。

「虫の息じゃないか直江さん。だが安心してくれ。今すぐ楽にしてやる。」

完成体須佐能乎からインドラの矢が李信目掛けて放たれた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.287 )

日時: 2016/10/12 00:06
名前: 敗北者

「朽ちろ 髑髏大帝(アロガンテ)」

李信が斬魄刀に触れると、斬魄刀が自らの等身以上のサイズの斧に変形し、青い霊圧が体と斬魄刀を包み込む。

「死の息吹(レスピラ)」

李信の周囲に黒紫の「老い」の力が広がり、インドラの矢に当たると矢は朽ちて消滅した。

「この世界に来て初めて破面(アランカル)の帰刃(レスレクシオン)を使ったが、中々協力だな。」

「完成体須佐能乎が放つインドラの矢を消しただと…!?その力は!?」

北条はトドメのつもりで放ったインドラの矢を消滅させられて戸惑っている。

「この髑髏大帝(アロガンテ)が司る力は老い。老いとは時間、最も強大で最も絶対的なあらゆる存在の前に立ち塞がる死の力だ。」

金色の王冠を被り、髑髏の顔に紫色の体を覆うマント、等身以上の大きな斧という異様な風貌に変形した李信が答えた。

「インドラの矢を老いの力で朽ちさせたってわけか!」

「そういうことだ。さて北条君、貴殿は二次元派の仲間だったが俺の前にあくまで立ち塞がるなら仕方ない。赤牡丹さん同様消えてもらおう!」

「死の息吹(レスピラ)」

死の息吹が須佐能乎に当たると、須佐能乎の体が朽ち始める。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.288 )

日時: 2016/10/12 00:07
名前: 敗北者

「馬鹿な!俺の完成体須佐能乎が!」

死の息吹が須佐能乎を消滅させ、北条にも命中した。北条の指先から朽ちて骨だけになっていく。

「さあ、老いて朽ち果てるがいい。此処がお前の墓場だ北条!」

しかし北条の姿は李信の視界から消える。

「無駄な足掻きだ。大人しく朽ち果てろ!」

しかし死の息吹を受けていない状態の北条が左側面に突然現れる。

「死の息吹(レスピラ)を受けて無傷…そんな筈は…」

「イザナギだ。」

李信の疑問に北条が答えた。

「イザナギ。術者にとって不利な事象を夢に描き変える禁術だ。」

北条が腕をまくると、腕に埋め込まれた複数の写輪眼が姿を現す。その内一つの写輪眼が閉じたのを李信は視認した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.289 )

日時: 2016/10/12 00:07
名前: 敗北者

「そのイザナギとやらのネタは分かっている。その腕の写輪眼が全て閉じたらお前はその禁術を使えなくなる。それまで何度でもお前を朽ちさせるだけだ。」

李信が北条に向かって死の息吹を放つ。

「天之御中」

北条が万華鏡写輪眼の他のもう片方の目・輪廻眼による瞳術を発動させ、空間は転移して砂漠の世界が広がる。

「此処ならもっと遠慮無く全力を出せるというものだ。」

北条はそう言うと、首筋にある呪印の力を解放した。

「これが状態2ってやつだ。あまり姿は好きじゃないがな。お前のその形態を何とかしなければならんからな。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.290 )

日時: 2016/10/12 00:08
名前: 敗北者

「喋ってる場合か?貴様は2発の死の息吹を食らった。腕の写輪眼の数は有限だろう?モタモタしてると…」

「まあそう慌てんなよ。火遁・豪龍火の術!」

李信の言葉を制止し、北条は印を結んでから龍を象った炎を口から天に向けて何発も吐いた。

「何処を狙っている?写輪眼がありながら俺の姿すら見えないのか?」

「いいや、これでいいんだよ。これでお前のその髑髏顔の形態を攻略出来る。」

北条が天を指差すと、積乱雲が発生して広がり、大雨が降り始める。やがて雷が発生し、耳をつん裂くような雷の音が鳴り響く。

「来い!」

北条が雷遁のチャクラを右手に纏わせると、天から雷で出来た伝説上の生き物を象ったチャクラが出現する。

「術の名は麒麟。この一撃でお前の髑髏大帝(アロガンテ)を攻略する!」

「やってみろ!死の息吹(レスピラ)!」

死の息吹が麒麟に向かって伸びていく。北条は右手を振り下ろして麒麟を天から李信と死の息吹目掛けて落雷させた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.291 )

日時: 2016/10/12 00:09
名前: 敗北者

死の息吹はとてつもない威力の落雷に打ち消され、李信に直撃する。

「死の息吹を超える力をぶつければいいだけの話だ。まだイザナギも10回以上発動出来る。お前の負けだ。」

髑髏大帝(アロガンテ)が解除され、落雷による大火傷と深傷を負って突っ伏している李信が北条の視界に映る。

「これで勝ったつもりか?思い上がるなよ。」

李信の胸の真ん中から青い光が輝き、傷や火傷は治癒された。

「これは崩玉の主に対する防衛本能だ。負けるのはお前の方だ北条。」

李信が斬魄刀に霊圧を込める。

「瑞祥屠りて生まれ出で 暗翳尊び老いさらばえよ 餓樂廻廊」

斬魄刀が新たな始解を発動し、巨大な牙を生やす『口』を備えたヒグマほどの大きさの白い球形の生物を約30体ほど召喚する。

「そんな子供騙しで何が出来る!?」

「卍解」

北条の煽りをよそに、餓樂廻廊の卍解を発動する。半径数霊里を飲み込むほどの巨大な顎を地より出現させると、李信以外の全ての存在を喰らい砕く。 北条は顎に喰らい砕かれ、惨めに肉片となって消えていった。

「イザナギを忘れてもらっては困る。千鳥鋭槍!」

イザナギにより自らの死を夢に描き変えた北条が李信の頭上に現れ、形態変化で伸ばした千鳥を突き出す。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.292 )

日時: 2016/10/12 00:10
名前: 敗北者

「破道の九十六 一刀火葬」

李信が自らの腕を触媒とした刀身状の爆炎を放つ。爆炎が北条を呑み込む。

「神威(カムイ)!」

万華鏡写輪眼の瞳術で爆炎を異空間に飛ばした北条が上空で印を結ぶ。

「俺は全ての尾獣の人柱力だ!」

北条が一尾から九尾までの尾獣のチャクラを集め、尾獣チャクラモードになる。

「影分身の術!」

8体の北条の影分身が現れ、それぞれが掌にチャクラを集める。

「尾獣螺旋手裏剣!」

合計9体の北条が一斉に尾獣のチャクラで強化された螺旋手裏剣を李信に向かって投げつけた。

「夢想家(ザ・ビジョナリー)」

李信が滅却師の新たな力を行使し、尾獣螺旋丸を消滅させた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.293 )

日時: 2016/10/12 00:11
名前: 敗北者

「螺旋手裏剣が消された…!?」

驚愕し北条は目を丸くする。

「夢想化(ザ・ビジョナリー)はVの聖文字(シュリフト)を持つ力。空想を現実のものとする力だ。例えば、こんな風にな。」

李信が念じると、巨大なブラックホールが上空に出現して凄まじい重力の力で砂漠の砂諸共北条は吸い込まれた。

「だからイザナギがあるって言ってんだろ!仙法・超大玉螺旋丸!」

尾獣モードに加えて仙人モードになった北条が李信に特攻する。

「無駄だと言った筈だ。」

北条の頭上にギロチンが現れ、北条を真っ二つに切り裂く。

「イザナギの発動回数は残り7回といったところだな。あと8回殺せばお前は終わる。」

「お前こそその力、まだ使いこなせてないみたいじゃねえか。よろめいてるぞ、お前。」

そう言われて李信は自分の体に大きな負荷がかかっていることに気づいた。」

「クソッ…!此れ程の苦戦、氷河期さんとの戦闘以来だ。」

「さっきから切り札を乱発してるみたいだがよお、もうお前限界なんじゃねえのか?あ!?」

北条が十尾を口寄せの術で召喚すると、自身のチャクラを十尾に注ぐ。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.294 )

日時: 2016/10/12 00:12
名前: 敗北者

「ここで死ねわけにはいかないな。」

李信が顔に右手の掌を翳すと、顔面に虚(ホロウ)の仮面が現れる。

「今更虚(ホロウ)化かぁ!?無駄な足掻きなんだよぉ!尾獣玉発射ァァァ!!」

十尾の口から尾獣玉が発射され、北条を除く地平の彼方までを巻き込む。

「さて、そろそろくたばったかな?」

しかし尾獣玉の衝撃を耐えた李信が尾獣玉を掻き消して現れた。二本の角を持つ虚(ホロウ)の姿と化して。

「虚閃(セロ)!」

これまでに無い規模の青い虚閃を角の先から放つ。

「尾獣玉!」

北条も対抗すべく尾獣玉を発射する。世界の全てを巻き込むかのような爆発が発生し、爆音が鼓膜を襲う。

やがて爆発が消える。北条の視界に李信の姿は無かった。

「何処を見ている。」

響転(ソニード)で北条の背後に移動した李信が北条に斬魄刀・天鎖斬月を振り下ろす。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.295 )

日時: 2016/10/12 00:13
名前: 敗北者

「ここで死ねわけにはいかないな。」

李信が顔に右手の掌を翳すと、顔面に虚(ホロウ)の仮面が現れる。

「今更虚(ホロウ)化かぁ!?無駄な足掻きなんだよぉ!尾獣玉発射ァァァ!!」

十尾の口から尾獣玉が発射され、北条を除く地平の彼方までを巻き込む。

「さて、そろそろくたばったかな?」

しかし尾獣玉の衝撃を耐えた李信が尾獣玉を掻き消して現れた。二本の角を持つ虚(ホロウ)の姿と化して。

「虚閃(セロ)!」

これまでに無い規模の青い虚閃を角の先から放つ。

「尾獣玉!」

北条も対抗すべく尾獣玉を発射する。世界の全てを巻き込むかのような爆発が発生し、爆音が鼓膜を襲う。

やがて爆発が消える。北条の視界に李信の姿は無かった。

「何処を見ている。」

響転(ソニード)で北条の背後に移動した李信が北条に斬魄刀・天鎖斬月を振り下ろす。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.296 )

日時: 2016/10/12 00:13
名前: 敗北者

「神羅天征!」

天鎖斬月が北条の体を真っ二つにしようとする寸前で斥力を発生させて李信を遥かまで吹き飛ばす。

「厄介な術ではあるが神羅天征は発動後5秒のインターバルがある筈だ!虚閃(セロ)!」

原作の神羅天征の効果を思い出してすかさず青い虚閃を放つ。

「木遁・真数千手!」

北条の目の前に無数の腕を持つ、十尾を凌ぐサイズの巨大な千手観音を出現させて虚閃を防ごうと試みる。しかし初代火影の仙術ですら完全虚(ホロウ)化が放つ虚閃は一瞬で消し飛ばした。そして青い光が北条を呑み込む。

「信じられない威力だ。だがまだイザナギは6回使える!」

「虚閃(セロ)」

間髪入れずに虚閃を李信が放つ。極太の青い光が北条に伸びていく。

「神羅天征!」

虚閃を斥力によって弾き飛ばそうと試みるが神羅天征は虚閃に突破されてしまった。

「神羅天征に耐えるだとぉぉぉ!?」

虚閃が北条に直撃する。北条の腕に埋め込まれた写輪眼がまた一つ閉じる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.297 )

日時: 2016/10/12 00:14
名前: 敗北者

「万象天引!」

北条が右手を正面に翳し、引力を発生させる。李信の体は発生した引力により強制的に引き寄せられる。神羅天征とは真逆の能力の術である。

「塵遁・原界剥離の術!」

強い引力で李信を引き寄せながら、分子レベルで対象を分解する立方体を左手から撃ち出す。

(塵遁か。あれを喰らったらヤバい!)

「鉄鎖の壁 僧形の塔 灼鉄熒熒 堪然として終に音成し 縛道の七十五 五柱鉄貫」

五つの高い柱を鬼道により出現させ、引力に引き寄せられながら柱を駆け足で登って塵遁の射程範囲から外れた。

「木遁・樹海降誕!」

北条が地面を左手で叩くと、周囲から樹木が樹海を形成するかのように次々に李信に向けて生えていく。万象天征による引力を利用した攻撃である。

「破道の三十三 双火墜」

左手から蒼炎を放ち、樹木を瞬く間に焼き尽くす。

「風遁・真空連波!」

片手で印を結び、口から風の衝撃波を吐くが、天鎖斬月により切り裂かれる。ついに引力により李信が北条の眼前に迫ろうとする。

「仙法・超大玉螺旋丸!」

引力を利用して絶対に避けられない状況で超大玉螺旋丸を左手のみで作り、眼前に迫る李信に突き出す。

「虚閃(セロ)」

二本の角から青い霊圧の光が北条の至近距離で放たれる。超大玉螺旋丸は掻き消され、北条に直撃した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.298 )

日時: 2016/10/12 00:15
名前: 敗北者

北条の腕に埋め込まれた写輪眼がまた一つ閉じ、残り五つとなる。

「虚閃(セロ)」

先ほどの虚閃による死をイザナギで夢に描き変え、頭上に現れた北条を虚閃で呑み込む。

「そう何度も喰らうか!神羅天征!」

神羅天征で虚閃を斥力によって吹き飛ばそうと試みるが、斥力は押し切られて北条を押し包む。北条を呑み込んだ虚閃が天高く伸びてキノコ雲のような形に舞い上がると、花火のように弾ける。

「残り4つだ。諦めろ北条。」

李信が天鎖斬月を北条に向けて言う。

「俺は負けん!グハッ!」

気づかない内に北条の眼前に響転(ソニード)で眼前に現れた李信が天鎖斬月を北条に振り下ろす。

「しまっ…」

刹那のことだった。振り下ろされた天鎖斬月が、写輪眼が埋め込まれている北条の右腕を切り落とした。肘の部分から血の滝が流れ、砂漠の砂は赤く染まっていく。

「これでイザナギは使えない。お前の負けだ。」

「神羅天征!」

腕を切り落とされた苦痛に顔を歪めながら北条は尚も諦めない。斥力は李信を後方へ吹き飛ばした。

「残りチャクラももう限られている。この一撃で勝負を決するぞ!完成体須佐能乎!」

万華鏡写輪眼の瞳力で完成体須佐能乎を再度出現させ、インドラの矢を放つ構えに入った。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.299 )

日時: 2016/10/12 00:16
名前: 敗北者

インドラの矢に炎遁・加具土命による黒い炎が加えられる。

「お前のこの世界での短い生涯を終わらせてやる!」

完成体須佐能乎が限界まで弓を引き絞る。

「俺も残る霊力をこの一撃に乗せる!」

天鎖斬月に霊力を込め、赤色に縁取られた黒い霊圧が纏われる。

「月牙天衝!!」

完成体須佐能乎を超える大きさの月牙が放たれる。完成体須佐能乎も黒炎を纏ったチャクラの矢を放った。2人の全力攻撃が衝突し、黒い霊圧と紫色のチャクラが混じり合って砂漠世界全体を巻き込む衝撃が発生し、2人はその中で何故か光に包まれた。

「此処は…北条君か。」

李信が目を覚ますと、目の前に北条が居る。光に包まれた何も無い世界に。

「よう。今度は思い切り戦えたぜ。結果がどうなろうが悔いはねえ。」

先程までの様子から想像もつかない笑顔の北条がそこには居た。

「何故君はそこまで…」

「アンタと全力で戦いたかったんだ。この世界に来てこの国に拾われていろんな奴と戦ってきた。国の任務に従事もしてきた。ある日テレビをつけると、隣の王国で王国最強騎士と渡り合うアンタの姿がニュースで映ってた。俺は純粋にアンタと戦いたいと思ったんだ。」

李信の質問に屈託の無い笑顔で北条は答える。

「任務でニュースに映ってた黒尽くめの指名手配犯、つまりアンタを追ってグリーン王国で見つけた。アンタと全力で戦える日が早くも来たと心踊ったよ。そしたら何のオーラも感じない、肉体だけで戦うおかしな男が居たんでな。何かあると思って分身を使って接触してみた。そしたら分身はその男に手も足も出なかったんだ。」

「あの男に邪魔されて俺は悔しかった。でも今度ばかりはアンタと戦う機会に巡り会えた。俺は満足だ。」

北条が続けて自分の胸の内を語った。

「互いに全力を尽くした。もう悔いは無いんだな?」

「ああ。」

李信の質問に北条が答えると、光の世界は消滅し、意識は元の世界へと戻った。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.300 )

日時: 2016/10/12 00:16
名前: 敗北者

2人が向かい合って立ち尽くしている。暫くの沈黙の後、先に倒れたのは李信だった。

「まずい…もう立てない…」

倒れた李信に向かって北条が体を引きずりながら歩み寄る。

「もういいんだ。これで戦う理由は無くなった。元の世界に戻ろう。」

北条の輪廻眼の瞳術が解除され、李信が張った結界の中に戻る。

「くっ…!」

北条もチャクラを使い果たしてその場で倒れこんだ。

「結界を解除してくれ…。」

北条が弱々しい声で頼むと、李信はそれに応じて結界を解いた。

舞台は再び戦場へと移る。

「戦闘やめーーーい!!!」

弱った体で力を振り絞り、2人は同時に叫んだ。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.301 )

日時: 2016/10/12 00:17
名前: 敗北者

「殿、どういうことでございましょう!?」

北条氏照にはその言葉の意味が解せなかった。

「もう戦う必要は無い。俺は降伏する。お前達も戦闘をやめろ。これ以上は無意味だ。それにこの国にはもう愛想を尽かした。軍事にばかり金を費やし増税に次ぐ増税だ。民の怨嗟の声が聞こえない日など無い。こんな国は消えてしまえばいい。」


「殿…。」

北条の声を聞いた北条軍の将兵達は次々と武器を捨てていった。北条軍はグリーン王国軍に降伏したのである。

「そういうわけだ。これからは世話になる。」

北条は笑みを浮かべてグリーン王国軍の将兵に声をかけた。グリーン王国軍将兵も戦闘を停止した。元国関西方の戦場は奇妙な形で決着をみたのである。

「よし、すぐに元国関裏に回り込むぞ。」

力無い声で指令を下す李信に北条が答える。元国関の裏にさえ回り込んで制圧すれば、ランドラ城へはもはや障害は無い。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.302 )

日時: 2016/10/12 00:17
名前: 敗北者

「輝く流星の矢(スターライトアロー)!」

エイジスとエリナは戦闘状態に入っていた。エイジスが放った光の矢が分裂し雨のようにエリナに降り注ぐ。

「氷河期は心臓病だなぁ!」

エリナは自分の指に噛み付き出血させると、謎の黄色い光がエリナを包み込み、火柱のように天高く伸びる。

「氷河期は小さいなぁ!」

「これは…!」

生殖器を持たない全裸の巨人になったエリナが姿を現した。エイジスが放った矢は分厚い皮膚に全て弾かれる。

「俺の能力は巨人化なんだなぁ!お前のチャチな攻撃なんて全然効かないんだなぁ!」

戦場全体に響く声でエリナが吐く。


「あのデカい人間は何だ?」

遠く本陣で戦いを見守るホッサムが呟く。

「多分、一時期アニメ化して話題を呼んだ某漫画に出てくる巨人だろうね。この世界に巨人化出来る奴が居るとは思わなかったけど。」

隣に座るアティークが記憶を辿って質問に答える。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.303 )

日時: 2016/10/12 00:18
名前: 敗北者

「体長15メートルはあるか?こんな巨人と戦ったら周りを巻き込んでしまう!」

「氷の世界(ブリザード・ディメンジョン)!」

エイジスが魔力を全身から放ち、自身とエリナのみを異次元空間に飛ばした。

「此処は何処なんだなぁ!寒過ぎるんだなぁ!」

エリナの目に映るのは地平線の彼方まで広がる氷のみの世界だった。

「そりゃ堪えるだろうな。何しろ此処の気温は絶対零度と同じなんだからな。巨人化してなきゃお前は死んでたぜエリナ。」

「こんな能力、並みの奴ならすぐ死ぬんだなぁ!チート過ぎてズルいんだなぁ!」

エリナの目に米粒の様にも映るエイジスがそう答えると、全身に魔力を込め始める。

「ズルくねえよ。これよりズルい能力を俺は見てきた。それに大切な物を守る為に力を行使するのは当たり前だぜ。」

「フェンリル」

エイジスが狼の姿へと変化する。そして咆哮を始めると、音の衝撃波がエリナの鼓膜を破り、更に足元から凍りつかせていく。

「耳が聴こえないんだなぁ!足が冷たいんだなぁ!」

エリナの巨体は下半身を氷で覆い尽くされ、腹部の方まで氷は広がっていく。

「氷の千本槍(サウザンド・ブリザードランス)」

エリナの胸部の周りに無数の氷の槍が出現し、一斉に射出される。氷の槍はエリナの分厚い皮膚をも貫通し、全てが突き刺さった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.304 )

日時: 2016/10/12 00:19
名前: 敗北者

エリナの胸部に無数の氷の槍が突き刺さり、その槍からエリナの血液が滴り落ちてくる。エリナを覆う氷もやがて頭の天辺まで広がり、巨人の冷凍化が完成する。

「今回の敵は大したこと無かったな。」

エイジスが一息ついた時である。エリナが自らの巨体を覆う氷を突き破り、拳を振り上げてきた。

「これくらいじゃ俺は死なないんだなぁ!」

エイジスに振り上げた拳を全力で下ろす。エイジスは間一髪のところでそれを狼ならではのすばしこさで走って避ける。

「雑魚キャラ感満載の割にはタフじゃねえかよエリナ。」

「お前の攻撃が大したことないんだなあ!」

いつの間にかエリナの鼓膜は回復していた。胸に刺さった氷の槍も傷が癒えると同時に傷口から押し出され、氷の地に音を立てて落下した。

(これは何か仕掛けがあるな。例えば、崩玉だの超速再生だの医療忍術だの回復魔法だのを持ってないこういうタイプには必ず体の何処かにコアがある。そのコアの位置を探り当てなければ俺に勝機は無い。)

エイジスが思案し、一つの答えを見つけ出した。

「何か考えごとかなぁ!お前は此処で死ぬから無駄なんだなぁ!」

エリナの巨大な足がエイジスを踏みつけようと、地団駄を踏むように連続で炸裂する。

「巨大の癖に意外と動きが速い!」

エイジスは四つ脚で走り続けて地団駄を避けていく。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.305 )

日時: 2016/10/12 00:20
名前: 敗北者

「フェンリル・獣人化」

エイジスが狼男に変化して腰に差している剣を抜く。

「冷殺剣」

剣に冷気と魔力を纏わせて強化する。

「お前が何をしようと此処で死ぬ運命は変わらないんだなあ!」

エリナがサッカーボールを蹴るようなフォームでエイジスに蹴りを繰り出す。

「そんなモーションがデカい攻撃が当たるかよこの木偶の坊!」

獣人化して更にスピードを上昇させたエイジスの高速移動で蹴りはスカされる。

「エイジストラッシュ」

蹴りを避けた勢いで高速で連続剣撃をエリナに繰り出す。足元から胴体へ間髪入れずに斬りつけ続ける。

冷殺剣の鋭利な刃と冷気がエリナの体を斬り裂き続け、巨体から噴き出る血飛沫が氷の世界に赤を与えるかの様に池を造って広げていく。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.306 )

日時: 2016/10/12 00:20
名前: 敗北者

「痛いんだ…なぁ!」

体に剣を突き刺しながら高速剣撃を繰り出すエイジスをエリナは両手の手で体のあちこちを叩き始める。蚊を叩く要領だ。

「当たんねえよノロマ!」

エリナはビンタの高速ラッシュを自らの全身に叩き込むが、スピードはエイジスの方が上だった。エイジスはビンタをかわし続けながら剣撃を次々と繰り出していく。

エイジスがエリナの胸部まで到達した。エリナは危機を感じて全力で自身の巨体を遠心力を利用して回転させる。

「痛いって言ってるんだなあ!」

「オワァ!」

エイジスはエリナの遠心力を利用した回転に振り落とされてしまった。エリナの傷はまたしても自動治癒されていく。

(心臓がある胸部を貫いても奴は死ななかった。胸部までエイジストラッシュを見舞ってもダメだった。やはり首から上にコアがあるようだな。)

弱点を突くことには失敗したが、エイジスは今の攻撃で確信した。弱点は首から上にあると。

「今度はこっちの番だなあ!」

エリナが両腕の拳によるラッシュ攻撃をエイジスに次々と繰り出す。

「氷の壁(ジエ ロ・ムーロ)!」

エイジスが展開した氷の壁がラッシュを防ぐが、3発程受け止めると破壊されてしまった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.307 )

日時: 2016/10/12 00:21
名前: 敗北者

「氷河期を蟻みたいにペシャンコにしてやるんだなあ!」

氷の壁を破壊してエイジスを殴り潰そうとラッシュを繰り出すが、エイジスはラッシュを避け続けた後に跳び上がり、エリナの左腕の上に乗った。

「うわ!蚊みたいな奴だなあ?いい加減潰れるんだなあ!」

エリナが右手の掌で左腕のエイジスが居る肘辺りの位置を叩くがエイジスは素早い身のこなしでそれもかわす。

「お前の弱点は、頭だぁぁぁ!」

エイジスは冷殺剣を下段に構えながらエリナが繰り出すビンタを避け続けてついに頭部の天辺に到達した。

「地獄の氷の世界で永遠に眠れ!」

暴れて振り落とそうとするエリナの脳天に突き刺した冷殺剣から発せられる魔力と冷気が、エリナの脳に大きな傷を造った。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.308 )

日時: 2016/10/12 00:21
名前: 敗北者

「頭が痛いなあ!」

「!」

エリナが頭の天辺を自ら叩こうと右手を繰り出す。エイジスは地に向かって跳んで回避する。

「脳をやった筈だぞ…!こいつ不死身か!?」

エリナの頭部の傷は自動治癒で塞がっていた。

「氷河期は蚊みたいだなあ!いや、蝿かなあ!どっちでもいいなあ!不快な思いをしたから肉の塊に変えてやるんだなあ!」

エリナが両手を重ねて振り下ろす。

(いや、まだだ!弱点は必ずある!)

「氷の億本槍(ブリザード・ビリオンランス)」

氷の千本槍の十万倍の氷の槍がエリナの周囲に展開され、一斉に射出された。

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!痛いなあ!!!」

容赦無く全身に氷の槍が次々に突き刺さってはエリナな自動治癒により傷が塞がって押し出されるのを繰り返すが、エリナは一箇所だけ氷の槍が当たらないように庇っていた。それは両手を回して押さえている首筋の後ろの部分である。

「そこが弱点か!」

エイジスが首筋の後ろこそエリナの弱点だと確信する。

「夢想・樹海浸殺」

無数の蔦を凍土から生えさせてエリナの手足の動きを封じる。

「動けないなあ!中々取れないなあ!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.309 )

日時: 2016/10/12 00:22
名前: 敗北者

エリナは自身に巻きついた無数の蔦や枝を取り払おうともがくが、頑丈なそれは中々思うようにどけることが出来ない。

「氷の槍(アイスブロック・パルチザン)」

エリナの首筋の後ろに到達したエイジスが氷の槍を作り出して鋒を向ける。

「あああああああああ!!そこはやめてお願い!!!何でもしますからあああ!!すいませんでした氷河期様あああああ!!!」

「今頃謝ってもおせえよ、この異次元世界で永遠の眠りにつけ。」

必死に命乞いをするエリナの懇願を受け流し、エイジスは氷の槍を首筋の後ろに深く突き刺した。

「ああああ…!」

エイジスが後ろに跳び下がるとエリナは悲鳴を上げて絶命した。

「さて、戻るか。」

氷の異次元世界を魔力で解除し、エイジスは元の世界に戻った。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.310 )

日時: 2016/10/12 00:23
名前: 敗北者

「オラァ!水瓶何処だぁ!出てこい水瓶ェ!」

自軍の兵そっちのけでセールは飛び出して水瓶軍を圧倒的武力で粉砕し、水瓶の本陣を単身で急襲した。

「お前、俺の1万もの軍を単騎で突破してきたのか!」

水瓶が抜刀してセールに斬りつけるが、セールの体に刃が触れても金属音が鳴るだけで傷一つついていない。

「よう水瓶ェ!やっと会えたなァ!さあ始めようぜ俺達のバトルを!」

水瓶の刀を拳で握り、砕いたセールが悪意に満ちたような笑顔で水瓶に対する。

「よくも俺の将兵を壊滅させてくれたな声優豚セール!引導を渡してやる!ハアアアアア!!」

水瓶の体が突然変異が起きたかのように変色し、形を変えて周囲の山々を凌駕するほどの青い正八角形の要塞に変化した。

「うおぅ!デケェなこりゃ!だが図体だけデカくなってもしょうがねえんだぜ水瓶ェ!」

セールが右腕を大砲のような巨大な兵器の形に変化させ、砲口を水瓶に向ける。

「テポドン発射ァ!」

右腕の砲口から発射されたのは何と核ミサイルだった。テポドンは尻から火を噴きながら軌跡で弧を描いて水瓶に命中する。

命中するや否や、水瓶を中心に周囲の山々が消し飛ぶ程の爆発と爆風が巻き起こった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.311 )

日時: 2016/10/12 00:24
名前: 敗北者

「この大将軍セールの能力の一つだ。現実世界に存在したあらゆる兵器を魔力により生成し、使用が可能となる。しかも攻撃範囲はかなり調整出来るから本来は地球壊滅規模の核兵器でもこうして対象とその周囲くらいに留めることが出来る!しかもしかもぉ!何と範囲を調整して狭めた分だけその威力は凝縮される!俺こそがこの世界最強の能力者・セール様だぁ!」

「へえ?最強ねぇ…」

セールが血湧き肉躍る衝動を抑えきれずに自らの能力を語っていると、テポドンの一撃を受けた筈の水瓶が爆発を掻い潜って現れた。

「核兵器が効かない生物がこの世に存在するなどありえんぞ水瓶ェ!貴様どんなチートをこの世界に持ち込んだんだぁ!」

「本当に喧しい声優豚だな。よく見ろマヌケ!」

水瓶の体を守っているのは虹色の光の八角形を重ねた形の障壁だった。

「これはアブソリュートテラーフィールド略してATフィールド!通常兵器は効かねえバリアなんだよ分かったか声優豚ァ!」

「ATフィールドォ!?てめえ使徒かよ!だが構わねえ通常兵器が通用しねえならこれならどうま水瓶ェ!」

セールの右腕の砲口から紫色の超高密度な粒子砲が水瓶に向けて発射されたが、またしてもATフィールドに阻まれる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.312 )

日時: 2016/10/12 00:24
名前: 敗北者

「この最強の俺の攻撃を弾きやがったな水瓶ェ!許さんぞ水瓶ェ!何が何でもてめえをぶっ殺して俺が最強であることを証明してやるぞ水瓶ェ!」

セールが水瓶への強い敵愾心を露わにしながら右腕の砲口に新たな兵器をセットする。

「これが第二次世界大戦時に日本で猛威を奮ったリトルボーイ、そして…」

左腕までもが右腕と同じ形状になり、新たな兵器が装填される。

「これがファットボーイだぁ!原子爆弾2発で消し飛ばしてやるぞ水瓶ェ!」

「だから通常兵器は俺には通用しねえって言ってんだろ声優豚ァ!」

「そいつはどうかな!?この兵器には俺の魔力をぶち込んであるんだぜぇ!」

水瓶のエコーがかかった声にセールは大声で答える。

「発射ァ!原爆で溶けて消し飛べェ!」

リトルボーイとファットボーイ、2つの原子爆弾が使徒となっている水瓶に向かって射出された。

「ATフィールドォォォ!!」

水瓶はATフィールドを多重に展開して2つの原子爆弾を押し潰すように前に向けて押し出す。

原子爆弾とATフィールドが激突した。原子爆弾はATフィールドを次々に突き破り、水瓶まで後1層というところまで迫った。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.313 )

日時: 2016/10/12 00:25
名前: 敗北者

しかしATフィールドは無限に展開し続ける。原子爆弾はATフィールドを突き破れずに爆発と爆風を引き起こした。

「バーカめぇ!所詮は声優豚だなセールゥ!てめえがこの戦いで出来るのは地図を描き変えさせるだけだぁ!そろそろ俺の出番だぁ!受けてみろ声優豚ァ!」

「加粒子砲ォォォ!」

水瓶の体の表面から極太の赤いビームが発射される。

「ATフィールドは使えねえが俺にもバリアはあるんだよ水瓶ェ!」

セールが魔力による紫色のバリアを展開するが、加粒子砲のあまりの威力に圧倒されて突き破られてしまう。

「フハハハハ死ねェ声優豚ァ!もう二度と アニメ見れないねぇ!」

加粒子砲がセールの体を呑み込み、セールが更地にした範囲より広大な山々を吹き飛ばす。

「くたばったか?五月蝿い筋肉男だったぜ。だが俺でなければ対抗出来ない能力者だったな。」

「誰が…くたばってぇ!?俺は生きてるぞ水瓶ェ!」

水瓶の視界にはダメージを受けて人間の皮膚が剥がれ、機械や金属で出来た全身を露出したセールの姿だった。

「てめえ人間じゃなかったのかぁ!?」

「俺はターミネーターT800の特別製超改良二次元世界版だぁ!」

金属や機械で出来た体が生体細胞の活性化により再生し、人間の姿に戻る。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.314 )

日時: 2016/10/12 00:26
名前: 敗北者

「だがATフィールドは面倒だな。こうなったらどんなに抑えても今の俺ではこの戦場全体を吹き飛ばしちまうが米国が誇る新式の核ミサイルを…」

セールが腕を変形させた時であった。

「セール将軍よぉ!1人で楽しんでんじゃねえよ俺も混ぜろよ裏切り者同士仲良くしようぜぇ!」

聴こえてきたのはまさっちの声だった。しかし巨大なロボットのような機体(?)から聴こえる声だった。その二足歩行の物体は全速力で地面を踏み付けながら使徒と化した水瓶に向けて突っ走る。

「出たな裏切り者まさっち!セールと一緒に仲良く裏切り者同士あの世に送ってやるぜぇ!ATフィールド展開!」

水瓶がATフィールドの多重展開で機体(?)諸共まさっちを押し潰そうと図る。

「この汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン初号機でお前をぶち殺すぜぇ!」

ATフィールドに押されつつも、エヴァンゲリオンと呼ばれた機体…ではなく人造人間が二本の腕でATフィールドを次々にこじ空けるようにして破壊していく。

「サシじゃなくなっちまったが…いいぞまさっち!そのままATフィールドを全部破壊しちまえぇ!」

無限に展開され続けるATフィールドだが、ついに至近距離のATフィールドをエヴァンゲリオン初号機が突破した。

「よくやったまさっち!行くぜダブルテポドン発射ァ!」

すかさずセールが両腕の砲口からテポドンを射出する。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.315 )

日時: 2016/10/12 07:48
名前: 敗北者

2つのテポドンが水瓶の体表面に着弾し、水瓶の至近距離に居たまさっちが搭乗するエヴァンゲリオン初号機ごと巻き込む大爆発と爆風が発生する。

あまりの爆風の勢いでエヴァンゲリオン初号機も吹き飛ばされ、仰向けに倒れて地面にめり込んでしまう。

爆発が収まると使徒化した水瓶の体からコアのような赤い物体が露出する。

「今だ行くぜぇ!」

倒れていたエヴァンゲリオン初号機が起き上がり、搭載されている大型ナイフを取り出して投げつける。ナイフは一直線に飛んでコアに命中し砕け散る。水瓶の体から血のような赤い液体が溢れ出して水瓶自身は消滅した。

「何とか勝ったな!」

エヴァンゲリオン初号機が指でVサインを作る。

「まさっちお前俺からおいしいとことってんじゃねえよ!てか何でテポドン受けて平気なんだよ!」

セールがエヴァンゲリオン初号機に向けて怒鳴りつける。

「いや俺もATフィールド展開してたし。それでも吹き飛ばされるんだからとてつもない威力だなお前の核ミサイル。つか俺が居なきゃ水瓶を倒せなかったろうが文句言うなセール。つか俺を巻き込んで殺すつもりだったのかてめえ!」

「お前キャラ変わってね?いつもの^^はどうした?」

セールがすかさず話題を変える。顔には冷や汗が垂れている。

「おっと、バトルでつい熱くなってしまったな。このキャラはバトル用なんだよね。紳士キャラに戻らなきゃ^^」

「お前本性現したよな…」

戦場に残ったのは遥か後方に控えて呆然としているセールやまさっち軍の将兵と、エヴァンゲリオン初号機と、ターミネーターと、つい数分前まで山々が存在した更地であった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.316 )

日時: 2016/10/12 07:49
名前: 敗北者

「性愛の障壁(セクシャルバリアー)」

元国関前の戦場では未だガルガイド軍とエリナ軍の残兵の戦闘が続いていた。ガルガイド軍の部隊長の1人・ぷろふぃーるはエリナ軍残兵の謎の全裸男と交戦していた。

「蘇芳悠太・エンジェルモード!」

蘇芳悠太と名乗った男が背中に天使の翼を生やして舞い上がり、急降下してぷろふにラッシュを叩き込んだ。

「セクシャルバリアーが破れた…同性愛者にしか破れない筈なのに!」

ラッシュのダメージで吐血しながらこれは夢ではないかと思うぷろふ。

「だって俺、ゲイだもん♂」

「…。」

暫くの沈黙の後、2人は手を取りあった。同性愛者同士何か通じるところがあったのだろう。

「俺、戦闘やめる♂」

「俺も。これでエリナ軍完封だ!」

「なあ、お前俺の好みだから後で楽しもうぜ!ウホッ!♂」

この後めちゃくちゃハッスルした。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.317 )

日時: 2016/10/12 07:51
名前: 敗北者

態勢を立て直した李信率いるグリーン王国軍と北条軍が元国関の西の山を迂回して元国関の裏に出る。

「小銭、お前の出番だ。」

「おう!任せろ!」

李信の指示で小銭がクラスカードを取り出した。

「クラスカード・ライダー」

小銭がイスカンダルの衣装を纏い、二頭の黒馬に引かれる馬車に跳び乗った。

「王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)!」

数万のマケドニア軍が召喚され、辺りはマケドニアの将兵で埋め尽くされる。

「蹂躙しろー!」

小銭の命令でマケドニア軍が元国関裏を守備するランドラ帝国軍に襲い掛かった。

「うわっ!何だあの軍は!いつの間に!グワァ!」

無双のマケドニア軍は圧倒的な力で守備兵を殲滅し、裏から元国関の門を開けてしまった。更に階段を次々に登り、元国関の上を守備する将兵をも皆殺しにした。僅か1時間以内の出来事であった。

「やっぱグレンだけじゃ無理だわ!あばよ!」

伊達藤次郎政宗と交戦していた紅蓮はロボットの頭部のみで応戦していたが、伊達藤次郎政宗には敵わず元国関もマケドニア軍に制圧されたのを見て何処かへ飛び去った。

捏造ステハンはシルバーの雷系魔法の一撃で絶命していた。

僅か数時間で難攻不落の元国関は連合軍によって陥落したのである。

「残りは皇帝ゲノンのみだ。行くぞ!」

李信の号令でグリーン王国軍、マケドニア軍、北条軍が戦闘となってランドラ城を目指して進軍を始めた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.318 )

日時: 2016/10/12 07:51
名前: 敗北者

先頭にグリーン王国軍、続いてマケドニア軍、北条軍、そして水瓶軍を突破したセール・まさっち軍、その後ろに元国関を突破した諸国の軍が続く。

15万を超える大軍はさしたる抵抗も無く敵の本拠・ランドラ城に辿り着いた。

「俺達が1番乗りだな。早くゲノンをぶち殺そうぜ!」

「そうだな。さっさと制圧しよう。かかれー!」

小銭が逸る気持ちを伝えると李信が攻撃命令を下した。ゲノン直属の近衛兵1万程が抵抗してきたが、無双のマケドニア軍の前に殲滅された。城内にはゲノンの近衛兵の血の海が広がっていた。

「よくやったぞ小銭、もうクラスカード解除していいぞ。」

「おう!」

小銭がクラスカードを解除して元の姿に戻る。グリーン王国軍はついにゲノンの居る王の間に辿り着いた。

「貴様ら!俺を誰と心得る!俺は皇帝ゲノンだぞ!頭が高いぞ!」

追い詰められたゲノンが威丈高に振る舞う。哀れな姿だった。

「皇帝だと心得てるから来た。暴利を貪り民から不当な増税搾取し、自らとその側近や都合の良い者にのみ利益を分配し、軍事にばかり金を費やし、国や民を顧みなかった貴様にこの俺が誅を下してやる。」

李信が抜刀して鋒をゲノンに向けながら言い放った。余談だが、一刀火葬で無くなった腕は超速再生により復活している。斬り落とされた北条の腕は星屑のスタンド能力で元通りになっている。

「やれるもんならやってみろ!出てこいお前達!」

ゲノンがパンッと手を叩くと、王の間の天井が開いて5人の近衛部隊長らしき人物が降りてきた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.319 )

日時: 2016/10/12 07:52
名前: 敗北者

「こいつらを蹴散らせ!」

ゲノンが正面を指差して命令を下す。5人は李信達一向を囲むように取り巻いた。

「私は領那!レベル5のレールガンよ!」

5人の紅一点・領那がスカートのポケットからコインを取り出すと、右手の親指で上に弾き、降りてきたコインを人差し指で弾いて飛ばす。コインは電気を帯びて李信隊のマロンに向けて飛んでいった。これこそ学園都市…ではなくランドラ帝国が誇る最強の電撃姫(笑)が放つレールガンである。

「来い!我がジン・バアル!」

レールガンはマロンの剣にあっさりと止められた。剣にはジンを宿す証である魔法陣が刻まれている。

「私のレールガンが!」

「電撃ってのはこうやるんだよ!雷光の剣(バララークサイカ)!」

剣から放たれた稲妻が領那に浴びせられ、呆気なく絶命した。

「レベル5のレールガンがこんな簡単に…!」

ゲノンは恐怖のあまり尻餅をついた。体はガタガタと震えている。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.320 )

日時: 2016/10/12 07:52
名前: 敗北者

「俺はゲノン皇帝陛下の近衛隊長の1人・四酸化炭素だ!」

四酸化炭素と名乗った長髪で黒マントを着用している男がカードを取り出すと、詠唱を唱え始める。

「灰には灰に 塵には塵に 吸血殺しの紅十字!」

火炎が発生し、李信に襲い掛かるが、李信の前に星屑が躍り出る。

「クロスファイヤーハリケーン!」

スタンド・マジシャンズレッドが放つ十字型の炎が四酸化炭素の炎と相殺された。

「ザ・ワールド!」

スタンド・ザ・ワールドを召喚し時間停止能力を使い、星屑は四酸化炭素に近づく。

「そして時は動き出す。」

「なっ!いつの間にそこに!」

星屑は四酸化炭素の反応など歯牙にもかけずに別のスタンドを召喚する。

「キラークイーン!」

スタンド・キラークイーンが四酸化炭素の体に触れる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.321 )

日時: 2016/10/12 07:53
名前: 敗北者

星屑は跳び下がって四酸化炭素と距離を取った。

「来い!イノケンティウス!」

四酸化炭素のカードが燃え散り、炎の怪物が召喚される。3000度の温度を持つ怪物が星屑に食らいつかんと飛びかかる。

「おせえよ、ボケ。」

キラークイーンの指先にあるスイッチを押すと、四酸化炭素の体は見るも無惨に爆散し、イノケンティウスは消滅した。


「俺はゲノン皇帝陛下の近衛隊長の1人・イケ面(ヅラ)!喰らえ必殺!暗黒魔導砲!」

魔法陣が展開され、紫色のラインが入った黒いビームが撃ち出された。

「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!」

小銭が光り輝く聖剣を振り下ろし発生した光の斬撃が闇の一撃を呑み込んでイケ面の体を2つに分けた。

「ゲノンの近衛隊長ざっこw」

小銭がゲノンに向かって嘲笑の目を向けた。ゲノンはただ震えているばかりである。

「まだだ!この俺が残っている!俺は近衛隊長の1人・ぁょぅ!行くぞ!」

ぁょぅが腰からライトセーバーを取り出し、李信に切り掛かる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.322 )

日時: 2016/10/12 07:53
名前: 敗北者

「ヘブンズ・ドアー!」

星屑がスタンド・ヘブンズ・ドアーを呼び出し、ぁょぅの顔や体を本のページに変えてしまう。
本となったぁょぅは動かなくなった。

「連合軍の誰に対しても攻撃出来ないっと!これでいいだろ!」

星屑はぁょぅの体にペンでそう書き込むと、ぁょぅの体を元に戻した。

「え…?攻撃が…出来ない!」

「お前の体に俺達を攻撃出来ないって書いたからな。さあ非戦闘員はさっさと失せな!」

「ヒ、ヒッー!」

星屑がさっさと行けと手振りでも表し、ぁょぅは王の間の扉を勢いよく開けて逃げ去った。

「さて、残り1人だ。」

星屑が残った1人の近衛隊長に目を向ける。

「俺が皇帝陛下をお守りする!俺は毎年!有する能力は…!」

「あーもう面倒だから死ね。クリーム!」

星屑のスタンドの能力により、毎年は暗黒空間へと消えていった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.323 )

日時: 2016/10/12 07:53
名前: 敗北者

「さーて残るはお前だけだぜゲノン!」

近衛隊長全てを倒され(1人は逃亡だが)、ゲノンは声を出せずに身が竦んでいる。近衛隊長の戦闘能力には自信があったようだ。

「皇帝へは俺が引導を渡す。縛道の六十一 六杖光牢!」

李信の指から放たれた鬼道の光がゲノンの動きを封じる。

「縛道の六十三 鎖条鎖縛」

「縛道の七十九 九曜縛」

光の鎖と9つの黒い丸型の鬼道がゲノンの拘束を更に強める。

「千手の涯 届かざる闇の御手 写らざる天の射手 光を落とす道 火種を煽る風 集いて惑うな 我が指を見よ 光弾・八身・九条・天経・疾宝・大輪・灰色の砲塔 弓引く彼方 皎皎として消ゆ 破道の九十一 千手皎天汰炮!」

桃色の鬼道の光が無数に現れ、ゲノンへと襲い掛かる。ゲノンは避けることも出来ずにまともに上位鬼道を喰らった。

「なーんてな!」

「なん…だと…」

ゲノンは無傷だった。余裕綽々の笑みを浮かべながら鬼道により拘束を素手で破壊する。

「俺が弱いわけねえだろバーカァ!」

ゲノンは素早い動きで李信の目の前に現れ、拳を腹に叩き込んだ。だが、叩き込んだ攻撃はゲノンに跳ね返る。

「オルトロスから奪ったベクトル操作の能力だ。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.324 )

日時: 2016/10/12 07:54
名前: 敗北者

「だからなんだ?反射しても俺にはノーダメだぜ!」

攻撃を反射されたゲノンはまたしても無傷だった。

「これでは勝負がつかないな。」

北条との戦闘で弱っているのであまり霊力は使えなかった。ベクトル操作もゲノンには効いていない。気のせいか息も上がっている。

「なら、俺が行く。」

白いマント、赤い手袋、黄色のヒーロースーツを着用した男が颯爽と前に現れた。

「なんだそのふざけた格好は!何者だお前は!」

「趣味でヒーローをやっている水素という者だ。思えばこの最強たる俺の出番が暫く無かったじゃねえか。だから俺が相手になるぜ。一目見て分かる、お前は強い。」

ゲノンの前に颯爽と姿を現したのは水素だった。水素はボクサーの真似をして拳を2度ほどシュッシュと突き出し構えをとる。

「最強は俺だぁ!俺の流水岩砕拳を受けてみろぉ!」

ゲノンが身につけている服を破り捨て、上半裸になると筋骨隆々な逞しい肉体が露わになった。

「へえ、中々魅せてくれるじゃねえか。だが当然見た目だけじゃねえよなあ!?」

ランドラ帝国を巡る最終決戦の幕が切って落とされたのである。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.325 )

日時: 2016/10/12 07:54
名前: 敗北者

水素の拳がゲノンの腹に叩き込まれる。

「ブハアッ!聴いたぜ今のはぁ!」

ゲノンが腰を使って捻りを加えた拳を水素に叩き込む。

「俺のパンチで死なない奴はこの世界で2人目だよ。お前は楽しませてくれそうだな!」

ゲノンの拳を受けた水素にダメージは無い。ゲノンは馬鹿な!とでも言いたげな顔で水素に次なる一撃を高速で叩き込むが、やはりダメージは無い。

「連続普通のパンチ」

水素が一度に多くの拳が見える程の速さで連続でパンチをゲノンに見舞うと、ゲノンは吐血しながらもその場に踏ん張って持ち堪えた。

「お前のその技覚えたぜ!連続普通のパンチ!」

ゲノンが水素と同じ技を繰り出す。ゲノンの拳が水素の顔面を捉え、高速ラッシュで殴りつけた。

「へえ。相手の技を盗めるのか。」

相変わらず平然としている水素が少し感心している風を醸し出す。

「そうだ!俺は相手の格闘技を見て瞬時に盗むことが出来る!本番はこれからだぁ!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.326 )

日時: 2016/10/12 07:55
名前: 敗北者

水素とゲノンの格闘の応酬が続く。戦いが長引くにつれてゲノンのダメージは増えていくが、経験値も増えていく。水素の動きの速さに徐々に追いつき、水素の拳や蹴りを回避して拳を叩き込み応戦していく。しかし相変わらず水素は無傷である。

「連続普通のパンチ」

ゲノンは顔面に飛んでくる水素の高速ラッシュを上半身を反らせてかわし、その勢いでバック転しながら水素の顎に渾身の蹴りを見舞う。

「何度やっても…傷一つつけられねえ!何でそんなにピンピンしてんだてめえ!」

「決まってんだろ?そんなのよぉ…それは俺が」

「最強だからだ。」

ゲノンは目の前に立っているこのおかしな衣装を着た男が自分よりも何倍も大きく感じた。存在が、大き過ぎる。

自分が最強とばかり思っていた。この世界で強大な力を得た者は誰もがそう思い込む。しかしそれらの者は皆、自分より上の存在を知り高く聳え立つ壁にぶつかる。中には決して乗り越えられない壁もある。ゲノンはそれを頭の中で必死に否定しようとした。しかし自分が最強だとどんなに言い聞かせても目の前に立つ男が自分の中の声を遮るのである。

「流水岩砕拳!」

頭で考えても無駄だ。この男の強さは理屈ではない。行動することで自らの心の奥に巣食う絶望や臆病という病を断ち切らんとする姿勢が、流れる水のような華麗なフォームを生み出し、それでいて硬い岩さえ軽々と砕くかのような力強い一撃が完成する。

(そうか…これが流水岩砕拳の真髄!今頃になって俺は!)

血反吐を何度吐こうとも、体の傷や痣が増えようとも、この男は止まらない。迷いが消えたその心は一点の曇りも無く拳に現れ、ついに水素の鳩尾を捉えていた。

「これが…これこそが…流水岩砕拳!」

今だけは、政治のことも戦争のことも国や民のことも、全てを忘れて己の拳に己の全てを乗せることを考える。

ゲノンは激しい戦いに己が身の全てを捧げている。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.327 )

日時: 2016/10/12 07:55
名前: 敗北者

「ああ。伝わってくるよゲノン。お前の魂が。」

ゲノンの拳を受けその腕を掴み、振り払った水素が感嘆を漏らした。

「楽しかったぜゲノン。今のお前は悪政を敷き暴利を貪る皇帝じゃない。ゲノンというただ1人の一流の格闘家だよ。」

「水素、てめえ…」

「世界中の誰もがお前を悪の為政者としか認めなくても、俺の中でお前は一流の格闘家であり続けるさ。この俺を此処まで手こずらせた男としてな。」

完成した流水岩砕拳ですら水素には叶わなかった。

「だから俺はお前に敬意を払い、全力でお前を倒す!行くぞゲノン!」

「来いよ水素ォ!」

2人の熱き男の戦いが終幕を迎えようとしていた。

「流水岩砕拳!」

「マジ頭突き!」

ゲノンの拳と水素の頭蓋が重なる鈍い音が鳴る。そしてゲノンの体は拳から全身へと砕けていった。砕け散る瞬間、ゲノンの顔は全てを出し尽くし満足した笑みを浮かべていた。

「さらばだ、強敵(とも)よ。」

水素の心に勝利の喜びは無かった。強敵と戦えた喜びと、それを失った虚しさが胸を支配していた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.328 )

日時: 2016/10/12 07:56
名前: 敗北者

戦いは、終わった。

皇帝ゲノンの死をもってランドラ帝国は滅びた。

1人の男の出現により、この世界は大きく動いた。運命という巨大な力はその男を否が応でも巻き込んだ。

その男を巡り大戦争が勃発し、戦争が戦争を呼び起こした。

ある者は忠義を貫く為、ある者は領土の為、ある者は金の為、ある者は力を誇示せんが為、ある者は大切なものを守る為、様々な思いが交錯しそれが弓矢の儀となって無数の屍の山を築き上げ、血と涙が流れた。

この世界の乱れは正され、その屍の山と血の海の上に平和が築かれた。

ランドラ帝国の滅亡と連合軍の勝利という結果によってこの物語は一応の区切りを迎えたのである。

戦いを終え、それぞれの者にそれぞれの人生が待っている。

しかし、男の物語はまだまだ続いていく。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.329 )

日時: 2016/10/12 07:56
名前: 敗北者

戦いが終わって2ヶ月が過ぎようとしていた。一連の乱の功績により、李信にはグリーン王国領の内の3郡と与板城を与えられ、王都内に更に大きな屋敷を与えられていた。城の守備や領内の統治は内政に秀でたキモ男やポルク・ロッドに任せ、李信は王都に与えられた屋敷で暮らしていた。

勝手にセールやまさっちと旧ランドラ帝国領やガルガイド王国領を与える約定を交わしていた李信は新たにガルガイド王国の国王となったかっしーの怒りに触れ戦後処理は難航したが、李信は屁理屈と恫喝を駆使してガルガイド王国を黙らせた。セールとまさっちには約束通りの領地が与えられた。

仁王帝国に関しては、幻影帝国との取り決めで幻影帝国が得た領地の内3郡を得ることで話はついた。

戦後処理を終え、世界に平和が訪れた。この世界に来てから李信の生活はようやく穏やかになろうとしていた。


ピンポーンと、李信の屋敷のインターホンが鳴った。

「誰かな?」

李信が屋敷の扉を開けると、初めてみる細身で整った顔立ちの男が立っていた。

「いきなり訪ねて来てすみません。この世界に来たばかりなんでね。貴方には挨拶したかったので。」

「…とりあえず中へ。」

李信は男を屋敷内の一室に案内した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.330 )

日時: 2016/10/12 07:57
名前: 敗北者

「現実世界では貴方と一度会ってるんですけどね。直江さん。」

李信に促され、男が部屋のソファーに腰を下ろす。

「俺とオフ会した住民ってことですかな?数名居るので特定は難しいですが…。」

生前のオフ会の記憶を辿る。大勢居て目の前の男が誰なのかは分からない。

「この世界では初めまして。俺はWあです。」

男が名乗った。李信がよく親しくしていた住民である。

「Wあ先輩でしたか!お久しぶりです!ようこそこの二次元世界へ!あーちょっとお茶淹れますね!くつろいでて下さい!」

名前を聞くなり、李信は人が変わったかのようにその男を丁重にもてなした。この世界に来て以来装っていたクールキャラの仮面が剥がれた瞬間である。

「さあどうぞどうぞ!この辺で売ってる1番高いケーキとお茶です!」

「これはご丁寧などうも。」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.331 )

日時: 2016/10/12 07:57
名前: 敗北者

Wあにこの世界のことについて数々の質問を受けた李信は一つ一つに丁寧に答えた。

「ところでWあ先輩、住まいは大丈夫ですか?」

「それが今日来たばかりでしてね、まだなんですよ。」

「なら俺のこの屋敷を使って下さい。何とこの屋敷、この建物だけじゃないんですよ!更にあと5つあるんです!まあ見たから分かるでしょうけど。その内一つを是非使って下さい!」

むしろ李信から頼み込む始末であった。

「いや、でもそれは悪いような…。」

Wあが遠慮する。

「貴方が居れば心強いです!むしろ俺からお願いします!あー飯とか諸々の心配は無用です!生活費は俺が負担します!」

「いや、そこまでしてもらうわけには…」

「俺はこう見えてもこの国の将軍の1人なんですよ!領地も持ってます!金も入ってきます!心配無用です!では屋敷に案内します!」

「は、はぁ…」

半ば強引にWあの住処が決定したのであった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.332 )

日時: 2016/10/12 07:57
名前: 敗北者

一方ガルガイド王国では…

「お前、騎士をやめるのか…。」

「ああ。悪いがやはりかっしー様は日に日に傲慢になっていく。それに直江の勝手な交渉のせいで領地を削減されたのがかなり腹に据えかねたらしく八つ当たりの増税で民の暮らしは苦しくなるばかり。酒に溺れ始めたようだしな。俺はもうこの国には尽くせないよ。」

「これからどうするんだ?」

「土地や建物も買ったし、そこでのんびり古書店をやるよ。じゃあな氷河期、今まで世話になった。」

リキッドはエイジスと別れの言葉を交わしてその場を後にした。

「リキッド…今までありがとな。俺はこの国がどうなろうと守り続けるよ。お前の分もな。」

エイジスはリキッドの後ろ姿を暫く眺めてから自宅へと足を進め始めた。

それぞれの人生が始まろうとしていた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.333 )

日時: 2016/10/12 07:58
名前: 敗北者

「暫く休暇を貰ったんだ。だから今日は此処でゆっくり酒でも飲ませてもらうよ。」

その夜、エイジスは久しぶりにリーナが営むバーに足を運んでいた。

「夜のバーでもいいけど、この店は昼には喫茶店になるんだからその時も顔出しなさいよね。アンタは王国最強騎士でサバ派を打ち破った英雄なんだからいい客寄せになるわ。」

「英雄…か。俺はこの国を守れなかったよ…。」

エイジスはカクテルをあおりながら突然涙を流し始めた。

「ちょっ!アンタ何でいきなり泣いてんの!?大丈夫なの!?」

リーナがエイジスに駆け寄ってハンカチを渡した。

「全ては直江…李信の陰謀だったんだ!俺は奴からこの国を守れなかったんだ!俺は、俺達は奴の掌の上で踊らされていたんだ!」

エイジスが憚らずに号泣する。リーナはエイジスの背中を優しくさすり始めた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.334 )

日時: 2016/10/12 07:59
名前: 敗北者

「確かに奴の策で戦いには勝った!サバを倒した!でも奴は勝手にセールやまさっちにこの国の領地を恩賞として与える約束をしやがったんだ!戦いが終わって数日して俺はその話を初めて聞いたんだ!この国は、ガルガイド王国は奴の調略の功を挙げさせる道具だった!事実奴は大幅な領地の加増を受けて城まで与えられている!」

エイジスは言葉を並べて泣き叫んだ後一旦間を置いた。

「奴のせいでかっしー様は荒れている!俺は守れなかったんだ…奴からこの国を…!」

エイジスがカクテルの入ったグラスを握り締めながら泣き続ける。

「よしよし、アンタは頑張ったよ。それに荒れてもやり直せばいいじゃない。人間ってね、生きてる限りやり直せる生き物なのよ。かっしー様は元々そんなお方じゃなかったんだし、きっとまた気づいて下さるわよ。アンタはこの国を守る騎士なんでしょ?なら王様を信じなさいよ。」

優しく諭すようにリーナがエイジスの悲観に希望の光を差す。

「そうだな…。俺は騎士なんだ。王様を信じなきゃな。」

リーナに渡されたハンカチで涙を拭う。

「その李信って人とも、話し合えばきっと分かると思うわ。だから…」

「ありがとう。吐き出して楽になったよ。もう一杯くれ。」

「もう10杯目よ。しょうがないわね全く。」

エイジスがグラスを突き出し、リーナがそれに酒を注ぐ。暫く味わえなかった味と時間にエイジスは世の中のいざこざをしばし忘れた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.335 )

日時: 2016/10/12 07:59
名前: 敗北者

翌朝

「よう。手伝いに来たぜ!」

エイジスが喫茶店となったリーナの店にやってきた。

「手伝いに来たぜ!じゃないわよ!何よその酒臭さは!浴室でシャワー浴びて来なさい!」

「え、あ、ああ…。すまない…。」

リーナに背中を押されてエイジスはリーナの住処になっている二階の浴室へと足を運んだ。

「これ着替えね!今着てる衣類は全部この洗濯機に入れてね!後で洗濯しとくから!」

「ああ、いろいろすまんな。」

手渡された着替えを浴室の脇に置き、リーナが去ったのを確かめてから衣類を全て脱いで洗濯機に放り込む。

「あれ?シャワー浴びて来なさいと言ってたのに浴槽に湯が張ってあるじゃん!気がきくなリーナは!」

掛け湯をしてから浴槽に入り温まる。昨日泣き腫らしたことを思い出し、急に恥ずかしさがこみ上げてくる。

「いろいろ世話焼いてくれるけど、何でリーナは俺にこんなにしてくれるんだろうな。あんな可愛い子に尽くされて幸せだけど。いや何を考えてるんだ俺は!浮気はいかん!俺には団長が!いやでも付き合ってるわけじゃないし!あの告白の返事もしてもらってないし!」

グリーン王国国門戦でエリスに告白したことを思い出し、湯の温度で赤くなっている顔が更に紅潮する。

「勢いであんなこと言っちゃったけど団長、どう思ってるんだろ。やっぱり軽蔑されたかなあ…。」

考え込みながら浴槽から出る。石鹸とタオルを手にとって体を洗う為に泡立てる。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.336 )

日時: 2016/10/12 07:59
名前: 敗北者

その時、浴槽の扉が開く音がした。

「入るわよー。」

「オワアアア!ってもう入ってるじゃねえか!いきなりなんだよ!」

リーナが入ってきたのである。それも水着姿である。胸の部分があまり盛り上がってないマニアにはたまらない格好である。

「背中流してあげにきたのよ。ほらそのまま後ろ向いてて。」

エイジスからタオルと石鹸を取り上げて、背中を擦り出す。

「あのー、恥ずかしいんだけど…。」

「アンタさ、私がこの格好で入ってきて胸見たでしょ?」

エイジスの訴えを無視してジト目で背中を強く擦る。

「いや、あの…すみません、はい。」

エイジスは観念して正直に答えた。やはり視線に気付かれていたと後悔する。

「ねえ、小さい胸は嫌い…?」

リーナがそっと呟くように尋ねる。

「え…いや、まあ男の好みはそれぞれだよ!小さい胸が好きな男も居るよ、うん!」

「人の需要じゃなくてさ、アンタの需要を聞いてるんだけど!」

背中を擦る力が急に強くなる。意図的なものだった。

「痛い痛い痛い!いきなり何だよ!もうちょっと優しく頼むぜ!」

「はぐらかさないで答えて!」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.337 )

日時: 2016/10/12 08:00
名前: 敗北者

「だからいきなりどうしたんだよ!お前今日なんかおかしいぞ?」

顔だけ後ろに向けてエイジスはリーナを見やる。リーナが急にしおらしい表情になったと思うと胸をエイジスの背中に押し付け始めた。

「おかしくないよ…。アンタさっき私のこと可愛いって言ってくれたじゃない。だから…」

「なっ!?お前聞いてたのか!」

エイジスは羞恥を憶えた。先程の独り言は全て聞かれていたと悟った。

「全部聞いてたわよ…。ねえ、エリスさんはアンタには高嶺の花よ。私じゃ駄目?」

「そりゃ可愛いって言ったけどあれは客観的にと言うか、うん…」

エイジスは苦し紛れに答えた。

「私、ずっと前からアンタのこと好きだったんだよ?だからエリスさんには正直嫉妬してた。胸も大きいし。」

勇気を振り絞り、目に涙を浮かべてリーナは思いをエイジスに告げた。

「私もエリスさんみたいに胸が大きければアンタに好きになってもらえたのかな…。今からでも豊胸手術をして…」

「それは違う!」

エイジスが突然強くリーナの言葉を否定した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.338 )

日時: 2016/10/12 08:00
名前: 敗北者

「その胸も含めて全部がお前の魅力なんだ!神に与えられたその可愛さ、魅力をいじくっちゃ駄目なんだ!お前はお前にしかない輝きが、魅力がある!だからそんなこと言わないでくれ!」

「エイジス…ありがとう。じゃあ私もエイジスに需要があるってことだよね?他の男に需要があっても私には意味なんて無いのよ。」

涙を滲ませながらリーナはその顔をエイジスに近づける。

「俺さ、やっぱり駄目な男だわ。最低だわ。」

エイジスはリーナの顔を見て俯く。

「え…?」

エイジスの言葉にリーナがキョトンとする。

「そんなこと言われたらお前のことも好きになっちまったじゃねえか…。お前は可愛いし、尽くしてくれるし、良い女だよ。お前が好きだ!でも団長も好きだ!そして咲も好きだ!俺には選べねえ!俺は浮気者で最低な男だあああ!!」

「フフッ…馬鹿ね。」

エイジスが家全体に響く程の大声で叫ぶと、リーナは笑い出す。

「それでいいじゃない。みんなもアンタのこと好きだし。もちろんエリスさんも。みんながアンタを好きでアンタもみんなが好き。それならみんなハッピーじゃない。」

リーナがエイジスに抱きつきながら優しく言葉をかける。

「え?団長が俺を?いや、それは残念ながら無いかな…あはは…」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.339 )

日時: 2016/10/12 08:01
名前: 敗北者


「この前エリスさんと話ししてたのよ。そしたらエリスさんがアンタに告白されたことを話したわ。」

〜此処から回想〜

「私、この前エイジスに告白されたわ。愛の告白ってやつよ。それも戦場でよ。信じられないわ。」

エイジスがランドラ帝国との戦いを繰り広げていた時の話である。ランドラ帝国とグリーン王国との戦いで負った深傷が完治したエリスは、リーナが営むバーに来ていた。

「え…?へえーそうなんだ…。で、返事はどうしたの?」

明らかにリーナは動揺していた。リーナもエイジスに好意を抱いているからである。この日が来ることを覚悟はしていたが、やはり辛いものは辛いと感じた。

「返事はしなかったわ。戦場だから立場があるし。でもあいつは私を守る為に必死に戦った。その時私はエイジスに男を見たのよ。」

カクテルが入ったグラスを口につけながら真顔でエリスが言った。

「それって…」

恐る恐るリーナが口に出してみようとするが、最後まで言葉が出ない。やはり怖いのだ。

「私、エイジスのことが好きみたい。」

「そ、そうなんだ…お幸せに…。」

〜回想終了〜

「と、いうことがあったのよ。」

「そうだったのか…。何か団長に申し訳ないな。浮気者になっちまったよ俺…軽蔑されるだろうなあ…」

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.340 )

日時: 2016/10/12 10:29
名前: 敗北者

「そうなっても私が居るじゃない!咲も居るわ!」

満面の笑みでエイジスに抱きついている腕の力を強く入れるリーナ。

「みんなに受け入れられないと意味無いんだあああ!」

エイジスは大声で胸の内を吐いた。


「エイジス君とリーナちゃんったら。さっきから丸聞こえなんだけどなぁ。」

2階にやって来ていた咲が呟いていた。エイジスのハーレムが形成されようとしていた。


「いらっしゃいませー!」

店の手伝いをしているエイジスが元気よく接客をこなしていた。
昼間、珍しい出で立ちの客が来店した。全身を銀色の鎧に包み、一振りの剣を腰に差している長髪の少女だった。

その姿を見た時、エイジスの右手からコーヒーカップが滑り落ち、ガシャンという音を立てて飛び散っていた。

「お前もしかして…レイン?」

「ただいま、エイジス。ただいま、みんな。」

呆然とするエイジスにレインと呼ばれた少女が笑顔で答えた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.341 )

日時: 2016/10/12 10:29
名前: 敗北者

「お前…今まで何処に…!いや、無事で良かった!」

エイジスが駆け寄ってレインに抱きつく。

「嘘!?レイン!?」

「ホントにレインちゃんなの!?」

リーナと咲もレインという名前を聞いて飛び出してきた。

「うん。レイン・ヴァントニル、ただいまガルドリアに帰って来ました。」

昔から共に騎士としての力を磨き続けてきたレインとの再会にエイジスは胸から熱いものがこみ上げてくる。気づけばそれは涙に変わっていた。

「今日の仕事終わったから来たわよー。ってレイン!?」

偶然来店したエリスもレインの後ろ姿を見て思わず声が上ずってしまう。

「はい、エリスさん。レイン・ヴァントニルです。」

思わぬ再会に皆が沸き立った。この日は店の都合で急遽閉店となった。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.342 )

日時: 2016/10/12 10:30
名前: 敗北者

ガルガイド王国騎士 レイン・ヴァントニル 16歳。エイジスや他の面々と懇意にしていた少女だったが数年前に行方不明となり、今まで所在が全く掴めないでいた。

レインは今までのことをエイジス達に詳細に話した。

数年前、ガルガイド王国は財政難に陥っていた。そんな中、当時の国王・桑田にある話が持ち掛けられる。それは性奴隷売買を生業とする悪徳商人・神チーという者が、レインを一目見てこれは高く売れると見込み、レインを高値で売って欲しいという恐るべき内容だった。

財政難に悩まされていた桑田はこれをあっさりと承諾。翌日レインを呼び出すと偽りの任務を命じた。命令により王都から離れたグリーン王国へと続く道がある森へと向かったレインは、そこで神チーとその一味の待ち伏せに遭い、神チーの謎の秘密道具の前に手も足も出ず抵抗虚しく拉致されてしまった。

しかし隙を見てレインは檻から脱出、ガルガイド王国にはもはや戻れないと悟ったレインは数年間各地を放浪しながら力を磨いたという。ガルガイド王国、なにより桑田に失望したレインは何も告げずに行方を眩ませた。ガルガイド王国ではこのことは隠蔽され、任務中の事故として処理された。

放浪中、みさくらと名乗る豚の仮面の名残を顔につけた怪物に出会い襲われたが、自らの技で消えない分身を作り上げたレインはその分身を身代わりにして逃げおおせたという。後で知ったことだが、その怪物は最近になってグリーン王国の星屑、小銭、水素という者達が退治したらしい。

最近、グリーン王国とガルガイド王国の戦争がありその戦争で桑田が戦死し、跡目争いの後に新たな王が即位したことを風の便りで聞いて帰って来た。

「話はこれくらいかな。」

レインは俯きながら話を終えた。忠義を尽くしてきたこの国の闇を、エイジスやエリスは突き付けられたのである。

「何だよそれ…!桑田国王陛下はお前を売ったって…!俺はそんな王の為に今まで戦ってきたのかよ…!」

エイジスの中でこの国は絶対の存在だった。忠義を尽くすべき絶対の対象だった。そんなエイジスの心が揺らぎ始めた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.343 )

日時: 2016/10/12 10:30
名前: 敗北者

「私も今まで国の為に全てを捧げてきた。陛下の為に戦い続けた。でもそれが事実だとすれば…私は…!もうどうしたらいいか分からない…!」

エリスの顔にも暗い影が射す。

「団長…」

エリスも自分と同じなのだとエイジスは察した。国の為に尽くす誇り高い騎士であるエリスのこんな姿を、エイジスは見たことがなかった。

「団長、俺は暫く出仕をやめます。自分の気持ちに整理をつけたいと思います。」

「ええ。でも今の王はかっしー様よ。もう桑田様は居ない。」

「分かっています。俺は桑田様を許せなくなってしまった。こんな気持ちで騎士を続けられるのか自信が無くなってしまいました。だから…」

「分かったわ。貴方の願い、確かに聞き届けたわ。」

その後はレインがどんな放浪生活を送ってきたのかという話になった。数年間分の話は長く、あっという間に日が沈んでいた。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.344 )

日時: 2016/10/12 10:30
名前: 敗北者

ガルガイド王国の王都ガルドリアのはずれに、新装された古書店が佇んでいた。騎士を引退したリキッドが開いた店であるが、客足は一向に近づいてはこなかった。古書を買い求める客は、の話であるが。

「あの、この本おいくらですか?」

尋ねてきたのは20代中盤くらいの女性だった。一冊の古書を手に取り、値段を店主であるリキッドに確かめる。この店ではこれが定着していた。

「いくら出せるの?」

騎士を務めていた頃と打って変わり、サングラスをかけた坊主頭のリキッドがレジの隣にある椅子に腰掛けながら、客の女性に尋ねる。

「お給料の…3ヶ月分で。」

震える口から自分に出せる額を女性が答える。

「…上がって。」

リキッドが女性を上の階へと案内する。上の階はリキッドと相棒の住処となっていた。

「なんや?依頼人?」

相棒の男がすぐに立ち上がり、読んでいた雑誌を片付けて座布団を敷いて女性を待ち受ける。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.345 )

日時: 2016/10/12 10:31
名前: 敗北者

「あの、その方は?」

リキッドの相棒の姿を見つけて女が聞く。

「俺は奇人って言うんや。宜しく。」

奇人と名乗った男もリキッドと同じく依頼人にもタメ口をきく。首くらいまで髪を伸ばしたエセ関西弁を使う筋骨隆々な男である。


「3年前のことです…。」

敷かれた座布団の上に座り、ちゃぶ台の上に出されたお茶を啜りながら女性は話し出す。

「ある夜、私は姉と2人で王都の商店街で買い物をした帰りに用を足したくなり、姉に外で荷物を持ってもらい公共トイレで用を足しました。トイレから出ると、姉は荷物を放り出したまま居なくなっていました…。」

「私はおかしいと思い、辺りを探したのですが見つかりませんでした。役所に捜索願を出しましたが結局見つかることはありませんでした。」

女は涙ぐみながら話を続ける。

「姉は拉致されていました。そこでカースオブキャットと名乗る男に拘束・監禁されて散々犯された後、チェーンソーで切り刻まれて殺されていました。その映像を撮影しスナッフビデオとして売り捌いていました。」

女性の目から溜まっていた涙が溢れ出す。

「カースオブキャットは逮捕されましたが、国王・桑田の側近の甥という続柄から何と無罪放免となったんです!あの男は今やかっしー政権の重鎮!私の姉は惨たらしく殺されたのにあの男はのうのうと生きて政治にまで関わっている!私はそれが絶対に許せないんです!」

一呼吸置いて落ち着いた女性が一口茶を飲んでまた口を開く。

「お願いします。あの男も、同じくらい苦しませて殺して下さい…!」

女性の悲痛な声は、リキッドと奇人の心を確かに捉えていた。しんみりとした表情で聞いていた奇人が女性の肩に手をかける。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.346 )

日時: 2016/10/12 10:31
名前: 敗北者


「任しとき!アンタのお姉さんの仇は絶対俺らがとってやるで!」

奇人は女性の肩を優しくポンポンと2回叩くと、リキッドに視線を移す。

「その依頼、引き受けたよ。奴の居所は分かってるから早速今夜にも実行するよ?それでいい?」

サングラスをかけた威圧感のあるリキッドが女性に応えた。女性はゆっくりと首を縦に振って頷いた。


その夜、ガルドリアにあるカースオブキャット邸でカースオブキャットは寝静まっていた。2階の窓付きの部屋である。

カースオブキャットは便意を催して目を覚まし、起き上がって家のトイレを目指して部屋を出て歩き出す。そこに待ち構えていた奇人がカースオブキャットを数発殴り、彼がわけの分からない内にリキッドが後ろから顔に袋を被せてその袋についている紐を縛る。

「一先ず上手くいったなリキッド。」

「ああ、こいつを廃工場に連れて行くぜ。復讐代行開始だ。」

2人はカースオブキャットを交代で担ぎながら王都のはずれにある廃工場を目指して走り出した。

Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.347 )

日時: 2016/10/12 10:32
名前: 敗北者

シャッターが閉ざされた廃工場内で、カースオブキャットは全裸にされて椅子に拘束されていた。

「…!?此処は何処だ…!?おいなんだこれは!離せ!」

目が覚めたカースオブキャットは状況が吞みこめずに混乱する。

「よう、お目覚めかいカースオブキャット大臣。」

リキッドが鉄パイプを持って炉につけた火で熱しながらカースオブキャットに語りかけた。

「貴様ら、誰だか知らんが私はこの国の大臣だぞ!?こんなことしてただで済むと思っているのか!?」

拘束を振り解こうと必死に暴れるが、紐が頑丈でキツく縛ってあるのでそれが出来ない。

「お前さんこそ、私利私欲で1人の女性を無惨に殺しておいてただで済むと思ってるんじゃないだろうねぇ?」

「!」

リキッドに言われてカースオブキャットは背筋が凍る思いをした。まさか今頃になってそのことで復讐する奴に狙われていたことを悟った。

「おい、奇人。」

リキッドが呼ぶと、奇人はカッターナイフを持ってツカツカとカースオブキャットに近づく。するとそのカッターナイフでカースオブキャットの喉に切れ目を入れた。

「へっ…!?」

痛みと驚きで目を丸くするカースオブキャットにリキッドはこう言う。

「声帯の一部を切った。これで大きな声は出せない。」

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