「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」
【概要】
ポケガイ民が理想の力(オリジナルも既存作品からのも)と容姿を手に入れ、二次元世界に生まれ変わる。力を使って戦いを繰り広げたり、二次元ヒロインと出会って生き抜いていく物語である。
【あらすじ】
ポケガイ住民のとある青年は、ある日呆気なくその短い生涯を閉じる。次に彼が目を覚ますと、そこは憧れの二次元世界だった。理想の力と容姿を手に入れた青年は様々な出会いと戦いを繰り返して生き抜いていく。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.448 )
雷を帯びた二丁斧でガルガイド兵を薙ぎ続けるキモ男の視界に、コアラ少年と思われる男が映った。コアラ少年はひと際派手な甲冑に身を包んでいたからである。
「其処に在わすはガルガイド軍総大将・コアラ少年殿とお見受けする!我は李信軍副官のキモ男なり!その御首級、頂戴仕る!お覚悟!」
「ヒッ…!来るな!来るなあああああ!!」
愛馬を駆りながらキモ男はコアラ少年の眼前に迫り、雷を帯びた二丁斧を横に薙ぎ払うと、コアラ少年の首が胴から切断され、血飛沫が舞い上がった。
「ガルガイド軍総大将・コアラ少年をこの李信軍副官・キモ男が討ち取ったり!」
切断されたコアラ少年の頭部の髪を掴んで掲げるキモ男の声を聞き、ガルガイド兵はより一層恐怖を募らせて川に飛び込んでは流されていく。まさに前門の虎、後門の狼だった。
キモ男は更に先頭部隊の勝負尻を捕捉して突き進んでいく。
「奴とて、人間!鬼神ではあるまい!俺が奴を倒してこの敗戦の汚名を少しでも注いでやる!」
勝負尻は水属性魔法で遠くからキモ男を狙って高圧水流ブレードを伸ばすが、雷を帯びたキモ男の二丁斧にいとも簡単に阻まれた。
「貴殿が勝負尻殿か!いざ尋常に勝負!」
瞬く間に勝負尻隊の兵は薙ぎ倒され、キモ男は単騎で勝負尻に迫った。
「お前がキモ男か!この屈辱をお前の首で注いでやる!」
勝負尻が水属性魔法による水球を無数に展開してキモ男に飛ばすが、全てキモ男の二丁斧に斬り裂かれた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.449 )
勝負尻は次に高圧水流ブレードを作り出してキモ男目掛けて伸ばすが、キモ男は持ち前の動体視力でそれを回避し、勝負尻に接近した。
「迅雷脚ー!!」
キモ男は飛び降りてそのまま雷を帯びた脚から繰り出される強烈な蹴りを勝負尻に見舞った。落馬し、倒れ伏した勝負尻が立ち上がることは2度と無かった。
「勝負尻を討ち取ったり!」
勝負尻の首を斧で切断し、高らかに掲げる。総大将と副将を失ったガルガイドの大軍は最早烏合の衆に過ぎず、次々にキモ男や藤原の部隊に切り崩され、逃げようとした者は水流に押し流された。
夕暮れ時には与板城とその城下に3万のガルガイド軍の死体の山が積み重なっていた。つまりガルガイド軍は全滅である。
計画された作戦とキモ男の鬼神の如き武が、ガルガイドの野望を完全に叩き潰したのであった。
この日以降、キモ男の名を聞くとガルガイドの兵や民は震え上がるようになった。泣いている子供を泣き止ませる為に親達が「キモ男が来るぞ」と言うと、どんなに泣き喚いている子供でもピタリと泣き止んだという。
与板城の戦いは李信軍の完全勝利に終わった。
「キモ男さん、天晴れな働きでした。」
その夜城内の広間で催された酒宴では、ポルク・ロッドの作戦立案とキモ男の鬼神の様な働きで話は持ち切りになった。ポルク・ロッドがキモ男を労って酌をするとキモ男もポルク・ロッドの杯に酒を満たした。
この完全勝利の報が李信にもたらされるのは、もう少し先のことである。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.450 )
舞台は再び移り、ガルドリア城最上階
天井が無い最上階の大広間の奥にある王座で、その男は赤牡丹、オルトロスを待ち構えていた。
「よく此処まで来たな。俺の要する最大戦力をぶつけた筈なんだがな。」
ガルガイド王国第24代国王・かっしー。この男の野望が始動しようとしていた。
「やっと辿り着いたぜかっしー!てめえをぶちのめして野望を打ち砕く!」
オルトロスが拳を握り締めて肘を上に曲げながら吠える。
「今迄仲間達がてめえの手下共を引き受けてくれたから此処まで来れたんだ!此処でてめえを止めなきゃ仲間達に合わせる顔がねえ!」
赤牡丹も負けじと大音声である。
「しかし少々遅かったようだな。全ての準備がたった今整った!俺の世界征服への第一歩、その幕開けをその目に灼きつけるがいい!」
かっしーの背後にある特殊な巨大宝石に魔力が城の下からどんどん集まっていく。
「なんだこりゃあ!」
「よく分かんねえ、分かんねえけどこれだけは言える!これはやべえ!」
赤牡丹とオルトロスが見たのは、更にその宝石に集まる魔力を右手の掌に球状に集め始めたかっしーの姿だった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.451 )
掌サイズに圧縮した魔力の塊を、かっしーは何と口に含んだ。
「ウオオオオオオオオオオオオオオ!!」
かっしーの体を莫大な量の魔力が駆け巡る。魔力を吸収したかっしーの瞳は赤と青のオッドアイとなり、悪魔を彷彿とさせる黒い鎧を身に纏っていた。
「たった今、この世界の、能力者にある魔力を全て集めて俺が喰らった!今の俺はこの世界で最強!誰にも止めることは出来ない!この力で俺は世界征服を成し遂げる!ハーハッハッハッハ!」
かっしーが力を得たのを確かめるように右手の指を前後に動かす。
「感じるぜ…凄まじい魔力だ…!だが生憎俺は科学サイドなんでなあ!てめえの魔力吸収は効かねえんだよ!」
オルトロスが床を右足で踏みつけると、かっしーの居る場所の床が尖ったように盛り上がり、かっしーを串刺しにしようとする。だがかっしーは謎の暗黒空間を足元に発生させて攻撃を無力化した。
「第四波動!」
続いて赤牡丹がかっしーに熱を吸収した炎の波動を放つが、かっしーから見て正面に出現した暗黒空間に吸収されてしまった。
「貴様ら如きの攻撃などでは俺は傷一つつかんぞ!」
かっしーが正面に右手を翳して暗黒空間を応用した無数の漆黒の矢を出現させて一斉に赤牡丹とオルトロスに向けて射出した。
「オルトロス!俺の後ろへ!シールド・オブ・イージス!」
赤牡丹のフラグメントが発動し、暗黒の矢による攻撃を防ぐ。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.452 )
「俺の能力は全てのフラグメントをオリジナルの数倍の性能で使えること!そして見た能力を数倍の性能で使えることだ!」
赤牡丹はかっしーと同じ能力を使おうと試みるが、全く発動しない。
「!」
「世界中の魔力を集めた超越者たるこの俺の力をコピーなど出来る筈が無いだろう!」
かっしーが無数の暗黒空間の穴を出現させてその中から更に暗黒空間の玉を射出する。
「隠密!」
オルトロスが赤牡丹を腕を掴んで大きく跳躍してかっしーの攻撃を回避する。
「圧縮圧縮!空気を圧縮ゥゥゥ!!」
オルトロスが片手でプラズマを作り出してかっしーに向けて撃ち出す!
「効かん!」
かっしーは暗黒空間によるバリアでプラズマを全て吸収する。
「バルカンショックイグニション!」
巨大な火球をかっしーに向けて赤牡丹が放つが結果は一緒だった。
2人は広間の床に降り立ち、次のかっしーの出方を窺う。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.453 )
「流石にオルトロスは能力のせいで素早いな。動きを封じさせてもらうぞ。」
かっしーが4つの暗黒玉をオルトロスに超高速で飛ばし、オルトロスの四肢を拘束した。
「オルトロス!」
「体がピクリとも動かねえ…!」
赤牡丹が呼びかけるが、オルトロスは自分の意志で動くことが出来ない。 しかしかっしーにも異変が起きた。
(暗黒魔法が発動出来ない…!やはりまだ力が体に馴染んでいないか!)
かっしーの表情から、赤牡丹はかっしーに異変が起きたことに気づいた。
「ブラックホールダストエンジェル!」
赤牡丹はすかさず超能力によりかっしーの居る地点にブラックホールを作り出す。ブラックホールはかっしーを徐々に呑み込み、重量の渦により圧縮されてミンチになった。
「かっしーを倒したぞ!」
赤牡丹がガッツポーズを決めた瞬間、暗黒光線により腹を撃ち抜かれた。鈍い痛みが数秒経ってから腹部に走る。正面を見るとミンチにされた筈のかっしーが此方に指を向けていた。
「死んだんじゃ…なかったのかよ…」
赤牡丹は止め処なく溢れ出る血を腕で抑えながら両膝をついた。
「隠密!?大丈夫か隠密!」
拘束されているオルトロスが赤牡丹に声をかけるも虫の息である。出血が止まらなく、顔から血の気が引いていくのが見て取れた。
「お前もすぐに仲間と同じ目に逢わせてやる。2人仲良く地獄へ堕ちろォ!」
かっしーの指先から、オルトロス目掛けて暗黒光線が発射された。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.454 )
「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」
突如上空から降り注いだ宝剣の雨によって暗黒光線は防がれた。しかし暗黒光線を防いだ宝剣は消滅してしまう。
「思ったより来るのが早かったな。」
暗黒光線を防がれたかっしーが空を見上げると、小銭と星屑が空高くから降り立った。
「真打ち参上!俺の名は小銭十魔!」
全身を金ピカ鎧で身を包んだ小銭と、ザ・フールのスタンドで空中飛行していた星屑がかっしーの前に姿を現したのである。
「何が真打ちだよ!でも助かったぜ!だが隠密が…」
オルトロスは自分が助かったことに対する感謝を述べ、横で荒い息を上げながら蹲っている隠密を悲痛な表情で見やった。
「クレイジーダイヤモンド」
星屑のスタンド クレイジーダイヤモンドの能力で赤牡丹の腹部に開いた穴が塞がり、元通りになった。
「上から見てた。奴は確かに強いが弱点がある。その弱点を突けるかどうかだ。」
星屑がかっしーを見据えながら話し始めた。
「ああ。俺も感づいたよ。あいつの、命中した対象・範囲を確実に消滅させる暗黒魔術は無限に連発は出来ない。60秒程使うと10秒くらいのインターバルが発生するんだ。その10秒が鍵だ。」
星屑が説明する前に感づいていた赤牡丹が分析を述べた。
「よく気づいたなお前ら!だが気づいたところでお前らに勝ち目はナァイ!インターバルの10秒間なら俺を倒せるとでも?この城以外に存在する世界中の魔力を吸い尽くした俺とお前らには最初から圧倒的な力の差があるんだよ!」
かっしーが暗黒光線を眼前に無数に展開して4人に向けて射出した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.455 )
「なーんてな!最初からこの手があるんだよバーカ!ザ・ワールド!」
星屑はスタンド ザ・ワールドの時間停止能力を発動し、無数の暗黒光線の軌道を避けるように迂回してかっしーに接近すると、ザ・ワールドによるラッシュ攻撃を繰り出した。
「無駄無駄無駄無駄…あれ?」
星屑は異変に気づいた。かっしーの体にラッシュを叩き込もうにも、ザ・ワールドの拳が体がをすり抜けるのである。
「恐らくインターバル時間以外は無敵ってことかよクソが。」
ザ・ワールドの時間停止が解除され、時は再び動き出した。
「時間停止させてその隙に攻撃を浴びせようとしたんだろうが無駄だ!暗黒光線!」
至近距離からの暗黒光線を浴びようとしていた星屑の体が即座に宙に浮いて回避された。
「おい星屑、独断専行はよせ!今みたいに失敗したら厄介なことにもなる!」
星屑を救ったのは赤牡丹のフラグメント・「超念動力(サイコキネシス)」だった。星屑は赤牡丹によって元の位置まで引き戻された。
「失敗じゃねえ、成功さ。この方法じゃ倒せないってことが分かったんだからな。」
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.456 )
「インターバルの間に奴には俺のブラックホールダストエンジェルを食らわせたが復活された。奴にはまだ何かあるんだ!とにかく1人で突っ込むな!」
「分かったよ。それにオルトロスの拘束を何とかしなきゃな。お、そうだ!エコーズACT2!」
赤牡丹とのやり取りを終えた星屑はエコーズACT2の能力でオルトロスを拘束している暗黒にボキッという擬音をくっつけると、暗黒拘束具は見事に折れて外れた。
「助かったぜ星屑!」
「前を見ろ!また攻撃が来るぞ!」
かっしーは今度は等身大程の大きさの暗黒兵を無数に召喚する。
「行け!」
かっしーの下知で暗黒兵達が剣を振りかざしながら4人に襲い掛かってきた。
「ブラックホールダストエンジェル!」
赤牡丹がブラックホールを出現させて暗黒兵を呑み込もうとするが、暗黒兵に全く変化はなく不発に終わった。
「天地乖離す開闢の星(エヌマエリシュ)!」
小銭が宝物庫から乖離剣エアを取り出し、暴風から巻き起こる時空切断による亀裂で暗黒兵達を消滅させ、攻撃はかっしーが居る位置まで届こうとしていた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.457 )
「俺が放出する暗黒空間はあらゆる能力や技の効果を受け付けない!暗黒兵は低魔力で作り出したから消せただけだ調子に乗るなよ!時空断層!?無駄無駄無駄ァ!」
小銭の最強宝具による必殺技 エヌマ・エリシュをもってしてもかっしーの暗黒空間を破ることは出来なかった。
「フハハハハハハ4人まとめてあの世に送ってやる!心配するな閻魔大王には俺から言っておいてやる!」
かっしーは正面に右手を翳して巨大な球状の暗黒空間を作り出し、4人に向けて投げつけた。
「テレポート!」
赤牡丹はテレポートで30m程宙へ移動し、巨大暗黒球を回避する。オルトロスは運動エネルギーを変換して赤牡丹と同じ高さまで跳躍した。
「天翔る王の御座(ヴィマーナ)!」
小銭は黄金とエメラルドで作られた飛行船を宝物庫から取り出し、飛行船に備えつけられている椅子に座り、飛行船を起動させて上空に飛んで暗黒球を回避した。
「バステト女神!」
星屑はふと閃き、新たなスタンド バステト女神を繰り出し暗黒球そのものを磁石に変え、かっしーの体質も磁石に変えようとしたが、やはり暗黒球には通じなかった。
「やはりダメか!ザ・ワールド!」
星屑はザ・ワールドの時間停止能力を利用して時間を稼ぎ、その間に走って暗黒球の軌道から外れて回避した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.458 )
ザ・ワールドの時間停止が解除され、かっしーは全員に巨大暗黒球を回避されたことに気づく。
「60秒経った!みんなこの隙に奴に遠距離から可能な攻撃を撃ち込むんだ!」
赤牡丹が時間を数えていたらしく、かっしーがインターバルに入った瞬間を見抜いた。
「第四波動!」
テレポートで地に降り立ち、周囲の熱を吸収した赤牡丹の強力な炎熱波動が発射された。
「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!」
小銭が乖離剣エアからの必殺技を飛行船で宙に浮かびながら発動させ、時空断層がかっしーを襲う。
「あの世に行くのはてめえだ三下ァァァ!」
オルトロスはかっしーの周囲に無数の酸素の刃を作り出してかっしーを次々に突き刺す。
3人の攻撃がかっしーに命中するも、かっしーは膨大な魔力を全身に張り巡らせたバリアとして、無傷だった。
「ザ・ハンド!」
星屑がかっしーとの間の空間を削り取ってかっしーを自らの目の前に引き寄せた。
「何をするつもりだ?無駄だと言っている!」
「キラークイーン!」
星屑がキラークイーンを召喚し、かっしーの顔面にキラークイーンの拳を触れさせる。
「このスタンドはなぁ!触れた対象を爆弾に変えるんだよ!おい赤牡丹!」
「はいよ!」
赤牡丹がサイコキネシスで星屑を浮遊させかっしーと距離を取らせると、星屑はキラークイーンの指先にある起爆スイッチを入れた。
かっしーの体が爆発し、爆音が鳴り響く。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.459 )
「やったか?」
「やってねえよ!三下はお前らの方だったなぁ!」
星屑の期待を裏切る様に、爆発したかのように見えたかっしーの体は無傷だった。
「あいつには弱点がねえのかよ!」
星屑が苛立たしげに叫んだ。
「仮説が出来たんだが。」
星屑の苛立ちに反応するかのように赤牡丹が口を開いた。
「奴の暗黒空間は元々の奴の能力に吸収した魔力が合わさって強力になったものだ。そしてインターバル時の無敵状態の仕掛け…それは吸収した魔力を消費して行っている!つまり奴は魔力を全て使い果たした時、奴の無敵状態は解除され、暗黒空間による攻撃しか行えなくなる!そして暗黒空間はただ吸収するだけの能力になり、他の能力の効果を受けるようになる!
奴はさっき、暗黒空間はあらゆる技や能力の効果を受け付けないと言った!元々奴自身は無敵じゃない!」
「だが、あの三下は世界中の魔力を集めてんだぜ!?どうやって使い果たさせるんだよ!」
赤牡丹の少々長い考察の間にも、かっしーは容赦なく暗黒球や暗黒光線による攻撃を飛ばしてくる。4人はそれぞれ空中で回避しながら話を聞く。赤牡丹の仮説に突っ込んだのはオルトロスだった。
「幸い俺らは小銭以外は魔力関係無く戦える能力者だ!奴に魔力を使い果たさせるまで戦い続けるしかない!」
「マジかよ…」
オルトロスの疑問に絶望的な答えを出されて肩を落としたのは小銭だった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.460 )
ガルドリア城の2番目の部屋では、李信&リキッドVSエイジスの激闘が繰り広げられていた。
李信の黒虚閃(セロ・オスキュラス)とエイジスの冷気波動が至近距離で激突し部屋全体を巻き込む爆発を起こした後、リキッドは帝具・インクルシオを装備して爆発を凌ぎ、李信とエイジスは互いの攻撃で傷ついていた。李信はすぐに超速再生で回復した。
その後暫く一進一退の戦いが続いていたが、その状況に焦れたエイジスが更なる力の解放を試みていた。
「ファフニール・龍人化!」
莫大な魔力による青いオーラと冷気が止んで出現したのは、通常のファフニールと時の龍の姿を象った青い魔力オーラの兜や鎧を身につけたエイジスだった。傷も塞がっている。
(消えた!?)
李信の視界からエイジスが突如消え失せた。と同時に、背後から凄まじい殺気と冷気を感じた。
「冷殺剣斬(ブリザード・ブレード)!」
エイジスが上段の構えから冷殺剣を李信に振り下ろす。李信の反応も素早く、フルゴールを作り出して冷殺剣を防ぎ、鍔迫り合いになった。
「そんなか細い光の槍で龍人化状態の俺の剣を受け止められると思ってるのか?」
フルゴールが冷殺剣の威力により破壊され、李信に斬撃がヒットする。鋼皮(イエロ)をも貫く威力の斬撃が李信の体に斜めの長い傷を肩から脇腹にかけてつける。
「だが…!」
「超速再生などさせん!エイジストラッシュ!」
エイジスが怒涛の連続攻撃を仕掛けようとした瞬間、エイジスの脇から帝具・村雨を持ったリキッドが突き入れた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.461 )
村雨の刃先がエイジスの脇腹を掠めようとした瞬間、エイジスは高速移動でこれを回避した。
「俺を忘れてんじゃねえよ!」
リキッドが左手で村雨の峰の部分を持ち上げながらエイジスに言った。
「忘れるものかよ。お前ら2人は俺が必ず殺すんだんからな。」
「そうかよ!だが俺もまだ奥の手がある!」
エイジスとのやり取りの後、リキッドは村雨を自らの首筋に当てがうと、自害するように切った。すると呪いの様な黒い紋様が現れ、リキッドは今まで自らが殺してきた者達の声を聞きながら雄叫びを上げた。
リキッドが目を開くと、瞳は赤色に瞳の周りは黒色に変化し、瞳の中には呪いの黒い紋様が回りながら浮かび上がっている。村雨からは黒と紫の呪いのオーラが発せられている。
「そいつが奥の手か?」
リキッドはそれには答えず、瞬間的にエイジスの背後に現れて村雨を突き出した。エイジスはそれを冷殺剣で受け止める。
「黒虚閃(セロ・オスキュラス)」
李信が自分に意識を向けさせる為に黒虚閃をエイジスに放つが、エイジスは高速移動で黒虚閃の射線からもリキッドの刃からも逃れた。
「それで逃げたつもりか?」
エイジスの頭上に現れたリキッドが村雨を振り下ろすが、冷殺剣に受け止められた。
「フンッ!」
響転(ソニード)で移動した李信がエイジスの正面からフルゴールを心臓目掛けて突き出すと、エイジスは冷殺剣を盾代わりにしてガードする。
リキッドは僅かなその隙を見逃さず、村雨をエイジスの背中目掛けて突き出した。だが、村雨がエイジスの背中を掠めて少し傷つけただけでエイジスの高速移動で回避されてしまった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.462 )
「助かったぞリキッド。お前のおかげで超速再生することが出来た。」
「俺も直江のおかげで奴を仕留められたよ。」
李信の礼に一瞥したリキッドがエイジスに向けて村雨の鋒を向けた。エイジスの方を見ろという意味だろう。
「俺を仕留めただと?少し傷をつけた程度でか?笑わせんなよ。」
しかし李信が見たのは全身に呪いのような紋様が広がっているエイジスの姿だった。
「なんだこの模様は!」
「村雨は一斬必殺の帝具だ。少しでも傷をつけただけで相手は村雨の呪毒によって死に至る。」
「なん…だ…ガハッ!」
リキッドの言葉に返す間も無く、エイジスは吐血して前のめりに倒れた。
「エターナルフォースブリザード…!」
倒したと思ったのも束の間、エイジスの体は分裂して新しい方の体が意思を持って攻撃を仕掛けてくる。エイジスの剣先から発せられる魔力と冷気が部屋中を覆い尽くす程の威力で放出された。
李信は霊圧で何とか全身が凍りつくのを防いだが、足元から腹部までが絶対零度以下の氷に覆われてしまった。
リキッドも帝具・インクルシオを速やかに装着したがあまりの威力に左腕や左足が凍らされてしまった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.463 )
「お前ら、俺と戦ったことがあるなら分かるよなあ!?俺は2回殺されねえと死なねえんだよ!」
一回の戦闘につき一回だけ使用可能なエイジスの特殊能力であった。
「やっぱ簡単には行かないねぇ。でもそれならもう一回村雨を…!」
リキッドが村雨を出そうとしたが、エイジスが瞬時にリキッドの前に現れた。
「お前の帝具は厄介だ。お前から先に死んでもらうとしよう!」
エイジスが左の腕と足が凍って動きが鈍くなっているリキッドの右肩に狙いを定めて右腕のみで冷殺剣を振り上げる。
「させるか!」
李信がフルゴールを横からエイジスに投げつけるが、エイジスは左手で簡単にキャッチして握り潰してしまった。エイジスは冷殺剣を両手で持ち直し、リキッドの右肩に振り下ろす。
冷殺剣はリキッドの肩を深く切り裂いたが、そこから先に斬り下げることはなかった。
「インクルシオの…耐久性能を舐めるな!」
リキッドは肩を傷つけられて力の入れない右手にノインテーターを持ってエイジスに突き出すが、簡単に回避されてしまう。
「インクルシオ!俺にもっと力を!」
村雨での再度攻撃を諦めたリキッドの魂の叫びにインクルシオは答え、更に龍に近い形状へと変化した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.464 )
同時に、リキッドの左腕と左脚を覆う氷が粉々に砕け散る。
「行くぞ氷河期ィィィ!!」
リキッドが今までに無い程の力でノインテーターをエイジスに突き出そうと驚異的な速力で接近する。しかしエイジスも速い。ノインテーターの連続突きに的確に反応して冷殺剣で捌いていく。
「セロ…」
「いい加減お前は凍ってろ直江ェェェ!」
リキッドの槍を左腕で捌きながら、黒虚閃を放とうとした李信に右腕で冷気砲を射出すると、李信は全身を氷漬けにされてしまった。
「これでお前を始末することに専念出来るぞリキッド!」
ノインテーターと冷殺剣の打ち合いで、エイジスは次第にリキッドを圧倒した。極限まで進化したリキッドのインクルシオを、エイジスの冷殺剣が斬り刻んでいく。
「どうしたどうしたァ!そんなもんかァ!」
「クッ…!何て強さだ…!」
エイジスの力を込めた一撃でリキッドのノインテーターは折られ、リキッドのインクルシオに斬撃が直撃した。
斬撃はインクルシオを貫通し、リキッドの胸を深く抉っていた。最早致命傷だった。
「お前さんの人生は 本日をもって閉鎖だ。」
エイジスは虫の息のリキッドに狙いを定めて冷殺剣を振り上げる。
「もう2度と 復讐出来ないねぇ…。」
それがリキッドの辞世の言葉だった。静かな部屋の中でリキッドはふっと目を閉じる。振り下ろされた冷殺剣はリキッドの体を両断した。
リキッド。騎士として王国の下で戦いながら、国のあり方に疑問を抱き、自らの正義を貫くべく復讐屋に転じた熱い魂を持つ1人の男の生涯の幕が閉じられた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.465 )
「ようやくリキッドを始末出来た。次はお前だ直江。お前とはこの世界で様々な因縁があったが、今その因縁にも終止符を打ってやる。」
「無想・樹海浸殺!」
エイジスが凍った床に両手を叩きつけると、以前李信と交戦した時よりも多くの蔦が次々に床から生え伸びて氷漬けになっている李信を襲う。やがて李信は無数の蔦に球状に取り囲まれた。李信を取り囲む蔦から無数の尖った枝が生えて李信の全身を氷ごと貫いた。
李信の血が枝や蔦を伝って流れ出る。
「終わった…!終わったぞ…!ようやく不忠の輩を成敗したぞ!さあ、我らが王の加勢に行かねば!王国に逆らう不義の者共を俺がこの手で抹殺する!」
エイジスが部屋を後にしようと足を向けた時である。緑に縁取られた海底に居るような重い霊圧が殺した筈の李信が居る位置から突然発せられたのである。
「なんだこの異常な霊圧は!まさかお前、まだ生きてるってのか!」
「そうだ。」
蔦や枝を霊圧で消滅させた李信が中から出てきたのである。
「俺を倒したと思ったか?絶望したか?教えてやろう。これが真の絶望の姿だ。」
李信を重い霊圧が覆う。頭に二本の角が生え、瞳は中心を黒として黄色、その外は緑に染まり、両腕と下半身は黒い体毛に覆われ、四肢には鋭い爪という姿に変化した。
「刀剣解放第二階層(レスレクシオン・セグンダエターパ)」
「この黒翼大魔(ムルシエラゴ)の二段階目の刀剣解放だ。貴様に絶望を教えてやる。」
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.466 )
「黒虚閃(セロ・オスキュラス)」
一段階目の解放の時よりも桁外れの威力の黒虚閃が右手の人差し指から発射された。
「ブリザードフォース・ディバインバースト!」
エイジスは右手から極太の冷気砲を射出して対抗するが、黒虚閃に一瞬で呑み込まれてしまう。エイジスは黒虚閃の直撃を受けた。
「ハァ…ハァ…ハァ…クソッ!輝く流星の矢(スターライトアロー)!」
エイジスが光の矢を無数に李信に放つが、李信は背中に生えた蝙蝠の翼でそれを弾いた。
「なら!」
エイジスが高速移動で李信の目の前に出現し、冷殺剣で下段の構えから斬りつけようとするが、李信の尻尾がエイジスの腕に巻きついて攻撃を防いだ。
「ラティーゴ」
しなる動きで尻尾による連続打撃をエイジスに見舞う。エイジスの全身に鞭で打たれたような痕や傷がつけられる。尻尾はやがてエイジスの首に巻き付き、締め上げながら体を持ち上げた。
「貴様の騎士道はこれにて潰える。さらばだ。」
李信はエイジスの胸の中心に黒虚閃で穴を開けた。尻尾による拘束を解き、エイジスはその場でうつ伏せに倒れた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.467 )
(聞こえる…みんなの声が…。王の声が、騎士達の声が、団長の声が、喫茶店のみんなの声が…!こんなところで終わるなと俺を叱咤している!)
(俺は負けるわけにはいかない!俺がこの国を守らなきゃ!守るんだ!俺が…俺が守る!)
突如膨大な魔力が倒れているエイジスを包む。
「なんだこれは…?」
李信が茫然としていると、膨大な魔力を帯び、翼を持つ天馬の姿になったエイジスが現れた。
「あの時のユニコーンか。いや違う…!あの時よりも強大な…!」
李信が言いかけたところでエイジスは飛び上がり、頭の角で天井を破壊して急上昇した。
「成る程。この部屋で手狭だということか。誘いに乗ってやる。」
李信もエイジスを追って飛び立ち、黒虚閃で天井を破壊してエイジスに向かい合った。
「ヒヒィィィィィィィィン!」
エイジスの嘶きが響き渡り角からは天をも覆い尽くす冷気が上空に打ち上げられた。次の瞬間、空から大量の冷気砲と氷柱の雨が李信に向かって降り注ぐ。
「これは…!」
響転(ソニード)で回避し続けるが、氷柱の一つが李信の右腕を引き千切った。雨はやがて止んだ。
エイジスは此方を窺っている様子だった。次の動きを見せない。
「大した攻撃だが、腕を一本もいだくらいで動きを止めて様子を見るようでは…この俺を倒すことなど不可能だ。」
「雷霆の槍(ランサデル・レランパーゴ)」
李信は両腕に溜めた霊圧からフルゴールよりもサイズの大きい光の槍を作り出す。
「近づくなよ。そこに居ろ。出来ればこいつを近くで撃ちたくはない。」
李信のそう言って光の槍をエイジス目掛けて投擲した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.468 )
超速再生で再生した右腕で、李信が光の槍を投擲すると、エイジスは持ち前の素早さでそれを回避した。回避された光の槍は遥か下まで落下し、城下町に着弾した。
凄まじい轟音を上げながら城下町からこの天空の城を突き抜ける程の高さの巨大な火柱が上がる。火柱は城下町を飲み込み、エイジスの目の前をも掠めた。
「外したか。やはり扱いが難しいな。」
李信が再度光の槍を作り出した。次の瞬間、李信の視界からエイジスの姿が消える。
眼前に現れたエイジスが頭の角で冷気を込めた突きを李信の腹部に見舞うと、李信の腹部に大きな穴が空き、血飛沫が上がった。
李信が対抗しようと光の槍をエイジスの頭に振り下ろすが、エイジスの技の発動の方が早かった。
「コキュートス」
エイジスの全身から絶対零度を遥かに下回る冷気と悪寒を感じるような膨大な魔力が溢れ出し、天の彼方まで覆い尽くす程の勢いで放出された。
対処する間も無く、コキュートスは李信を呑み込んでしまった。
「前と違って強化された俺のコキュートスを直に受けた。もう生きてはいまい。」
エイジスはようやく勝つことが、李信の息の根を止めることが出来たと安堵の思いが胸から湧いてくることを感じた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.469 )
コキュートスにより氷漬けにされた李信は先程まで戦っていた部屋の床まで落下した。
濃く黒い霊圧が氷の中から溢れ出し、氷を突き破って李信が出てきた。
「俺が眼帯を外していないのもあるが、前よりもコキュートスの威力が増してやがる…!」
李信が眼帯を外し、今まで以上に濃く黒い霊圧を発する。莫大な霊圧が火柱のように天高く上がることで偉いも李信がまだ生きていることに気づく。
「あのクソ野郎…!まだ生きてたのか往生際の悪い奴だ!前戦った時よりも更に霊圧が増してやがる!」
エイジスが李信目掛けて急降下して迫り来る。
「黒虚閃(セロ・オスキュラス)」
エイジスに黒虚閃を放つ。エイジスはそれを角に魔力を込めて切り裂きながら突進を図るが、黒虚閃を受けたエイジスの天馬の翼が少し散ってしまった。
「接近戦か!ならば!」
雷霆の槍(ランサデル・レランパーゴ)を作り、突進してくるエイジスの角目掛けて突き出す。2人の力が激突し、霊圧と魔力が入り混じった爆発が発生する。
爆発は互いを後方に吹き飛ばして距離を取る形になった。
「このままじゃ勝負がつかねえな…」
城内で雷霆の槍を投擲すればエイジスに大ダメージを与えることは出来る可能性はあるが、他の部屋で戦っている仲間達まで巻き込みかねない。黒虚閃は少しダメージを与えたものの押し破られ、接近戦は互角。李信は決め手に欠いていた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.470 )
「建御雷神(タケミカヅチ)!」
突如エイジスの頭上に現れた人物が天照の炎遁と千鳥の雷遁を組み合わせた突き攻撃をエイジスの翼に繰り出した。エイジスの片翼はもがれてしまう。
「忘れた頃にやってくる!俺は北条、又の名をまだら!これより直江さんに助太刀する!」
衣装をガラリと変えて背中にうちはの家紋が入った胸元がはだけた服を着こなし、背中には刀を差している。万華鏡写輪眼と輪廻写輪眼を片目ずつに宿し、膨大な量のチャクラを感じさせる。
「横槍入れてんじゃねえ!外野は引っ込んでろ!」
エイジスが冷気砲を北条に向けて放つ。
「北条君!来るぞ!」
「神羅天征!」
北条がエイジスの攻撃をエイジスごと神羅天征で吹き飛ばす。
「北条君、何故此処に!?」
「激闘を繰り広げた強敵(とも)の危機に駆けつける!やはり主役はこうでなきゃな!細かい話は後だ!今はこの馬野郎をぶっ飛ばそうぜ!」
「そうだな!俺達2人で悪を倒そうぜ!直江山城、天に代わりて不義を討つ!」
何処かのゲームで聞いたことあるセリフを真似て李信は北条に応えた。
「悪はお前らだろうがあああ!!!」
北条の介入に激怒したエイジスが冷気を纏って突進してくる。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.471 )
「完成体須佐能乎!」
北条の万華鏡写輪眼の瞳術が発動し、背中から翼が生えた紫色の巨人が現れる。エイジスの突進は須佐能乎に抑えられてしまった。
「そんなに俺に起こったか?ならついて来い!」
北条は須佐能乎で飛行し始め、部屋の天井が破壊された場所から空に出る。
「火遁・豪火球の術!」
北条は追ってくるエイジスを須佐能乎の中から火遁で攻撃を仕掛けるが、全てエイジスには回避される。エイジスは片翼を物ともせず須佐能乎よりも高く飛翔する。
「エターナルフォースブリザード!」
高速で飛行しながら北条目掛けて角から冷気砲を撃ち出す。北条が放つ豪火球とぶつかり合うが、大幅強化されたとはいえ豪火球は中忍級忍術であり、エイジスの冷気砲に突き破られた。
冷気砲が須佐能乎に着弾する寸前で、下から伸びてきた黒い虚閃と激突して相殺された。
「俺も居るぞ!」
北条やエイジスと同じ高さまで飛翔した李信が黒虚閃をエイジスに向けて放つ。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.472 )
李信がエイジスと交戦して時間を稼いでいる間に北条が火遁・豪火球の術を空に何発も打ち上げると、大気が急に温められて積乱雲が発生する。
「直江さん、氷河期から離れろ!」
北条が左手に雷遁のチャクラを流し、天空から麒麟を出現させる。李信は北条の指示で響転(ソニード)で距離を取る。
「このデカい雷の生き物は…!?」
「この術は天照と同じだ!絶対にかわすことは出来ない!」」
麒麟が天空からエイジス目掛けて落とされる。音より速い落雷は如何にエイジスと言えども避けることなど出来ず、雷が落ちる音と周囲を照らす一筋の鋭い光と共にエイジスの体は雷を浴びた。
「今の雷…確かに応えた。やはりお前らは危険だ。此処で俺の全力をもって消さねばならない。」
落雷を受けて残っていた片翼の半分、そして後ろ脚の左と尻尾を失い全身に火傷を負ったエイジスが角の先から魔力を込め始めた。
「此処で決めに来たか。」
北条はエイジスの様子を見て自らも全力攻撃を仕掛ける為に全ての尾獣のチャクラを解放し、完成体須佐能乎をそのチャクラで強化すると炎遁による黒炎、雷遁による雷、尾獣チャクラを乗せたインドラの矢をつがえ始めた。
「インドラの矢。俺の最強の術だ。消し飛べ!」
「雷霆の槍(ランサデル・レランパーゴ)」
李信も光の槍を作り出す。やがて北条の須佐能乎がインドラの矢を放ち、李信が光の槍を投擲した。
「コキュートス」
自らの全ての魔力をこの究極奥義に乗せて放つエイジス。コキュートスとインドラの矢、雷霆の槍がぶつかり合い、ガルガイド王国全ての空を覆い尽くす程の魔力と霊圧とチャクラの大爆発が発生した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.473 )
天空で発生した爆発で3人は大ダメージを受けてガルドリア城の元いた部屋まで落下した。3人は暫く倒れていたが、北条が最初に這い蹲りながら立ち上がった。既にチャクラを使い果たし、尾獣チャクラモードは解除されて完成体須佐能乎も消えていた。
「本気の俺と直江さんの技を合わせても互角とはね…。だがこれで終わりだ!アマテラ…!」
万華鏡写輪眼による瞳術を発動しようとした瞬間、彼の目に痛みが走った。
「流石にチャクラを使い過ぎたか…!」
「よう忍者野郎。俺のコキュートスを食らってまだ生きてんのか…。」
エイジスも蹌踉めきながら立ち上がっていた。エイジスも魔力を使い果たし、元の人間の姿に戻っていた。
「俺も…生きている!」
眼帯が装着され、刀剣解放も解除された元の姿の李信が立ち上がった。超速再生で傷は無い。
「我は鋼なり、鋼故に怯まず、鋼故に惑わず、一度敵に逢うては一切合切の躊躇無く。これを滅ぼす凶器なり。」
「鉄血転化」
エイジスの全身に赤い紋様が浮かび上がり、頭髪や瞳も赤く染まる。二本の小刀を取り出して北条に飛びかかった。
「写輪眼のある俺に近接戦を挑もうとはいい度胸だ。影分身の術!」
北条は影分身の術で自らの分身を4体作り出す。飛びかかってきたエイジスの顎を捉えてフックを見舞い打ち上げる。すると4体の分身が順番に掛け声を上げながらエイジスの腹に蹴りを入れて更に高く打ち上げる。
「ほ・う・じょ・う!まだら連弾!」
最後の1人が背中に踵落としを決めてエイジスは床にめり込む程叩きつけられた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.474 )
「調子に乗ってんじゃ…ねえ!」
エイジスが渾身の一撃を起き上がり様に北条の腹部に炸裂させた。小刀の柄の部分を使った強力な突きである。
「グハァ!」
北条は倒れまいと踏ん張るが、エイジスが容赦無く小刀を北条の胸に突き刺さそうとした時である。
「!?」
エイジスの左頬に李信の拳が叩き込まれた。エイジスの体が右に吹っ飛ぶ。
「超速再生がある俺は霊圧は使い果たしたが手負いのお前と違ってまだまだ動けるんでな。」
「貴様ァァァァァ!!!」
エイジスが跳び上がり李信に小刀を振り下ろそうとするが、今度は北条が鋭い動きでエイジスの両腕に手刀を当てて小刀を手放せさせた。
「オラァ!」
北条の拳がエイジスの左頬に見舞われる。エイジスの体が弧を描いてから床に落ちた。
それからは二対一の殴り合いが暫く続いた。
鉄血転化により身体強化が成されたエイジス、両目の写輪眼により相手の動きを見切る北条、超速再生により瞬時にダメージを受けても回復出来る李信。
この3人による肉弾戦はまさに熾烈を極めた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.475 )
「超速再生能力を有する俺が肉弾戦を制するのは必然だったな。其れに此方は2人だ。もう諦めろ。」
「ハァ…ハァ…クソが!」
李信の言葉に血反吐を吐きながら苛立つエイジスが、瞳力の使いすぎで弱っている北条の腹部に拳を入れた。
「忍者の方はもうヘトヘトじゃねえか!お前こそ諦めろ!外野がしゃしゃり出るからこうなるんだよ!」
口元から血を流しながらエイジスが倒れている北条に更に叩き込もうとする。
「俺が諦めるのを、諦めろ。」
起き上がった北条のカウンターを顎に受けたエイジスがその場で仰向けに倒れる。その時、鉄血転化は解除されてしまった。
「貴様の負けだ、氷河期。」
李信が腰の斬魄刀を抜いてエイジスに向ける。
「なんなんだよてめえは!何度も何度も何度も何度も何度も!俺の邪魔ばかりしやがる!てめえは一体何がしたいんだよ!」
エイジスは何度もという言葉と共に拳を床に叩きつけて苛立ち紛れに叫ぶ。
「俺は現実世界で失意の内に死んでこの二次元世界に来た。憧れの能力、憧れのルックス、憧れの衣装、憧れの声を手に入れた。最初は驚いたと同時にとても嬉しかった。」
「何を…言ってやがる。」
エイジスの言葉には応えずに李信は語り続ける。
「だがな、現実世界と変わらないところもあった。国によっては民に重税を課して圧政を敷き、自らや自らに都合のいい人間だけに利益を配分したりするような国があったってことだ。」
「せっかく夢見た二次元世界に来たのに、こんなことが許されていいのか?国の上層部だけが良い思いをするなんて、それなら現実世界と何の変わりもない。」
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.476 )
「だが現実世界に居た頃と違い、俺には力がある。間違った政を正す力が。ならばこの力、行使しないという手は無い。」
「氷河期さん、国ってのはな。国の為の国じゃいけないんだ。人が集まってできたのが国で、多くの人の代表として政を行うのが国なんだ。だったら上層部や国の体制維持の為だけの国なんて根本から間違っている。」
「そこに住む可能な限り全員の幸福を願い案じて政を行う。そんな、人の為の国こそが本来あるべき国の姿だろう。」
「王権神授説を唱え振りかざす国家元首など不要だ。自らの欲望を満たすだけの暴君などに人の上に立つ資格は無い。国や国家元首はあくまで国民の代表、社会契約説の上に成り立たねばならない。」
「氷河期さん、アンタの国は、この王国は人の為の国と言えるか?アンタは民の顔を見て幸せそうだと感じたことはあるか?この国が実り多いと感じたことはあったか?」
長い語りを終えた李信がエイジスの目を見て問いかける。
「例え仕える国が民にとって理想じゃなくても、俺は騎士だ!主に、国にこの身と心を捧げて戦う、それが騎士だ!自らを引き立ててくれた国に叛くなど以ての外だ!不義理、不道徳だ!騎士の道に反する!それに、信じて戦えばいつかきっと国も豊かになり良くなる!戦って国を守って領地を広げれば豊かな国になるじゃないか!」
エイジスが目を見開き、李信の問いに怒りを露わにして応えた。
「豊かになるのは国だけだ!徴兵され税を納める民に還元されることはない!そんな国を守る為に忠義を尽くすと言うならばそもそも騎士など必要無い!今ここでお前を殺してこの国の騎士を皆殺しにしてやる!」
「貴様ァァァ!!!」
李信の返答に激怒したエイジスが力を振り絞って立ち上がり殴りかかる。その時である。遥か遠くの王の部屋から巨大な魔力の塊らしきものが天高く出現し、一箇所に集まっていくのが3人の目に映った。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.477 )
「直江さん、あれは魔力なんかじゃない!」
両目に白眼を発動させた北条が魔力の塊らしきものの根源を辿って見つけていた。
「じゃああれはなんなんだ?」
「生命だよ。国民のね。かっしーが国民から生命力を奪い取って死に至らせて更なるパワーアップをしてやがる!」
北条の言葉に李信とエイジスは呆然とする。
「氷河期さん。これでもアンタはこの国の、いやかっしーの為に戦うのか?」
「…。」
エイジスは李信の問いにしばし黙り込んでしまう。
「どうなんだよ!おい!」
李信はエイジスの胸ぐらを掴んで威嚇した。
「どうやら俺は大きく道を誤ったらしい…。まさかこんなことになるなんて思っていなかった。多くの民の生命まで奪う王に尽くすことに、俺は…尽くせない!」
エイジスが李信の手を払い除けて云い放つ。
「エイジス・リブレッシャー。只今を以てこの国の騎士を辞める!この国の民であることも辞める!」
エイジスは毅然と決意を表明した。
「済まないリキッド。これでお前の仇討ちとさせてくれ…。」
部屋の床に横たわるリキッドの遺骸にそう語りかけた李信は、両手を合わせて冥福を祈った。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.478 )
「あれを止めに行きたいところだが、俺達はもう力を使い果たしている。かっしーのことは仲間達に託そう。」
「奴らならきっとやってくれる。俺はそう信じてる。」
北条と李信は短いやり取りの後に激闘による疲労でその場に座り込んだ。
ガルドリア城 王の間
李信、リキッド、北条がエイジスと激闘を繰り広げていた間にこの王の間では、かっしー VS 赤牡丹、星屑、小銭、オルトロスの4人と、途中で参戦したWあ、マロンを加えた6VS1の戦いが行われていた。
しかしかっしーはこの上位能力者6人に対して1人で互角以上に渡り合い、逆に6人を追い詰めていた。膨大な量の魔力量に加えて国中の民から奪った生命エネルギーにより大幅に強化されたかっしーの力に抗う術を、さしものこの6人も持っていなかった。
「魔力を使い果たさせるなんて無理なんだよ!死ねぇ!」
かっしーが巨大な暗黒空間を作り出そうとした時である。1人の人影が現れてかっしーの顔面に拳を叩き込んだ。
「ボハアッ!」
拳がめり込んで変形した顔面から血を流しながら部屋の壁まで吹っ飛ばされて叩きつけられ絶命する。しかし民から奪った生命エネルギーにより完全復活を遂げて立ち上がった。
「何者だ!お前は!」
かっしーの視界には先程まで戦っていた6人と、新たに登場して自身を殴りつけた黄色のヒーロースーツに赤い手袋に白いマントといった格好をした男が中心に映っていた。
「趣味でヒーローをやっている者だ。」
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.479 )
「ふん、水素か。だが来るのが遅かったなァ!俺は全国民100万人以上の生命エネルギーと全世界の数え切れない奴等から魔力を奪った最強の王だ!お前に俺を倒すことなど出来ん!」
「要するに100万回お前を殺せばいいんだよな?上等だ。」
水素が腕を鳴らしながらかっしーに近づいていく。
「跪け!貴様はガルガイド王の前に居るのだ!」
「民の居ねえ裸の王様だろうが。」
水素はかっしーの言葉に皮肉で返すと、かっしーが目で追い切れない速さで拳を腹に叩き込んだ。
「グハァッ!」
かっしーの体が絶命しまた復活しながら城の壁を突き破って城下町に落下していく。
「連続普通のパンチ」
落下していくかっしーに右腕による連続パンチを叩き込み、更に落下速度を増したかっしーがやがて地に激突してめり込んだ。
「この城下の有り様は…そうか、エイジスと戦った奴が!やはりあの時下から打ち上がった火柱がそうか!」
起き上がり這い出てきたかっしーが見たのは原型など何も留めていない、全ての物が消し飛ばされた荒野と成り果てた王都・ガルドリアだった。かっしーは6人と交戦中に下から天高く上がった巨大な光の火柱を視認していた。その場に居た誰もが視認出来る程の大きさだったのである。無論それはエイジスと交戦中だった李信が投擲した雷霆の槍によるものである。
「俺の王都をよくも滅茶苦茶にしてくれたな!あれは直江の霊圧だった!水素、お前を始末した後に奴も始末してやる!」
かっしーが水素に向けて暗黒光線を発射するが、水素にはまるで効いていなかった。
「馬鹿な!俺の暗黒が効いてないだと!?」
「お前に俺は始末出来ねえよ。行くぞ!」
「マジちゃぶ台返し」
水素が地面にめり込んでいる大きなコンクリートの塊を持ち上げてそのままかっしーに投げつけた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.480 )
かっしーはそれを暗黒空間を作り出して消滅させる。
「両手・連続普通のパンチ」
マジちゃぶ台返しに気を取られていたかっしーに水素の両腕から繰り出される連続ラッシュが炸裂し、かっしーの血や肉片が飛び散る。
「まだだぁ!暗黒球ァ!」
正面に天の城まで伸びて行くと思える程の無数の暗黒球を作り出して水素に一斉に射出した。
「呑み込まれろォ!」
しかし水素はそれらをいとも簡単に突き破ってかっしーの眼前に迫る。
「普通のキック」
水素の強烈な蹴りがかっしーを数百メートル後方へと吹き飛ばす。荒野となった王都に軌道を妨げる障害物は無かった。水素は猛烈な速度で跳躍しながらそれを追う。
「暗黒の矢!」
復活したかっしーが暗黒の矢を無数に水素に飛ばすが、水素はそれを左腕で払い除けると更なる拳を叩き込む。
かっしーは悲鳴を上げながら更に吹っ飛んでいく。行き着いたのは港があった場所だった。三方を海に囲まれた大きな出島である。此処に交易船などが出入りしていた。
「お前の懐を支えてた港も今じゃ見る影もねえな。」
「黙れ!」
かっしーは暗黒光線を水素に向けて無数に射出する。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.481 )
「お前には本気を出す必要があるようだな!」
かっしーが全世界から集めた魔力と生命エネルギーで進化を遂げ、全身が真っ黒い悪魔のような姿に変化した。
「ダークデビルモード!」
「行くぞ水素ォ!」
かっしーが瞬時に水素の背後に回り、暗黒の力を込めた拳を連続で炸裂させる。
「ダークネスエナジーバースト!!!」
遥か水平線の彼方の海の方へ吹っ飛んでいく水素に更に超極太の闇の波動砲を放って水素を呑み込む。
「トドメだ!」
服のところどころが破けてボロボロになった水素に暗黒の力を纏ったかっしーが踵落としを腹に炸裂させた。
踵落としを受けた衝撃で水素の体は海底を突き抜けてこの世界の地球の裏側にまで達してしまっていた。
「此処は砂漠か。砂ばかりで何も無い。早く戦場に戻らないとな。」
これ程の威力の攻撃を受けても平然としている水素は、自分が出てきた穴に飛び込み地球の中心やプレートや海を突き抜けてかっしーが居る場所まで数秒で舞い戻った。
「信じられん…貴様人間か?」
かっしーが水素の人間離れした離れ業に冷や汗をかいた。
「どうした?こんなもんかよお前の力は。」
水素が右手の指をクイクイと内側に寄せる仕草で挑発した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.482 )
「貴様程の強さを持った人間の存在など忘れていた。こうなったら致し方ない、奪った魔力と生命エネルギーを全て変換して貴様諸共この世界を消し飛ばしてやる!」
かっしーがヤケになり、奪っていた魔力や生命エネルギーを自らの胸の中心に全て凝縮させた。
「超究極崩界暗黒魔導砲ォォォォォォォォォ!!!」
数え切れない程の魔力と100万人分の生命エネルギーを注ぎ込んだ暗黒の塊が極太のビーム状に射出された。
「マジ殴り」
水素が本気の力を込めたパンチを超究極崩界暗黒魔導砲に向かって打ち出し、パンチの余波は超究極崩界魔導砲を打ち消してかっしーに命中した。
「馬鹿なァァァァァァァァァァァァ!!」
かっしーはパンチの余波で王都があった場所まで吹き飛ばされた。
「まだ息があるのか。しぶといな。」
かっしーに追いついた水素が、かっしーにまだ息があることに気付く。
「なんなんだ…その異常な強さは…」
「この世界に来たら備わっていた力だ。俺は空気を操ったり鎌鼬を出せる能力が欲しかったんだがな。」
最後の力を振り絞ってかっしーが声をあげる。水素がそれに真顔で答える。
「見つけたぞかっしー!」
その声を発したのは上空から赤牡丹の超能力で降り立った星屑だった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.483 )
星屑、赤牡丹、小銭、オルトロス、マロン、Wあが王の間から地上に降りて来たのである。
「第四波動!」
「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)!」
「プラズマァァァ!」
「雷光滅剣(バララークインケラードサイカ)!」
「破壊光線!」
何の前触れもなく、星屑を除く5人がそれぞれかっしーが遠距離攻撃を叩き込む。水素は察して瞬時に避けた。
「ゴールドエクスペリエンスレクイエム!」
5人の攻撃がかっしーに命中すると同時に星屑はスタンドを呼び出してかっしーの背中をフルパワーでスタンドで殴り、腹に穴を空ける。そして5人の攻撃が入り混じり爆発が起きた。
「このスタンド ゴールドエクスペリエンスレクイエムは動作や意思の力をゼロにする。つまりこの場合は 死ぬ という真実に辿り着くことなく永遠に死に続けるのさ。多くの人間の命を奪った罪をお前は永遠に償い続けろ!」
「嫌だあああああ!せめて死なせてくれえええ!」
星屑のスタンドの能力により、星屑含めた6人によるトドメの攻撃によりかっしーが死ぬという事象が永遠に続くことになった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.484 )
第24代ガルガイド国王・かっしーは7人の勇者によって倒された。
7人の勇者とは 赤牡丹、オルトロス、星屑、小銭、Wあ、マロン、水素である。
かっしーは生命エネルギーをガルドリア城内に居る者以外の全ての王国臣民から奪い取っていた為、ガルガイド王国はこれにて滅亡した。
ガルガイド王国の旧領はグリーン王国により接収され、グリーン王国領となった。
その中から今回の戦いに参加した者達に恩賞として3分の1以上に相当する領地が分け与えられた。ランドラ帝国での領地を失っていた北条もこれに含まれる。
王都・ガルドリアは李信の技により全てが破壊され更地になってしまった為にその政治経済都市・住宅地としての機能を全て失った。
ガルドリア城は一行が去った後、何故か自壊した。王が居なくなったからだと考えられるが詳細は不明。
因みにエイジス・リブレッシャーは李信の口利きで赦免されてガルガイド王国旧領に戻って行った。新たな居住地を見つけ、自分のあり方を見つめ直すのだという。
戦死したリキッド・レイニーデイの遺骸は李信、北条、エイジスがガルドリアを去る際に墓を作って葬った。
奇人は自爆した為、遺骸どころか毛髪の一本すら見つかることは無かった。
李信はキモ男やポルク・ロッドが完全勝利を収めた報を後から聞き、2人や藤原に領地を加増した上に藤原を与えられた新領の代官とした。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.485 )
1ヶ月後
李信は昼のグリーンバレーの街を何となく歩いていた。人気の無い通りまで出ると、星屑が1人でしゃがみながら建造物の陰でブツブツと独り言を呟いていた。
「星屑、何してんだ?」
「おわっ!直江かよ!この金はやらねーぞ!」
星屑が手に抱えていたのは大量の小銭(ポケガイ民の小銭ではない、金の小銭の方)だった。
「俺はお前より多くの領地を持ってるし収益もある。そんなはした金要るかよ。」
「まあお前は昔一緒にポケガイでJTOを運営したりメ◯プルストーリーをプレイした仲だから教えてやろう!このスタンド ハーヴェストでグリーンバレー中の落ちてる小銭を収集してたのさ!」
星屑の足元には500体以上の小さな虫型のスタンドが並んでいた。
「いや、聞いてないんだが…。そのスタンドの能力は大体分かったがそれでセコセコ金集めか?お前にも領地があるだろ?」
「そりゃあるけどさー、何か副収入欲しいじゃん?そして俺はその金で魔法少女に会って遊びたい!今集めたので合計300000Zだ!」
星屑が腕一杯に抱えている小銭を見せつけて自慢する。
「なら小銭集めよりいい方法あるだろ。宝くじ集めとかさ。」
「それだぁぁぁ!」
李信のアドバイスにこれだとばかりに星屑が反応した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.486 )
「星屑、すぐにそのスタンドで街中の宝くじを集めるんだ!」
「よし!行けお前ら!」
星屑が500体を超えるハーヴェストに命令すると、ハーヴェストはそれぞれ散っていった。
「だが星屑、この世界に魔法少女なんて居るのか?」
「此処は二次元だぜ?信じれば必ず会える!」
李信の疑問に星屑が根拠の無い自信を持って答える。それから数時間程待つと、ハーヴェストがありったけの宝くじをゴミ箱や道端から拾い集めてきた。
「さて、面倒だが確認作業だ!直江も手伝えよな!」
「構わんが賞金は山分けだぞ?」
李信が念を押してから宝くじの確認作業に入る。地道な作業は更に数時間もの時間を要した。
「あ、あ、あ!あったぞ!」
「どうしたんだよ直江、配当額デカいの来たのか?」
李信が一枚のくじを両手で広げて思わず声を上げた。星屑が隣で覗き込むように身を乗り出す。
「2億Zだああああああ!」
「おいそれ期限切れてないか今すぐ調べるぞ!」
2億Zの当たりくじを見つけてはしゃぐ李信だが、星屑は興奮を抑えつつ手に持っている雑誌で確認した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.487 )
「おいやべえぞ直江!まだ後期限が3日ある!早速引き換えに行くぞ!」
「よっしゃ行くぜ星屑!」
既に時刻は夜7時になっている。2人が2億円の宝くじを換金しに行こうとした時である。複数人の影が突如現れて2人を取り囲んだ。
「そこまでよ!」
女の声である。リーダー格と思しき女が2人に近づいて来た。
「私はむった。元ガルドリアの住民よ。1ヶ月前のガルドリア崩壊の時には旅で幻影帝国領に居たけど。」
女はむったと名乗った。何故か学校の制服を着ている。
「で?レズ女が俺らに何の用?俺ら忙しいんだよね。」
星屑がむったに睨みを効かせる。
「その宝くじは私の物よ!みんな出てきて!」
むったの掛け声で4人の女が現れて李信と星屑を取り囲むように近づいてきた。
「なんだか知らねえがこの宝くじは俺と直江のもんだ!お前らにやるわけねーだろバーカ!」
星屑は宝くじを懐にしまってむったを挑発する。
「元々は私の物よ!5日前にせっかく当たった宝くじを無くしてしまったので血眼になって探してたらまさかアンタ達が見つけてたとはね!今すぐ返しなさい!」
むったが物凄い剣幕で2人に詰め寄ってくる。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.488 )
「その2億Zは換金してガルドリア復興募金に募金するのよ!返しなさい!」
「落としたお前が悪いんだよ!落とした時点でこの宝くじの所有権はお前から離れたんだよ!今は俺らの物だ!ウヒャヒャヒャヒャ!」
むったの威嚇に屈しもせずに更に挑発を続ける星屑。
「アンタが直江ね。ガルドリアを更地にしたっていう。」
李信の後ろに居た女が声をかけてきた。
「だったら何だ?」
「私はもとさん。今は私達は違う所に住んでるけど、ガルドリアは私達の故郷なのよ。ガルドリアを破壊したアンタなら尚更ガルドリア復興募金に協力すべきじゃないの?」
「フハハハハハハハ!!確かに2億Zは大金だがガルドリア復興となると数百兆規模の金が必要な筈だ!それに対して2億Z如きでムキになるとは実に滑稽だ!」
「塵も積もれば山となるって言うわ。いいから返しなさい!」
もとさんと名乗った女が李信に宝くじを返すように迫るが李信も星屑同様その意思が無いことを示した。
「アンタ、ガルドリアをあんなにした罪悪感は無いの?」
「あんなゴミみたいな王が支配するゴミみたいな国のゴミみたいな都なんざ遅かれ早かれああなる運命だったんだよ!もう行くぞ星屑!」
「直江の言う通りだ!じゃあなメンヘラキチガイ女共!」
李信はもとさんを右腕で払い除けてその場から離れようとする。星屑もそれに続くが、2人の行く手を更に3人の女が阻んだ。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.489 )
「あ?あんま俺らを怒らせない方がいいよ?俺らマジ強いから!」
星屑が行く手を阻む女達に脅しをかける。
「私達も強い!今ならまだ許すから宝くじを返しなさい!」
「そのうるせえ口を封じてやる!スタープラチナ!」
女の1人がしつこく宝くじを返すように迫ってきたので苛立った星屑はスタンドを呼び出す。
「こうなったら実力行使しか無いようね!勇者システム起動!」
5人の女達がそれぞれポケットから携帯端末を取り出して勇者システムを起動し勇者の姿に変身を遂げた。
「魔法少女じゃなくて勇者かよ…。まあ仮に魔法少女でも現実世界のブスなてめえらの顔を知っちまってるから意味ねえんだけどな!」
星屑が更に5人の怒りに火を注ぐ。
「最近戦闘が無くて退屈してたところだ。星屑、こいつら皆殺しにするぞ!」
李信が斬魄刀を抜刀する。
「了解!俺らに逆らったらどうなるか思い知らせてやる!」
星屑と李信は背中合わせになって先ずは相手の力を見てから動こうとしていた。相手の力を見てみたいからである。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.490 )
「花風紊れて花神啼き 天風紊れて天魔嗤う 花天狂骨」
李信の斬魄刀が青龍刀のような形状に変化して更に二本に分かれる。
「宝くじは絶対に取り戻す!」
変身して頭髪が桃色に変化し、スパッツ状の勇者服を身に纏ったむったがまず星屑に襲い掛かる。むったは強化された身体能力から突き攻撃を拳で繰り出す。
「このスタープラチナと拳で勝負する気かぁ?オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
星屑のスタープラチナの破壊力と連打の手数の前にむったの体は僅か数秒で肉片と化した。星屑は顔に返り血を浴びた。
「よくもむったを!もう宝くじを返してもらうだけじゃ許さない!アンタ達2人共殺す!」
「受けてみなさい!」
いさなとろっどがそれぞれ巨大な剣と刀を持つ大きな腕を4本装備したろっどが李信に切り掛かってくる。
「何となくだが1人ずつ片付けてやる。不精独楽!」
花天狂骨を横に薙ぎ払って竜巻を飛ばしていさなの動きを封じたが、その隙をついてきたろっどの斬撃を受けて肩から腰を斬り落とされた。
「まず1人!」
ろっどが李信を始末したと思った瞬間、倒した筈の李信が頭上から花天狂骨を振り下ろす。
「嶄鬼」
ろっどは頭から二つに割られて息絶えた。
「お前が見てたのは影送りによる残像だ。」
次に李信は不精独楽で動きを封じたいさなの背後に瞬歩で移動してその影を踏む。
「影鬼」
いさなの影に花天狂骨を突き刺していさなの背中から胸部にかけて貫通する黒い刃が発生し、いさなは仰向けに倒れて動かなくなった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.491 )
「俺のスタープラチナは精密動作性が高くてな。至近距離で銃を撃たれても銃弾を掴み取るんだよ。」
遠距離に回って星屑を狙撃していたA姫の銃弾を受け止めながら近づいた星屑。
「狙撃すら受け止める…そんな能力聞いてない!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
星屑のスタープラチナのラッシュでA姫の体は砕け散った。
「影鬼」
李信も残る1人であるもとさんを始末していた。
「こいつら弱かったな。換金しに行こうぜ。」
斬魄刀の解放を解いた李信が星屑の居る位置の近くに瞬歩する。
「こんなんじゃ肩慣らしにもならねえよな。まあかっしーみたいなチートは御免だがな。」
星屑が返事をしながら歩き出す。李信もそれに続く。
「俺はかっしーとは戦ってないんだが、そんなに強かったのか?」
「ほぼ無敵だからな。何故か水素に圧倒されて倒されたけど。」
2人はガルドリア城に乗り込んだ時の話をしながら歩き、宝くじを換金しに行った。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.492 )
換金を終えた2人は2億Zを半分ずつに分けてアタッシュケースに入れてそれぞれの自宅に帰ろうとしていた。
「っしゃあ1億Zゲット!」
「今日の直江はテンション高いな!」
ガッツポーズをしたり談笑したりして帰路を進んでいると、遠くから若い男の悲鳴が聞こえた。
「星屑、今のなんだ?」
「俺が知るかよ。行ってみようぜ。」
「そうだな。」
2人が悲鳴の聞こえた方へ行ってみると、そこは王都内の公園だった。
「おい何だあれ、きめえ…。」
そこには肩や腰や尾�蛞骨の辺りから細い赤い線が入った黒い謎の物体を生やし、瞳は赤くその周りは黒といった人型の生命体が若い男を捕食している光景があった。
「見たな…?」
その生命体は捕食を終えると2人に気づいたようである。ギロリと目を剥いてこちらを睨み据える。
「ああ見たよ。お前きめえな。」
星屑が臆することなく即答する。
「見られたからにはお前らを生かして帰すわけには行かない。悪いが此処で死んでもらう!」
その生命体が高い跳躍力で星屑の方に飛び掛かってきた。
「バッドカンパニー!」
星屑は小さな軍隊のスタンドを呼び出して一斉射撃を命じると、小さな兵士達は戦車の主砲を発射したり銃の引き金を引き絞った。砲弾や銃弾は生命体に命中するが、黒い触手の様な物で全て弾かれた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.493 )
「このスタンドじゃダメか!ならキラーク…」
「行け!グロリアスドラゴン!」
星屑が別のスタンドを呼び出そうした時、10m程左から声が聞こえ謎のドラゴンが召喚された。ドラゴンは星屑に襲い掛かっていた謎の生命体を封印された力を解放して闇の光を口から解き放って焼き尽くした。
「舞い戻れ グロリアスドラゴン!」
ドラゴンは再び持ち主の元へ封印された。
「2人とも怪我は無いか?」
グロリアスドラゴンの主がゆっくりと近づいてきた。
「別にお前がいなくても俺だけで充分だったんだが。誰だよお前。」
「俺は庭師だ。キシーッ」
星屑の問いに男は庭師と名乗った。右手の甲にはグロリアスドラゴンを封印している紋章が浮かんでいる。
「ていしかよ。」
「ていしじゃねえ庭師って呼べ。それよりお前らの正体を当ててやる。ミニ軍隊を出してたのが星屑で刀を腰に帯びてるのが直江だ。」
庭師は簡単に名乗ってもいない2人の正体を交互に指指しながら当てて見せた。
「何で分かったんだよ?」
「お前のさっきのあれはスタンドだろ。直江の刀はどうせ斬魄刀だろ?お前らあれだけ好きな作品アピールしてたから分かりやすいんだよ。」
庭師はポケガイでの記憶を持ち出していたのである。
「そういう庭師はグロリアスドラゴンのSS書いてたよな。お前も分かりやすいぞ。」
庭師が来て初めて李信が口を開いた。
「俺はこの世界では召喚士(サモナー)だ。我が手に宿る伝説の龍・グロリアスドラゴンの闇の光で敵を魂ごと焼き尽くす!」
庭師が右手の甲の光る龍を象った紋章を掲げて見せつけた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.494 )
翌日、ぐり~んからの使者にぐり~んから呼び出しがあると伝えられ、李信は登城していた。
ぐり~んの家来の案内で円卓がある部屋まで通されると、既にそこには10人程のポケガイ民出身の能力者達が集まっていた。
赤牡丹、Wあ、マロン、星屑、小銭、オルトロス、アティーク、庭師、北条、水素という顔触れだった。
「お、直江じゃん遅かったな。」
入室して最初に声をかけてきたのは星屑だった。
「みんな勢揃いじゃねえか。何があったんだ?」
「いや、知らん。これから説明があるだろ。とにかく座れよ。此処が空いてる。」
「そうだな。」
星屑が隣の空いている椅子の淵をポンポンと叩いて腰を下ろすよう促すのでそれに従うことにした。
「皆揃ったな?」
最後に入室してきたのは王であるぐり~んだった。入室するなり人数と顔触れを見回して確認している。
「ぐり~ん、何で今日は上位能力者勢揃いなんだ?」
李信がぐり~んに疑問をぶつける。
「それをこれから話す。黙って聞いてくれ。」
ぐり~んはリモコンを手に取り、モニターにある画像を映し出した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.495 )
モニターに映し出されたのは1人の女占い師だった。
「稀代の占い師・kanarinだ。kanarinの預言は必ず当たると言われている。そのkanarinがあまりの絶望的未来を預言して死んだ。」
「死んだ?あまりの絶望的未来を預言するのにエネルギーを使い果たしたのか?あとお茶貰える?」
ぐり~んの説明に口を挟み、ついでにお茶を要求したのは水素だった。
「いや、死因は餅を喉に詰まらせての窒息死だ。kanarinは生前、こんな預言を遺している。」
ぐり~んがリモコンのボタンを押してモニターに映し出された映像を再生すると、kanarinが喋り出した。
「世界がヤバい!」
セリフはそれだけだった。
「…それだけかよ。それじゃ何が起こるのか分かんねえだろ。使えねえ占い師だな。」
そう不満を漏らしたのはオルトロスだった。
「とにかく、kanarinの預言は当たる。今世界は最大の危機を迎えようとしているんだ!」
ぐり~んが両手で机をバンッと音を立てて力強く叩いて主張した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.496 )
「そういや昨日、人を食う奴に出くわしたな。あれも何か関係あるのか?」
星屑が昨日の出来事を思い出した。
「この俺様のグロリアスドラゴンで焼き尽くしてやったがな。キシーッ」
庭師が必要あるのかどうか微妙な補足を付け加えた。
「最近このグリーンバレーで怪人や能力者の襲撃の目撃情報、被害情報がチラホラと上がり始めている。こういうのは恐らく何か良くないことが起こる前触れだ。世界がヤバくなる予兆と俺は考える。」
「そこで人数ごとに担当地区を割り振ることにした。各々には騎士団を率いて担当地区の警備にあたってもらう。」
ぐり~ん自らが割り振りをした表を正面のボードに磁石で止めて張り出した。
「そういや昨日、人を食う奴に出くわしたな。あれも何か関係あるのか?」
星屑が昨日の出来事を思い出した。
「この俺様のグロリアスドラゴンで焼き尽くしてやったがな。キシーッ」
庭師が必要あるのかどうか微妙な補足を付け加えた。
「最近このグリーンバレーで怪人や能力者の襲撃の目撃情報、被害情報がチラホラと上がり始めている。こういうのは恐らく何か良くないことが起こる前触れだ。世界がヤバくなる予兆と俺は考える。」
「そこで人数ごとに担当地区を割り振ることにした。各々には騎士団を率いて担当地区の警備にあたってもらう。」
ぐり~ん自らが割り振りをした表を正面のボードに磁石で止めて張り出した。
・第一班 西地区 赤牡丹、マロン、Wあ
・第二班 東地区 オルトロス、庭師、アティーク
・第三班 北地区 小銭、星屑、水素
・第四班 南地区 北条、直江
「おい、他は3人なのに俺らは2人だけか?」
表を見た李信がぐり~んに突っ込んだ。
「追加で1人増援を寄越すからそれまでは2人で当たれ。他に質問が無いなら締め切る。」
ぐり~んは質問が無いことを確認すると、会議を締め括った。
「では以上、解散!各々の役目を全うせよ!」
11人の能力者達は散っていった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.497 )
南地区班
グリーンバレー南地区では李信が北条と共に騎士団1000人程を率いて警備にあたっていた。南地区は商店街の範囲が広く、港もある。以前、桑田が軍を率いて攻めてきた国門もこの地区にあった。南地区を更に頭部と西部に分けて担当することに決めた。500人ずつ率いている。
「李信班長、今のところ異常はありません!」
「異常が無いのもこういう時は問題だな。退屈でたまらん。」
「そういうことを仰るのは流石に…」
「うるせえ。黙って聞き流せ。」
「はっ…」
南地区頭部にある港付近の塔の最上階にあるバルコニーで船や海を眺めながら騎士の1人に悪態をついていた。
「そろそろ腹減ってきたな。メガ盛り激辛バケツうどんでも食いに行こうかな。」
そんなことを呟いていた矢先に、騎士の1人が血相を変えて飛び込んできた。
「商店街東口付近に襲撃者が出現!幸い民間人に被害はありません!現在騎士10人と交戦中!至急応援を!」
「やっとか。俺が行く。」
李信は塔から飛び降り、瞬歩で商店街東口に向かった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.498 )
李信が現場に駆けつけると、10人の騎士が血の川を流しながら無惨な姿で倒れていた、中心に、眼帯をつけた男がサーベルを持ちながら立っている。
「君がこの騎士達の隊長かね?」
落ち着き払った声色で李信に声をかけてくる。
「貴様がやったのか。」
「見れば分かるだろう。アホな見た目通りアホな男だね君は。私はねおんてとらという。オツムは残念だが戦闘には期待しているよ!」
ねおんてとらがサーベルを下段に構えて素早く踏み込んでくる。次の瞬間、ねおんてとらのサーベルは李信の腹部を貫いた。
「馬鹿な…鋼皮(イエロ)も静血装(ブルート・ヴェーネ)も貫きやがったってのか…!」
「何だか知らないが、君の防御能力など私には取るに足らない力だよ。この憤怒のホムンクルスの私にはね!」
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.499 )
「ホムンクルスだと?今度は鋼の錬金術◯ってわけか。」
李信の言葉は受け流し、ねおんてとらは李信の腹部に刺さっているサーベルを引き抜くと後方に飛び下がり距離を取る。
「君も能力を出したまえ。それまで待ってやる。」
ねおんてとらは余裕を隠さない。
「舐めやがって。行くぞ、斬月!」
李信が斬魄刀を抜刀して斬月を解放した。
「月牙天衝!」
超高密度の霊圧を青色の斬撃として飛ばす。しかしねおんてとらは月牙天衝をサーベルで下から切り裂いた。
「君、私を少々見くびっているのかね?まだ力を出し惜しみしているだろう。本気を出さないと…」
「死ぬことになるよ?」
ねおんてとらが上段の構えで踏み込んできた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.500 )
(速い!)
ねおんてとらの速さについていけず、李信は胸を貫かれた。
「心臓を潰した。呆気なかったな。」
「そもそも元々のスペックが低かったんだろう。二次元世界の加護を受けてこの程度の運動能力と反射神経、動体視力…。おまけに頭も悪いときた。この世界に来て強大な力を得て自らを過信していたのだ君は。現実から目を背けて、逃げて、この世界に辿り着いて力を得て、まるで自分は特別な存在であるかのように思い込む。なんて哀れな男なんだ君は。」
ねおんてとらはそう吐き捨てると李信を貫いていたサーベルを引き抜いて、サーベルに付着した血を振り払う。
「うるせえ!卍 解 !」
胸を貫かれた筈の李信が息を吹き返し、斬月の二段階目の解放を行う。
「天鎖斬月」
卍解した斬月が漆黒の日本刀状の姿になって現れた。
「心臓を貫いた筈だが…」
言いかけたところでねおんてとらは李信の胸や腹の傷が塞がっていることに気づく。
「君も私と同じ化け物というわけか。これは面白くなってきたな。」
「余裕かましてられるのも今の内だ、ホムンクルス。」
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.501 )
「ならば再生が追いつかない速さで君を切り刻むだけだがね!」
ねおんてとらがサーベルを持って素早く突っ込んでくる。
「そんなスピードで大丈夫か?」
李信はねおんてとらを取り囲むように残像を残しながらの高速移動を始める。
「ならば私も速力を上げるとしよう!」
ねおんてとらが眼帯を取り外すと、その目には賢者の石に適合したホムンクルスである紋章が刻まれていた。
李信が背後からねおんてとらに斬りかかると、ねおんてとらは即座に反応して振り向きざまにサーベルを薙ぎ払ってくる。天鎖斬月とサーベルの鍔迫り合いになった。
「君、膂力も大したことないな。」
ねおんてとらが李信の天鎖斬月を押しのけて肩から斬りつけてくる。李信は天鎖斬月で防ごうとするが、あまりにも速い剣撃に全くついていけずに全身を切り刻まれて行く。
「再生が…追いつかない!」
ねおんてとらの衣服に李信から浴びた返り血が付着していく。李信は傷の再生が追いつかず、上半身の傷を次々に深く抉られて行く。
「剣術もまるでなっていない。君は戦士失格だよ。期待しただけにがっかりだ。」
「うるせえ!月牙天衝!」
李信が赤に縁取られた黒い斬撃を放つが、至近距離に居るねおんてとらにいとも簡単に避けられてしまった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.502 )
しかし一度月牙天衝を避ける為にねおんてとらが攻撃をやめた為に李信の体は超速再生を果たした。
「何度再生しようと君が死ぬまで斬り刻むのみ!」
ねおんてとらは再び攻撃体勢に入るが李信は瞬歩でねおんてとらの視界から姿を消した。
「月牙天衝!」
背後に回った李信が月牙天衝を放つ。その顔には虚(ホロウ)の仮面が現れていた。
速度と威力が飛躍的に上昇した李信の月牙をねおんてとらはかわしきれなかった。三日月型の黒い斬撃がねおんてとらを真っ二つに斬り裂いた。
頭から股まで両断されたねおんてとらが再び言葉を発することはなく、死体からは賢者の石が転がり落ちた。
「これ、賢者の石か。念の為壊しておくか。」
李信は賢者の石に向かって月牙を放ち、粉々に砕いてしまった。
「中々強かったが、俺の方が上だったようだな。」
二つになったねおんてとらの死体にそう吐き捨てると、李信はその場を後にした。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.503 )
北地区では 水素、星屑、小銭の3人が1000の騎士を束ねて警備にあたっていた。
3人は暇だからと喫茶店のエントランス席でアイスコーヒーを飲みながらトランプに興じていた。
「報告!北地区広場付近にて襲撃者出現!住民3名程の死亡が確認されました!至急出動願います。」
騎士の1人が慌てて報告をしにきた。
「俺が行く。大体、俺の出番ってみさくら戦以降あんまねえじゃん。俺レギュラーキャラの筈だよな?ということで俺の出番増やせ。分かったか、星屑と小銭。」
「各戦いでラスボスを倒す活躍しといてお前何言ってんの?まあいいけどさ。」
「そうだよお前ゲノンとかっしーを倒しただろ。まあ好きにすれば。」
星屑と小銭の了解を得て、水素は相変わらずの跳躍力で現場に急行した。
北地区の広場は、現実世界の古代ギリシャにある都市国家(ポリス)にあった、民衆が集まって思想や政治論を語り論じる広場のような場所である。面積は東西に150m、南北に200mも広がるグリーンバレーが誇る古くからある歴史のある広場である。
その広場に、下半身はブリーフ一枚、上半身は蟹型怪人という奇妙な生物が暴れまわっていた。
「こいつが襲撃者か。弱そうでがっかりだ。」
現場に着いた水素が怪人を見るなり落胆する。
「プクプクプクー?お前が次の獲物かな?この清涼飲料水様に立ち向かうとは愚かな奴だプク!」
独特の口癖を出しながら水素の方を振り向く蟹型の怪人は清涼飲料水と名乗った。
「災害レベル虎か、ゴミめ。さっさと死ね。」
水素は拳の一撃で蟹型怪人を粉砕した。
「北地区はハズレみたいだな。つまんねーところに配属されちまったわ。」
水素が腹いせに地面に痰を吐くと、その場を後にしようとした。その時である。
「待て!そこの白いマントに黄色いヒーロースーツの男!」
地中から声が聞こえたのである。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.504 )
「我は地底王凪鞘ステハン!勝負だヒーロー!」
4本の腕に青色の剣を持つ地底怪人が地中から舗装されている広場の地面を突き破って現れた。
「災害レベル鬼のカスは引っ込んでろ。」
水素は相変わらず落胆した表情でそう言うと、地底王の頭上まで跳躍し、ドロップキックを頭部にかました。地底王の体は頭から足まで全てが砕け散った。
「つまんねえんなあ。」
水素はバラバラになった地底王の顔面に痰を吐き捨てて広場を後にした。
「水素、どうだった?」
喫茶店に戻ってくるなり小銭が尋ねてきた。
「雑魚とカスしか居なかったわ。この地区、敵が弱すぎるハズレ地区だぜ?ぐり~んめ後で覚えてろよな。」
水素はぐり~んに対する不満を漏らすと、店員を呼んでアイスコーヒーとサンドイッチを注文した。
「最強のスタンド使いたる俺が出る幕は無さそうだな。」
星屑は焼きうどんパンを頬張りながら小銭としている最中だった7並べの続きをするべく、トランプのカードに手を伸ばした。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.505 )
東地区 オルトロス、庭師、アティークの班
東地区を統括するアティークは真面目に騎士達の指揮を執っていた。東地区は隣町へと続く道が伸びる交通の重要地区である。アティークは東地区と隣町への道を結ぶ関所に陣を張って騎士達に指示を出し続けていた。
「オルトロスと庭師め、これは遊びじゃないのに2人で豚骨ラーメンを食いに行きやがった!緊急自体になったらどうするつもりだ!」
オルトロスと庭師は東地区にオープンした博多ラーメンの店に行っており、真面目に警備にあたっているのはアティークだけだった。
「アティーク将軍!報告です!襲撃者がこの関所に町側から向かってきます!」
騎士の報告を聞いてアティークが立ち上がった。
「思えば長かった…。ガルガイド王国がこのグリーン王国に攻めてきた時の戦いで初登場してからかなり経つ。桑田を討ち取る武功は星屑に取られ、サバやランドラ帝国との戦いでは俺が総大将なのに直江に実質全て仕切られ、ガルガイド王国滅亡編では一切の出番無し!しかもだ!今まで能力を出す機会すら無かった!」
「そんな俺の!真のデビューが!待っている!今行くぞ襲撃者!俺のデビュー戦の生贄になってもらう!」
アティークは他の騎士達が理解出来るような出来ないような愚痴や感動の思いを吐き出して襲撃者が居る方向へと胸踊る気持ちで走り出した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.506 )
「やっほー♪グリーン王国ちゃんの皆ッo(≧∇≦*o) あありんだよー☆」
襲撃者はあありんだった。飲食店が並ぶ東地区の中心で破壊活動を始めていたのである。魔法少女が着る白い戦闘服を着用しているあありんは英語を話す赤いビー玉のようなものがはめ込まれた魔法の杖から桃色のビームを射出して家屋や店舗を破壊していた。
「俺の初バトルデビューの生贄になるのはお前のようだなァ!」
アティークが腰に帯びている古代兵が使う剣を抜いて意気揚々とあありんを見据える。
「あなただーれ?あありんは、上の人に言われてこうしてるだけだよーo(≧∇≦*o)」
「上の人って誰だ?それと俺はグリーンバレーを統括する将軍なんでな。理由や事情は関係無い。お前を排除するぞ!」
アティークの瞳の色が紅蓮に染まり、背後には現実世界で彼に所縁のある国の宗教で信仰される神 アフラ・マズダーが顕現する。
「あたしに勝ったら教えてあげるーo(≧∇≦*o)いっくよー!」
あありんが魔法の杖をアティークに向けて魔力を溜め始める。
「ディバインバスター!」
魔力の杖から桃色の魔力ビームが射出された。
「神を宿すこの俺にそんな攻撃は効かん!」
アティークはディバインバスターを炎を帯びた剣で切り裂いた。
「まずはほんの腕試しだ!」
アティークは剣先から小さな太陽の様な形状の火球を無数に作り出して撃ち出した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.507 )
無数の火球はあありんを目指して飛んで行くが、あありんは杖に跨って飛行しそれを回避する。
が、火球は直ぐ様軌道を曲げたり方向を変えて直進したりという動きを見せ、飛行回避を続けるあありんを追い続ける。
「その火球は追尾型なんだよォ!」
「嘘!いや!避けられない!」
火球が猛スピードであありんに追いつき着弾すると、他の火球も着弾した火球に合わせて誘爆し上空で大爆発が起こった。
「神よ!我に翼を与えたまえ!」
アティークは目を瞑り祈る様に剣を両手で天に向かって突き上げると、背中に片方ずつ光と炎でできた翼が現れた。
「とどめと行くぜー!」
アティークは光の翼から聖なる光の光線を、炎の翼から熱風を引き起こして大爆発が起きた地点に攻撃を繰り出す。
「エクセリオンバスター!」
その方向からディバインバスターよりも威力が上昇したビームが伸びてくる。しかしアティークの力は圧倒的であり、ビームは掻き消されてあありんは光と熱風に包まれた。
「いやああああああああああああ!!!」
あありんの大きな悲鳴が鳴り響く。あありんの服や肌が部分で焼け爛れて行くのが遠目からもよく見えた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.508 )
「おいおいかなり加減してんのにこのザマかよ。こいつが弱過ぎるのか?いや、俺が強過ぎるんだ、うん。」
アティークは自問自答していた。実際にアティークは本来の力のほんの一部しか出していなかった。
「いったいしあっついなー!もうあありん怒ったもんね!絶対許さない!」
攻撃に何とか耐えたあありんが全身の大火傷の痛みに耐えて涙を滲ませながらアティークを睨み据えた。
「これが私の全力全開!いっくよー!o(≧∇≦*o)」
あありんの魔法の杖の先に膨大な魔力が溜められる。
「スターライトブレイカー!!」
桃色の極太の魔力ビームがアティークに向かって一直線に伸び、アティークは何の対処もせずにスターライトブレイカーを被弾した。
「スターライトブレイカーは私の最強の必殺技!勝負あ…」
あありんが言いかけたところで、あありんの右肩から先が熱線によって切断され落とされた。
「ああああああああ!アタシの腕があああああああ!」
右腕を切断されたあありんが恐怖と痛みのあまり絶叫する。
「これが本気?俺は傷一つねえぞ。笑わせんなよ。」
アティークの剣先から炎の波動砲が放出され、あありんを呑み込み一瞬で灰にした。
「やっと俺の能力を使えたぜ。弱くて物足りなかったがな。」
アティークは神の力を宿している自身の状態を解除して剣を鞘に収めた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.509 )
西地区 赤牡丹、Wあ、マロンの班
3人は固まって直感に頼り西の関所付近の古代建造物・グリーン神殿に足を踏み入れた。
「よく此処が分かったな!美味そうなのが3人も居る!このSSSレートの喰種(グール)である聖マリの御馳走になってもらうぞ!」
「グールだと?ていしが倒したのはお前の仲間か?」
「あいつは名も無きステハンの雑魚グールだ!俺は一味違うぜぇ!」
紅い瞳に黒い目玉、腰から生えている赫子がグールの証拠だった。聖マリと対話したのは赤牡丹である。
「行くぜぇ!まずはお前から食ってやる!」
聖マリが赫子を使って跳躍し、赤牡丹に飛び掛かってくる。
「ブラックホールダストエンジェル」
赤牡丹がフラグメントの一つである超能力を使い強力な重力力場を発生させて聖マリをミンチにしてしまった。
「雑魚じゃん。」
赤牡丹はあまりの手応えの無さに拍子抜けした。
「隠密。アンタが強過ぎるんだよ。」
マロンが赤牡丹にツッコミを入れた。
「どんな敵が来ても隠密さんが居れば楽勝そうですね。」
「そうとは限らない。かっしー戦では歯が立たなかったからな。」
Wあの珍しい希望的観測を赤牡丹は即座に否定した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.510 )
結局、アティークは初バトルに熱くなるあまり、あありんから答えを吐き出させずに殺してしまっていた。アティークが己の軽率な行動を後悔している時、騎士の1人がアティークの本陣に駆け込んでいた。ついでに、豚骨ラーメンを替え玉で3杯も食べて満腹になったオルトロスと庭師は幸福に満ち足りた顔で戻り、アティークに激怒された。
「大変ですアティーク将軍!あれをご覧下さい!」
騎士の1人が上空を指差して狼狽している。アティークも地面を見て感じていた。迫り来る影が大きくなっていくのを、である。
「なんだありゃあ!」
「謎の飛行物体キシーッ!」
声を上げたのはオルトロスと庭師だった。アティークも空を見上げる。視界に広がったのは王都全体を太陽の光が当たらないように遮る黒い飛行物体だった。
「これがkanarinが預言した世界の危機ってやつなのか…?」
アティークが歯をギリギリと擦らせていると、飛行物体から声が聞こえてくる。
「聞こえるか?グリーンバレーの諸君!我々は宇宙から来た侵略者 暗黒盗賊団・荒喧!」
飛行物体からグリーンバレー全体に響くエコーがかかった声が発せられた。
「この世界の地球を征服すべく遥か彼方の星から我々はやって来た!手始めにこのグリーンバレー、そしてグリーン王国の領土を頂く!」
声は自らの目的を明かした。これがあありんが言っていた者共の正体である。
「荒喧だと?あいつらガイドで暴れまわっただけじゃ飽き足らずこの世界でも暴れようってか。」
オルトロスは荒喧の面々とはガイドでかつて起こったJTO戦争で戦っていた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.511 )
「舞い降りろ我が四天王よ!グリーンバレーの上位能力者達を残らず潰せ!」
エコーがかかった声が配下に命令を下すような言葉を発すると、巨大な飛行艇から4人の者がそれぞれ飛行艇から伸びる光に包まれて東西南北の地区に降り立った。
「如何にお前達がこの世界の上位能力者であろうと、宇宙最強の我々荒喧の前では赤子も同然!お前達を潰せばこの世界を頂いたも同然なのだ!」
エコーがかかった声が止んだ。恐らくこの声はボスのものであろう。
アティーク、オルトロス、庭師の視界には荒喧が遣わした1人の男の姿が映っていた。
「俺様は荒喧四天王の1人 キングクイーンだ!今から起こることは幻ではなく現実!手始めに…」
キングクイーンは特殊な術式を使用し右肩から第三の腕を出現させる。その第三の腕を振り、3人の近くに居る騎士達を1人残らず塵に変えた。
「てめえ、何した?」
オルトロスが不可解な現象に幻想と現実の区別がつきにくい状態になる。
「この腕が俺の能力だ。お前らが今まで戦ってきた能力者など我々荒喧に比べればその塵に等しい!お前らは今まで雑魚に勝ちまくって上位能力者などと呼ばれて悦に浸り自分が強いと錯覚していただけなんだよ!それを今から教えてやる!」
キングクイーンが目を見開いて口元を歪ませながらオルトロスを威圧する。
「こいつはかっしーよりヤバそうだな…。」
ベクトル操作の能力を持つオルトロスですら冷や汗を滲ませ震えが止まらなくなる程の恐怖と悪寒。オルトロスはこの能力を知っていた。
「チート過ぎてこの世界にいるはずがないと思ってたぜ…。それがついに出てきやがった。もう世界はおしまいかもな…。」
オルトロスが愛読している、とあるライトノベルが現実世界に存在した。そのライトノベルで登場するチートとしか思えない力を持つキャラクターが居る。オルトロスはライトノベルでその力を知っているだけに絶望したのである。
「オルトロス、諦めんな!何としてもこの世界を…」
「無理だ。」
アティークが言いかけたところでオルトロスが遮った。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.512 )
一方、李信と北条の前にも1人の男が現れていた。
「お前達が私の相手か。私は蒼。最強の錬金術師にして神だ。」
白い腰巻を身につけ、上半裸で金の長髪の男は蒼と名乗った。
「神だと?神なら何で他人に従ってるんだ?」
李信が蒼の言葉の矛盾点を突く。
「物語というのはそんな矛盾点は気にしないものだ。お前は二次元で何を言ってるんだ?」
「…。」
開き直った蒼の回答に李信は黙るしかなかった。
「神だの他人に従うだの、どうでもいい。要はお前を倒してお前のボスも倒せば全てが終わる。自称神よ、お前は今日をもって神でなくなるんだよ。」
北条が前に出て構えを取る。
「私の力を前にしてそんなことを言ってられるかな?」
蒼は掌で小型の太陽を作り出した。
「神たる私にならこうして太陽を作り出すことも可能だ。」
蒼は作り出した小型太陽を北条に投げつけた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.513 )
「須佐能乎!」
北条は永遠の万華鏡写輪眼と輪廻写輪眼を発動させ、完成体須佐能乎を呼び覚まし太陽を防ごうと図るが、完成体須佐能乎ですら太陽の前では粉々に砕け散った。太陽は北条に直撃してしまった。
「まず1人。そこの黒尽くめの眼帯男もすぐに仲間のところへ行かせてやる。」
「何処見てんだよ!天照(アマテラス)!」
太陽の直撃を受けた北条は影分身だった。本体の北条が瞳術の天照を発動させて蒼の全身に黒い炎が発火した。
「天照は視点から発火する、対象が焼き尽くされるまで消えない黒い炎を出す術だ。四天王だか何だか知らねえがこれでお前はジ・エンドだ。」
しかし蒼の体は黒い炎で焼かれても体から赤い閃光を発しながら再生を繰り返す。
「再生能力持ちかよ…!クソが!」
「私は神だと言っただろう。さあ死にたまえ。」
蒼が北条に破壊光線を飛ばす。しかし破壊効果は北条をすり抜けた。
「俺の万華鏡写輪眼の能力の一つだ。」
北条は万華鏡写輪眼の能力の一つを発動していた。物体をすり抜ける力である。
蒼が北条に気を取られていると、蒼の体を突如無数の空気の刃が発生して全身を貫かれた。
「!」
「1人にばかり気を取られていいのか?この雨露柘榴を前にして余裕でいられるのか?」
李信が普段腰に帯びている斬魄刀が消えている。
「多少時間がかかったが無理をして数時間でこのグリーンバレーと辺り一帯との融合に成功した。グリーンバレーは俺の支配下、思うがままだ。」
李信は卍解・雨露柘榴を斬魄刀で解放し、グリーンバレー全体と雨露柘榴を融合させて支配下に置いていたのである。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.514 )
「斬魄刀を周囲と融合させて支配下に置く卍解、それが雨露柘榴だ。例えばこんなことも出来る。」
李信はグリーン城の武器庫から一瞬で大量の火矢と油を浮遊移動させて眼前に展開した。そしてありったけの油を蒼の体に振り落としかけて火矢を一斉に射出した。
「ぐおおおおおおおお!!」
蒼の体が勢いよく燃え上がるが、賢者の石による再生能力により体が焼かれるごとにその箇所を赤い閃光を放ちながら再生し続ける。
「北条さん、こいつは不死ではない。賢者の石のエネルギー分殺せば確実に死ぬ。」
「それって何人分だ?」
「恐らく5千万人分だ。」
「そんなにチャクラもたねえぞ…」
北条の表情が険しくなる。李信もそこまで霊圧がもつか疑問だった。
「出来るだけこれで命の数を削る!」
李信が雨露柘榴の能力で大量の自らの義骸を召喚すると、義骸達は鬼道の詠唱を唱え始めた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.515 )
「破道の六十三 雷吼炮」
「破道の七十三 双蓮蒼火墜」
「破道の八十八 飛竜撃賊震天雷砲」
「破道の九十 黒棺」
「破道の九十一 千手皎天汰炮」
「破道の九十六 一刀火葬」
李信が作り出した数百体の義骸達が重複詠唱を終えると、一斉に高位鬼道を蒼に向けて発動した。
「超大玉尾獣螺旋手裏剣!」
六道仙人モードになった北条が全ての尾獣のチャクラと影分身を使って9つの超大玉尾獣螺旋手裏剣を作って蒼に投げ飛ばす。
数え切れない程の高位鬼道と超大玉尾獣螺旋手裏剣による怒濤の超威力一斉攻撃が蒼を包み込み、激しい爆発が発生する。戦場である港全体を吹き飛ばす威力の爆発と爆風が李信と北条をも巻き込む。
「螺旋手裏剣は経絡系を切り裂く術だ。まともに喰らえば能力を2度と使えなくなる。」
「この調子で数百体による高位鬼道を撃ち込み続けて奴の息の根を止める!」
北条と李信はそれぞれの能力を発揮して蒼を追い詰めようとしていた。
「ほう、息の根を止める?この私の?」
爆発が止み、無傷の蒼が姿を現わす。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.516 )
「なん…だと…?」
李信が思わず声を上げる。蒼は赤いバリアによって李信と北条の攻撃を全て防ぎきっていた。
「お前達の力はその程度か?ならば今度は私の番だ。」
蒼は防いだ攻撃の全てを李信と北条に跳ね返した。
再び先程と同じ規模の爆発が発生する。高位鬼道の一斉放出と超大玉尾獣螺旋手裏剣はそれぞれ使用者にそっくりそのまま返された。
「直江さん!生きてるか!」
万華鏡写輪眼の能力により攻撃をすり抜けさせた北条は無傷だった。しかし李信に同じような能力は無い。
「北条さん、俺は生きてるぞ。しかしこの能力を使わねばならんとはな。」
「全知全能(ジ・オールマイティ)」
李信も無傷だった。自らが有する最強の能力を使用したのである。
「これは自分が見た能力や技を受け付けない能力だ。しかも未来改変も可能だ。例えば…」
李信が能力を発動すると、蒼の全身から大量の赤い閃光が満ち、体内の賢者の石のエネルギーが放出されていく。
「今、俺は4千万回お前が死ぬという未来に書き換えた。4千万人分の賢者の石のエネルギーがお前から放出された筈だ。」
李信が今起きた現象の説明を蒼に行う。
「貴様!ならばお前達を賢者の石に変えてやる!」
蒼が李信と北条を賢者の石にすべく赤い閃光を飛ばした。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.517 )
しかし李信は全知全能の能力で、北条は万華鏡写輪眼による透過能力により蒼の2人を賢者の石に変える力は通用しなかった。
「賢者の石のエネルギーが最後の1つ分になるまで死ね。」
「グワアアアアアアアア!!」
李信は未来を書き換え、蒼の賢者の石のエネルギーを残り1つになるまで放出させた。
「さて最後の命だが、これで貫いてやろう。」
「万物貫通(The X-axis)」
巨大なライフルを出現させて蒼に狙いを定めて構える。
「そんなもので私を殺せると思っているのかああああああ!!」
蒼が破壊エネルギーを李信に放出するが、その攻撃は李信の体をすり抜けていく。(前述した同じような能力は無いというのは死神の能力で、という意味)
「バ…カな…」
「最後だ。見せてやる。滅却師(クインシー)の力の完全解放を。」
「神の裁き(ジリエル)」
李信の背中に四対の光の翼が生え、エヴァンゲリ◯ンに登場する使徒のような姿に変化する。
「これが滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)というやつだ。さあ、お前を地獄に案内してやろう。」
「ま、待て!何が欲しい!?賢者の石か?金か?人体錬成か?」
「裁きの光明」
蒼の命乞いは無視され、李信の翼から万物貫通の光が射出され、蒼の中の賢者の石を貫いた。
「神たる私をこうも簡単に…貴様の戦闘記録を見る限りこんなに強くは無かった筈だ…」
そう言い残した蒼の体は灰となって風に吹かれていった。
「そりゃそうだ。今まではこの世界に来て日が浅く、霊圧コントロールが出来なかった俺はこうしたチート級能力は少し使うだけですぐにバテた。だがようやく体が霊圧に馴染んだようだ。今の俺はまさしく最強!誰にも負ける気がしないぞ!」
李信は絶対の自信に満ちた笑みで右手の拳を胸の高さまで上げて握り締めた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.518 )
「直江さんチート過ぎだろ…」
戦闘を見ていた北条が唖然としている。
「フフフ…この力があれば俺に叶うものなど居ない!だが北条さん、君もチャクラが体に馴染んだ頃じゃないのか?」
「言われてみれば…そろそろだな。これからどうする?」
李信に言われて北条も不安定だった自らのチャクラが体に完全に馴染んだことに気づいた。自身も十分過ぎるほどチートなのである。
「あの飛行艇に乗り込みに行く。ボスを倒して全てを終わらせる。」
「よし、須佐能乎!」
北条の須佐能乎の飛行能力で2人はグリーンバレーの空を覆う飛行艇を目指した。
水素、星屑、小銭が担当する北地区に1人の女が降り立った。
「私は雨飴。荒喧四天王の紅一点!」
荒喧四天王唯一の女性・雨飴は名乗った。しかも露出が多い。胸の左右半分をはだけさせ、そのまま腹部も丸見え、股の際どい部分までが露出されていた。右目には不思議な形状の眼帯、頭には魔女が被るようなつば広の帽子を被っている。裏地が赤で表は黒のマントを装着している。
「チッ!とことんハズレだなこの地区は。雑魚怪人の次は女かよ。」
水素が落胆の表情を見せる。
「女だからって甘くみないことね!私は魔神の頂点に立つ者!あらゆることを確実に成功させることができる!」
この雨飴を見て星屑と小銭は戦慄した。
「おい水素、こいつはやべえぞ。此処は逃げた方が…」
実力者である小銭ですら悪寒を感じガタガタを震えながら水素に警告する。
「お前らは下がって見てろ。この女は俺がやる。」
水素は聞く耳など持たなかった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.519 )
「試しにやってみてくれよ。どんなことでも成功出来るんだろ?」
水素は雨飴の言葉を信用していない。
「そうねぇ。例えば…」
雨飴は太陽を指差し水素、小銭、星屑の3人に太陽がある方向の空を見るように促す。すると次の瞬間、太陽が消滅した。
「太陽を…消しやがった…」
最強のスタンド使いである星屑でさえ震えが止まらなくなる能力者が目の前に現れてしまったのである。
「そして太陽をまた作り出すことも出来る」
雨飴は空に人差し指を向ける。すると先程消滅させた太陽が復活した。
「ねえそこの3人。私の手下になるならその命、助けてあげてもいいわよ。」
雨飴が揺さ振りをかけてくる。この3人は能力者(水素は無能力だが)としての実力は非常に高い。雨飴は3人を手駒にして四天王内での自らの地位を上げたいと考えていた。
「なあ星屑、どうする?俺この女に勝てる気しねえよ。ぐり~んやみんなには悪いけど此処は…」
「黙れ小銭。女の下につくくらいなら俺は死んだ方がマシだ。」
小銭の提案を星屑は即座に却下する。覚悟は出来ているようだ。
「おいそこの自称魔神!俺はそんなんでビビらねえぞ!かかってこいよ!俺は趣味でヒーローをやっている水素だ!ヒーローは悪には屈しねえんだよ!」
水素は前に出て右の拳で胸を叩いて雨飴など恐れていないとアピールした。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.520 )
「交渉決裂ね、残念。じゃあまず貴方から消すことにするわ!」
雨飴は水素を消滅させるように念じる。しかし水素は全く動じない。消滅もしない。
「おいどうしたよ?さっきの太陽みたいに俺を消してみろよ。」
「私の、成功率100%の能力が効いてない!?い、いや…そんな筈は!こうなったら!」
涼しい顔で煽ってくる水素に、雨飴は慌てふためいた。
「これならどう?!」
雨飴は天空に長さ数kmの巨大な弩を出現させて水素に向けて射出した。
「着弾すると王都がヤバいな。」
水素は弩が王都に落ちて被害が出ることを懸念して高い跳躍力で跳び、遥か上空1kmの高さで弩と遭遇してこれをキャッチして握り潰した。水素が大したことはないという表情で地上にほぼ一瞬で戻った。
「まさか、これだけ?」
「貴方、一体なんなのよ!何で私の能力が効かないのよ!」
雨飴は狼狽する。こんな出鱈目な奴だなんて聞いてない。そう言わんばかりである。冷や汗が滲んでいる。
「だから言ったろ。趣味でヒーローをやってる水素ってモンだ。もう終わりなら今度はこっちが行くぜ。」
水素は正面に向かって跳び進み、右の拳を雨飴に叩き込む。雨飴の体は木っ端微塵に砕け散った。
「あーあ。またワンパンで終わっちまったよ。これならゲノンやかっしーの方がやりがいあったぜ。」
雨飴の肉片と血液が飛び散り、見るも無惨な荒喧四天王の姿がそこにはあった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.521 )
「さて、お前達もさっきの騎士みたいに塵に変えてやろう!」
キングクイーンが第三の腕を振り、オルトロス、庭師、アティークの3人を消滅させようと図る。しかし3人は消滅しなかった。
「俺様の第三の腕の能力が発動しない!?」
キングクイーンが初めての出来事に驚愕する。
「なんだか知らんが、お前の特殊能力は俺が封じたぜ。」
キングクイーンの第三の腕の能力にアティークの紅蓮の瞳が反応している。
「そんな筈があるか!ええいもう一度だ!」
キングクイーンが再び第三の腕を振るが、結果は同じだった。
「俺の力は炎だけじゃない。敵に対して発動する能力がある。それは自らや味方に対して直接ダメージを与える目的、防御する目的、回復する目的以外の技や能力を全て強制的に封じる力だ。お前の第三の腕で出来ることはこれで限定された。」
アティークの紅蓮の瞳がメラメラと燃え、爛々と光を放っている。瞳にはアフラ・マズダーと契約した証の紋章が刻まれている。
「なんだその出鱈目な能力は…お前は…」
「俺はグリーン王国騎士団統括騎士団長兼近衛統括隊長兼グリーンバレー所司・大将軍アティークだ。お前を倒す男の名だからよく覚えておけ。」
アティークが長々と自らの名前を役職名と共に名乗る。
「そうかよ!だが攻撃技は封じられてないってことだよなあ!」
キングクイーンは第三の腕を振ってアティークに元素破壊の能力を持つ極太のビームを発射する。
「俺の出番だあ!」
アティークの前に出たのはオルトロスだった。元素破壊ビームをベクトル操作の能力で反射し、キングクイーンに浴びせた。
「行け、グロリアスドラゴン!」
隣に居た庭師が右手の紋章を光り輝かせてグロリアスドラゴンを召喚する。
「奴を魂ごと焼き尽くせ!ダークブレス!」
庭師が攻撃を命じると、グロリアスドラゴンは口腔から闇のエネルギーを凝縮した魔力砲をキングクイーン目掛けて吐き出した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.522 )
「能力が限定されたからなんだってんだ?俺様が誰よりも強力な攻撃と防御が出来ることに変わりはない!」
キングクイーンはバリアを張ってオルトロスのベクトル反射とグロリアスドラゴンのダークブレスを完全に防いでいた。
「この攻撃で王都を消し飛ばしてやろうか?あぁん!?」
「させねえよ!神よ、我らを神の世界に導きたまえ!」
アティークが神に祈りを捧げると、4人は光に満ちた世界にワープした。
「此処は何処だ?」
「我が善の神の世界の一部だ。見ての通り光しかないが、此処でなら街や人の被害を気にせず戦える!」
キングクイーンの質問に答えたアティークは剣先から炎の魔力砲を放射する。
「燃えろ燃えろォォォ!」
オルトロスが酸素を炎に送り込んで威力を上昇させる。
「グロリアスドラゴン、ダークホーリーブレス!」
庭師の指示によりグロリアスドラゴンが闇と光の入り混じったブレスを吐き出す。
「無駄なんだよ!」
キングクイーンが第三の腕を振ってそれらの攻撃を打ち消すと、巨大な青光の球を作り出した。
「宇宙全てを消し飛ばす威力の攻撃をその身に受けるがいい!」
光の球は破裂し、光の世界でビッグバンに匹敵する光の大爆発が発生した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.523 )
「この神の右席の力を手に入れた荒喧四天王・キングクイーン様に逆おうなんざ100000000年はええんだよ!」
光しかこの世界で大爆発が起きようとも世界が破壊されることはない。しかし妙だとキングクイーンは思った。この手の能力は使用者を倒せば解除される筈である。
「!?」
キングクイーンは爆発が収まり正面を見て驚愕する。3人とも生きているのだ。
「お前達、あの規模の攻撃を食らってなんで生きてやがる!」
「この世界は神の加護を得た俺が築きし神の世界。神が俺を生かすのは当然のことだ。まあこの世界は一回につき制限時間があるがな。」
アティークの神の加護でオルトロスと庭師も守られていた。
「その腕を斬り捨ててやる。」
アティークが剣から伸びる巨大な炎の刃を作り出してキングクイーンの第三の腕に斬り付ける。
「無駄だって分かんねえのか?あぁん!?」
第三の腕を振り、バリアを作り出したキングクイーンはアティークの攻撃から身を守った。
「その腕が目障りなんだよォ!」
オルトロスは超高速でキングクイーンに飛び掛かった。
「いいのか?攻撃する為にベクトル変換するということは反射ベクトルは使用出来ないということだ。」
キングクイーンが核エネルギーを凝縮した光の球をオルトロスに飛ばすが、それはオルトロスに反射されてしまった。
「フェイントだよバーカァ!さっさと消え失せろ!」
右腕を振る前に反射された核エネルギーの攻撃をキングクイーンは受けてしまった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.524 )
核爆発が巻き起こる。それが収まり、3人はキングクイーンの姿を確認した。
「俺様の第三の腕があああああ!!」
キングクイーンの第三の腕は肘から下が消滅していた。
「これじゃ半分程の効力しか発揮しねえじゃねえか!クソがあああ!」
キングクイーンは半分となった第三の腕を振って怒りに任せて攻撃を仕掛ける。キングクイーンの第三の腕から光線が射出され、3人の心臓を貫いた。
「最初からベクトル反射出来ない攻撃を撃つんだったぜ…そういや再生は可能だったな。」
第三の腕を振り、第三の腕を完全に再生させた。
「これで光の世界は…ってあれ?おい!」
使用者であるアティークの心臓を貫いたのに元の世界に戻れないとキングクイーンは気づく。
「神は善行を積む我らを救って下さるのだ。そして…」
アティークが剣先に向けて念じることでキングクイーンの第三の腕に突如爆炎が発火し、一瞬で焼き尽くして灰にした。
「神の世界に足を踏み入れさせていただき、許された時間の終わりを迎えた時、神は我らに最大の加護を与えて下さる。故に俺は悪を成してはならず、善行を積み続けねばならない。」
光の世界から4人は元の世界へと戻った。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.525 )
「俺様の…俺様の腕があああああ!」
第三の腕を消されたキングクイーンが発狂する。両手を頭に当てて絶叫する。
「やれ、グロリアスドラゴン!闇の光で奴を魂ごと焼き尽くせ!」
庭師のグロリアスドラゴンが口から闇の光を吐いてキングクイーンの全身を焼き尽くした。キングクイーンは跡形も無く消滅した。
「舞い戻れグロリアスドラゴン!」
グロリアスドラゴンは光となり庭師の右手に収まった。紋章が激しい光を放ってグロリアスドラゴンが再び封印されたことを告げる。
「やったな。あんなチート野郎に勝てるわけないと諦めてたが、何とかなるもんだな。」
「俺は最初から勝てると思ってたぞ。グロリアス苦笑」
「やっと存分に力を発揮出来た。それだけの敵にやっと出会えた。もう満足だ。」
強敵を見事倒した3人は無事に陣所に帰還した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.526 )
「私の戦闘力は530000です。
ですがもちろんフルパワーであなたがたと戦う気はありませんからご心配なく… 」
赤牡丹、Wあ、マロンが担当する西地区に現れた荒喧四天王は、まず容姿からして人間離れしていた。
小柄な体躯、短い円錐型の黒い2本の角、紫色の頭部、全身は白色に近い色で宇宙人と思えるような容姿をしていた。
「戦闘力…そのセリフ…その容姿…成る程ドラ◯ンボールか。」
「その通り。私は荒喧四天王の1人で幽霊と言います。宇宙では地上げ屋をやっております。」
マロンの指摘に荒喧四天王の幽霊が名乗りながら答えた。
「こいつから満ちるエネルギー、気…こいつはヤバそうな敵だぜ…かっしーよりヤバいかもしれない…」
赤牡丹も肌で恐怖を覚えた。ドラ◯ンボールと言えば惑星を破壊するような戦闘力を持つ連中が普通にゴロゴロ登場する作品である。
「隠密さん、マロンさん。時間を稼いでもらえますか?俺は積み技を重ねて自身を強化します。」
Wあは物怖じせずに冷静だった。相手がどんなに強かろうが倒さなくてはならないのである。
「分かったが、なるべく早くお願いしますよ。あんな化け物相手にどのくらいもつか分からない。」
「行こうぜ隠密。怖いけど負けてられないからな。」
恐怖を覚えながらも隠密とマロンは真っ直ぐ幽霊の目を見ながら前に出た。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.527 )
「来い、我がジン・アシュタロス!」
マロンが腰に帯びている刀を抜き、蛇のような髪と鱗、ドラゴンのような鋭い爪を持つ男性の姿を持つジン・アシュタロスを呼び出す。
「全身魔装!」
刀は刀身の端が黒い細身で両刃の長剣になり、ジンと同様髪の色が赤からオレンジ色の蛇の鱗のような長髪になって全身がオレンジ色の鱗に覆われ白い炎の竜を纏った姿になる。
「行くぜドラ◯ンボールのフリー◯こと荒喧四天王幽霊!俺がお前を倒す!」
強力な全身魔装をしたことにより気が大きくなったマロンは時間稼ぎのことなど忘れて幽霊に突っ込んで行く。
「実力差を量りもせずに突っ込む…それは勇猛ではなく蛮勇というのだよ!デスビーム!」
幽霊が人差し指の先から光線をマロンに向けて放つ。
「うおおおおおおお!」
全く本気を出していない幽霊のデスビームは全身魔装したマロンの刀の爆炎でかろうじて斬り裂かれた。
「特攻・ヴァルカンショック・リトルボーイ!」
テレポートで幽霊の背後に回った赤牡丹が全身に炎を纏って幽霊に突進攻撃を繰り出す。赤牡丹の突進攻撃により前に押し出された幽霊は正面のマロンからの爆炎を纏った斬撃を受けた。幽霊の体を炎が包み込むが、すぐに炎は振り払われた。幽霊は無傷であった。
「やれやれ…。ナメッ◯星…ではなく荒喧が誇るこの幽霊をその程度の攻撃で倒せると思ってるのかね?もう少し楽しませてくれたまえよ!」
幽霊はエネルギーを解放して自分の周囲をマロンや赤牡丹、Wあ諸共吹き飛ばす。
「すまんWあさん!時間稼ぎは難しそうだ!」
吹き飛ばされて破壊された建造物に埋もれたWあにマロンが詫びる。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.528 )
「いや、たった今積み技を積み終わりました。今の俺は全てのステータスが6段階上昇している状態です。」
Wあはメガシンカも済ませていた。しかし前回とメガシンカ時の形状が変わっている。というより、メガシンカエネルギーを取り込んだだけで姿は全く変わっていない。
「Wあさんメガシンカの格好変わってないか?」
「だってあの格好ダサいですしね。」
赤牡丹の疑問に即座に答える。
「この私を前にしてペラペラ喋ってる暇があるのかね?デスボール!」
幽霊が3人に向けて黒い気を球状に押し固めたスパークを纏った球を放つ。
「白閃煉獄竜翔(アシュトル・インケラード)!」
それに対してマロンが極大魔法。巨大な竜の形状の白い炎を放つ。
「炎神の閃光(アグニッシュ・アーカーシャ)!」
赤牡丹は炎のビームを掌から放って応戦する。
「これがCを6段階上昇させた俺が放つ破壊光線だ!」
Wあは威力を上昇させた強力な破壊光線を掌から放つ。
3人がそれぞれ持ち得る強力な遠距離攻撃を繰り出すが、幽霊が放ったデスボールと衝突すると一瞬で掻き消されて3人はデスボールの着弾による爆発を浴びてしまった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.529 )
「ゲホッゲホッ!2人とも大丈夫ですか!?」
技・まもるによってかろうじて幽霊の攻撃から身を守ったWあがマロンと赤牡丹を探す。
「俺は…何とか生きてます…Wあさんの技のおかげです。」
マロンが瓦礫の山から必死に這い出る。
「あいつ、強過ぎる!まるで歯が立たねえ!」
血塗れになりながら赤牡丹も何とか瓦礫の山から脱出した。
「それが君達の全力かね?私はまだ戦闘力10000程でしか戦っていないのだがね。期待外れもいいところだよ。」
「ブラックホールダストエンジェル!」
赤牡丹が超能力のフラグメントを使ってブラックホールを作り出し幽霊を吸収しようと試みるも、幽霊の気によりすぐにブラックホールは振り払われた。
「さて、君達にも飽きたし早いけどそろそろ死んでもらうとしよう。」
幽霊は右手の掌を天に掲げて大きなエネルギー弾を作り、それを3人目掛けて投げ飛ばした。
「冷凍の矢(フリージングアロー)!」
突如マロン、Wあ、赤牡丹の3人の後ろから氷の矢がエネルギー弾目掛けて飛んで行った。
「白閃煉獄竜翔(アシュトル・インケラード)!」
「第四波動!」
「Wあのりゅうせいぐんはつよい!」
マロンが先程と同じ極大魔法を、赤牡丹は炎熱の波動砲を、Wあは異空間から無数の隕石を飛ばして冷凍の矢と合わさり、幽霊のエネルギー弾と相殺された。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.530 )
「この私のエネルギー弾を相殺したか。突然現れた君は何者かね?」
「俺は元ガルガイド王国騎士・エイジス・リブレッシャーこと氷河期だ。」
幽霊の問い掛けに答えるその男の声も容姿も、3人は知っていた。
「氷河期、助太刀はありがたいが何で此処に居るんだ?」
「ガルドリア城での戦闘の後、俺は旧王都から離れた街に住居を構えて暮らしながら自分の生き方を見つめ直してた。ガルガイド王国が滅びてその領地がグリーン王国領になってからというもの、人々に笑顔が増えたと感じた。彼らの笑顔の為に行われる政治を敷くこのグリーン王国こそ、守る価値のある国だと気付いた。」
「だがもう俺は国の為に戦うんじゃない、人の為に戦う戦士だ!」
マロンの問いにエイジスが胸を張って答えた。
「ベラベラ喋ってるんじゃないよ!デスビーム!」
幽霊が人差し指の先からビームを繰り出してくる。エイジスはそれに対して冷却砲を放つ。
「特殊磁界(マグネティックワールド):幽霊!」
「なんだ…!?私の体が…!」
赤牡丹のフラグメントが発動し、幽霊の体を強制的に自らが居る方へと引き寄せる。その途中で幽霊は自らが放ったデスビームとエイジスの冷却砲に衝突してまともに浴びてしまう。
「白閃煉獄竜翔(アシュトル・インケラード)!」
対象を焼き尽くす白い炎をマロンが繰り出し、念じるまで消えないその炎を幽霊は浴びながら引き寄せられれる。
「拘り鉢巻持ちフレアドライブ!」
Wあが炎を纏い、赤牡丹による引力を利用して幽霊に突進をかますと、幽霊は吹っ飛んだ。
「輝く流星の矢(スターライトアロー)」
エイジスが無数の光の矢を吹っ飛んだ幽霊に対して追い討ちをかけるように降らせる。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.531 )
「でんじは!おにび!どくどく!あやしいひかり!」
幽霊がエイジスの攻撃を受けている間にWあが状態異常技を叩き込む。
「ぐわああああああ!!」
4人の一斉攻撃を受けた幽霊は全身に光の矢を浴び、大火傷を負い、消えない炎に焼かれ、痺れて動きが鈍くなった上にジワジワと毒のダメージを受け始め、更に混乱して自分で自分をデスビームで攻撃し始めた。
「畳み掛けてやる!無想・樹海浸殺!」
エイジスが地面を両手で叩くと無数の蔦や枝が次々と生えて幽霊を取り囲み、そこから生える無数の鋭い枝が幽霊の全身を貫いた。
「あがああああああああああ!」
幽霊の絶叫が西地区に木霊する。枝や蔦を伝い幽霊の血が溢れるように流れ出て血の川を形成していく。
「倒したか。」
マロンがそう呟いた矢先、枝や蔦は幽霊が放つ気によって振り払われた。
「この私をここまでイラつかせるとはやりますね!ではこちらは第二形態となりましょう!」
幽霊の身長が倍程になり、角が牛のように伸び曲がった。これが幽霊の第二形態である。
「毒や火傷のダメージが体力の限界に達する前に勝負をつける!バニシングブラスター!」
幽霊の掌からエネルギー波が射出される。
「冷却砲!」
「拘り眼鏡持ち破壊光線!」
エイジスとWあが応戦するが2人の攻撃は一瞬で掻き消される。
「女神の盾(シールド・オブ・イージス)」
赤牡丹のフラグメントの能力で何とかエネルギー波を防ぎ切る。
「氷獣結晶陣(ガルフォル・キレスタール)!」
ブァレフォールで全身魔装をしたマロンがその能力で幽霊に気づかれない内に背後に回って掌の目から魔法を放ち、幽霊を氷の中に閉じ込めた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.532 )
「はあああああああ!」
氷を突き破り、幽霊が這い出てくる。
「俺の極大魔法が…!」
狼狽するマロンを幽霊のエネルギー波が呑み込む。
「マロンンンンンンン!」
「人の心配をしている場合か?スーパーノヴァ!」
エネルギーを両手の掌に集めて数百メートルの巨大な光の球を作り出して赤牡丹、Wあ、エイジスに投げつける。
「女神の盾(シールド・オブ・イージス)!」
「まもる!」
「氷の壁(ジェロ・ムーロ)」
3人はそれぞれ防御技を繰り出して防ごうと試みるが簡単に突き破られてしまう。
「エイジストラッシュ」
残像を残して幽霊の背後に居るエイジスが高速剣撃を繰り出す。
「効かんよそんな攻撃は!」
幽霊の拳がエイジスの腹部を捉えて彼方まで吹っ飛ばした。
「このオレに勝とうなど530000年早いんじゃないのかね?」
第二形態に変身して一人称も変わった幽霊が悪意の笑みを浮かべて4人を嘲笑した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.533 )
「絶葬鎌(ベリオル・ゴルドレーザ)!」
エネルギー波で吹き飛ばされた筈のマロンが左肩の金属器から魔法を発動した。
「貴様何故生きている?いや、それよりも私の右腕が動かない!」
「今のは感覚を刈り取る魔法だからな。お前は2度とその右腕を動かすことは出来ない。因みにさっきのエネルギー波はブァレフォールの能力で回避したんだ。」
「!」
幽霊は更にWあから受けた毒や火傷のダメージが重くのしかかっていることを実感する。
「おのれぇぇぇぇぇ!」
自らの死期を悟った幽霊は最後の足掻きとばかりに左手だけで気を集めてエネルギー波を繰り出そうと予備動作に入る。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.534 )
「絶葬鎌(ベリオル・ゴルドレーザ)!」
エネルギー波で吹き飛ばされた筈のマロンが左肩の金属器から魔法を発動した。
「貴様何故生きている?いや、それよりも私の右腕が動かない!」
「今のは感覚を刈り取る魔法だからな。お前は2度とその右腕を動かすことは出来ない。因みにさっきのエネルギー波はブァレフォールの能力で回避したんだ。」
「!」
幽霊は更にWあから受けた毒や火傷のダメージが重くのしかかっていることを実感する。
「おのれぇぇぇぇぇ!」
自らの死期を悟った幽霊は最後の足掻きとばかりに左手だけで気を集めてエネルギー波を繰り出そうと予備動作に入る。
「アイスブロック・パルチザン」
エイジスが幽霊の頭上から氷の槍で脳天を貫いた。幽霊は声も上げずに倒れた。即死だった。
「一回なら俺は死ぬ攻撃からも生還出来るからな。」
エイジスは口を開ける筈もない幽霊に対してそう言った。
「俺達も…何とか生きてますよ…。」
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.535 )
「何とか耐え切った。命あっての物種だからな。」
Wあと赤牡丹もボロボロの状態ではあるが何とか幽霊のエネルギー波を耐え切り生還していた。
「2人とも生きてて良かったぜ!」
マロンがホッと胸を撫で下ろす。
「皆さん、回復の薬を。この地区の警備を続けるにしろボスの所に乗り込むにしろダメージがあるのは喜ばしくないですからね。」
Wあが3人に回復の薬を手渡し、各々が回復する。
「実はさ、俺本当は南地区の増援なんだけど南地区の担当者達が居なかったんだよね。だからこの西地区に来たんだ。」
回復の薬を使用し終えたエイジスが話し出す。
「南地区って直江さんと北条だった筈だぞ?さてはあいつらサボったか?」
赤牡丹が2人の任務怠慢を勘繰る。
「いや、南地区の四天王を既に倒して多分飛行艇に乗り込んだんだろう。ボスを倒す為にな。」
「やっぱそうだよな。俺も加勢に行く!」
マロンの推測にエイジスが同感し、加勢に行く意思を固める。
「俺達は西地区の警護を続けますよ。何があるか分からないですし。後は任せました。」
Wあ達に押されてエイジスは龍に変化し、飛行を続けて飛行艇の入口を見つけ出して乗り込んだ。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.536 )
飛行艇内 最奥部
李信と北条は途中出現した怪人達を楽々と倒し続け、遂に最奥部のボスが控える部屋に辿り着いた。
「こいつがボスか…単眼の宇宙人とは奇妙な容姿だな。」
「早く倒して全部終わらせよう。」
「良く我が四天王を倒して此処まで来たな!」
李信と北条の声に応えるかのように、単眼で青い肌をした特殊な鎧を着込んでいる宇宙人のボスが椅子から立ち上がり口を開いた。
「俺が暗黒盗賊団 荒喧 首領・ヒノ荒らしだ!」
ボスが名乗りを上げる。
「ガイド系列最強組織の代表だった男が二次元世界でも組織のボスってわけか。」
「その通りだ!冥土の土産に俺の姿と強さをその目に焼き付けておけ!」
北条が両眼に万華鏡写輪眼と輪廻写輪眼を発動させる。
「全知全能(ジ・オールマイティ)」
李信が未来改変の能力でヒノ荒らしを瞬殺しようと試みる。が、全く通用していない。
「何故だ…?俺の最強の能力が…」
「お前ら下等な地球人の能力などが宇宙の覇者たるこの俺に効くとでも思ったか?」
涼しい顔でヒノ荒らしは李信の能力を無効化した。
「万象天引!」
北条も輪廻写輪眼に宿る術を発動するが、ヒノ荒らしを強制的に引き寄せるどころか何も起こらない。
「さっきも言ったろう。貴様ら地球の下等生物如きの能力などこのヒノ荒らしには無意味だ!」
ヒノ荒らしが2人に向かってゆっくりと歩き出す。
「天照!」
「大聖弓(ハイリッヒ・ボーゲン)」
北条は輪廻写輪眼から消えない黒い炎を、李信は無数の光の矢を繰り出すがその攻撃の全てが消滅した。
「もう終わりか?地球人共。」
ヒノ荒らしがツカツカと歩きながら2人に迫ろうとしている。
「万象一切灰燼と為せ 流刃若火」
「卍解 残火の太刀」
李信が斬魄刀を抜刀して一気に卍解まで解放する。
「完成体須佐能乎!そして尾獣共よ、お前らのチャクラを俺に!」
北条は完成体須佐能乎を召喚し全ての尾獣のチャクラを引き出して須佐能乎と自身を強化する。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.537 )
「残火の太刀 東 旭日刃」
「建御雷神(タケミカヅチ)」
李信は流刃若火の爆炎を刃先に全て押し固めた刃を、北条は須佐能乎の腕で千鳥と天照の炎を融合させた突きをヒノ荒らしに繰り出す。
が、2人の攻撃はヒノ荒らしに素手で簡単に受け止められてしまった。
「!」 「!?」
「なんだこの蚊が止まったような攻撃は。まあ所詮は地球人のレベルか。」
ヒノ荒らしは李信の斬魄刀の解放も北条の須佐能乎や尾獣チャクラも強制的に解除させた。
「な…!」「…ッ!」
「下等生物は大人しく俺に従っていればよいのだ!弱者が俺に楯突くな!」
ヒノ荒らしは2人に両腕を使って鳩尾に拳を叩き込んだ。
「ガハァッ!」「カハッ…!」
2人は吹っ飛ばされ、部屋の隅の壁にめり込んだ。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.538 )
「虚…」
肋骨を折られ、李信は血を吐き息を乱しながら虚閃を放とうとするが近づいて来たヒノ荒らしにその腕を掴まれて手首の骨を粉々に砕かれた。
「グアアアアアアアアア!」
想像を絶する痛みに李信は悲鳴を上げる。
「直江さ…グフッ!」
北条が息も絶え絶えになりながら助けに入ろうとするが、腹部にヒノ荒らしの蹴りを受けて踞る。
「馬鹿が!俺には超速再生があるんだよ!」
超速再生でダメージを全回復した李信がヒノ荒らしに斬りかかるが、刀は片手で受け止められた。ヒノ荒らしは李信の腹部に打撃を叩き込む。
「ガッ…!」
口から血が流れていく。
「選べ地球人共。この俺の手駒となり荒喧の一員になるか、此処で一欠片のDNAも残すことなく消し飛ばされるか。」
ヒノ荒らしは圧倒的な実力差を見せて2人に選択を迫る。
「誰が…てめえなんかの手下に…なるかよ!」
北条が立ち上がろうともがきながら手下になる提案を拒否する。
「そうか。なら此処で2人仲良く消し飛べ。血の一滴すら残させん。」
ヒノ荒らしが体内の潜在エネルギーを2人に放出する構えを見せた。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.539 )
「冷却砲!」
部屋の南西にある出入り口からヒノ荒らしに冷気が押し固められた魔力砲が伸びていく。
「ふんっ!」
しかしヒノ荒らしは片腕でそれを振り払ってしまった。
「エイジス・リブレッシャー推参!」
冷却砲の主はエイジスだった。エイジスは出入り口からコツコツと歩いて入室する。
「また命知らずな下等生物がノコノコと出て来たか。決めたぞ。貴様ら3人仲良く消し飛ばしてやる。」
「氷河期さん…何で此処に…」
北条が死に体で氷河期に声をかけた。
「北条さんに直江氏!?アンタら2人揃ってやられてんのかよ!」
「お前もじきにその2人のようになるんだよ!」
ヒノ荒らしがエイジス目掛けて突っ走ってくる。
「フェンリル」
エイジスは狼の姿になり、咆哮による音圧と口腔から吐き出す冷却砲でヒノ荒らしを攻撃するが全て片腕で振り払われて腹部に強烈な蹴りを入れられた。
「グハァッ!」
エイジスの変身が解除され、エイジスは吐血しながら前のめりに倒れてしまった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.540 )
「3人まとめて死ねぇ!地球の虫けら共ォ!」
ヒノ荒らしにより李信、北条、エイジスの3人がエネルギー爆発により始末されようとしたその時だった。
何者かがヒノ荒らしの胸部に強烈な打撃を叩き込み、ヒノ荒らしが装着している鎧を粉々に粉砕して吹っ飛ばした。3人はハッとなり同時にその者に視線映す。
「地球人にも出来る奴は居るらしいな。貴様は何者だ?」
「趣味でヒーローをやってる水素という者だ。」
ヒノ荒らしの問いに黄色いヒーロースーツ、白いマント、赤い手袋を装着したその男は答えた。
「つか直江にまだらに氷河期!?お前ら大丈夫か!?」
血を吐きながら倒れている3人を発見して水素が驚いた様子を見せる。
「水素、俺達ではこいつに全く歯が立たなかった。だから世界の、地球の未来を…お前に託す…!」
李信はそう言ってそれ以上戦闘に干渉するのを諦めた。他の2人も倒れたまま動ける様子ではなかった。
「水素とか言ったな!俺のこのエネルギーを大幅に封じる鎧を破壊したのも、俺が鎧無しで相手をするのも貴様が初めてだ!貴様となら血湧き肉躍る闘いが出来そうだ!さあ始めるぞ!」
エネルギーを全身に漲らせてヒノ荒らしは自身を強化する。
「ワンパンで終わらないことを祈るぜ!」
水素がヒノ荒らしに急接近して拳を叩き込む。が、ヒノ荒らしは小さく悲鳴を上げながらもその拳を見事耐え切る。
「お前は遣り甲斐がありそうだ!名前を教えろ!」
「俺は暗黒盗賊団 荒喧 首領・ヒノ荒らしだ!勝負だ水素ォォォ!」
エネルギーを纏った拳をヒノ荒らしが水素に打ち出した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.541 )
ヒノ荒らしは水素に対して猛スピードラッシュを両腕で繰り出す。宇宙エネルギーを纏った絶大な威力のラッシュだが水素も両腕を高速で繰り出してラッシュを受け止める。
「会いたかったぞ!貴様のような強者に!」
「お前本当は地球征服より強者との闘いが目的だったんじゃねえのか?」
「そうかもしれんなァ!」
お互い部屋の柱から柱を高速移動しながら拳の応酬を続けた後、ヒノ荒らしが水素の腹部に拳を叩き込んで柱の中心くらいの高さまで突き上げる。水素の体は何本もの柱を破壊しながら突き抜けていく。
更にヒノ荒らしが両足で水素に高速ドロップキックをキメようと突っ込むが水素はそれを素早く回避する。
ヒノ荒らしは尚も水素に連打攻撃を繰り出すので、水素はそれを受け止めながら部屋の天井を突き破って飛行艇の甲板に出た。ヒノ荒らしもその後を追い、2人はそこで向かい合った。
「いい動きだ!流石に強いな!」
ヒノ荒らしは自らの四天王すら軽く凌駕する実力を持つ水素を褒め称えた。
「このヒノ荒らしと互角に戦えるのは貴様が初めてだ!水素ォォォ!」
ヒノ荒らしは胸部にある目玉から全身に漲るエネルギー砲を水素に向けて放出した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.542 )
「体内にある莫大なエネルギーの放出!雑魚がこれに触れれば骨すら残らん!」
半径数kmもある巨大な飛行艇の甲板全域を巻き込むエネルギー爆発が発生し、爆炎と爆風に包まれた。
水素はそれを受けても無傷だった。しかし背後に猛スピードで回ったヒノ荒らしが水素の後頭部に拳を叩き込む。
「手応えあった!どうやら勝敗が見えてきたな!」
しかしヒノ荒らしも一連の水素との応酬で左腕を粉砕されていた。
「過酷な環境の星で生存競争を勝ち抜いてきた俺の種族は宇宙でも随一の自然治癒力を持つ。」
「中でも俺は自然治癒力も身体機能も潜在エネルギーもズバ抜けて優れていた。」
「貴様ら地球人共が死ぬような深傷でも数秒あれば再生が可能!」
「もげた腕もエネルギーを集中させ治癒力を爆発的に高めれば、この通りだ!」
ヒノ荒らしのもげた左腕が再生され元通りになった。
「それに対して貴様はダメージが増すばかり!体力も徐々に減っているように…」
「うるせえ」
ヒノ荒らしが話しているところを水素が遮った。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.543 )
「ペラペラペラペラと!もう終わりなのかよ?闘いは!」
水素は全くダメージなど受けていなかった。険しい表情でヒノ荒らしに更なる闘いを求める。
「いや、まだだ!」
「メテオリックバースト!」
ヒノ荒らしの姿が変化する。全身が淡い桃色に輝き、血管のような青い筋が無数に全身に張り巡らされた姿になる。全身からは今までに無い程の莫大なエネルギーを放っている。
飛躍的に全ての能力を上昇させたヒノ荒らしが水素に急接近して拳を顔面に叩き込む。水素はその衝撃で数百メートルも後方に吹っ飛ばされる。その攻撃は莫大なエネルギーを伴い甲板に爆発を巻き起こしていく。
(体内エネルギーの放出を推進力として生物の限界を超えた速度とパワーを引き出す…!)
ヒノ荒らしの右膝が水素の腹部に強烈な飛び膝蹴りを見舞い、水素は遥か上空、成層圏を越えて月の表面まで吹っ飛ばされた。
(この形態は長くはもたない。奴がこれでくたばったなら良いが、そうでなければ…!)
そんなヒノ荒らしの思惑とは裏腹に、月の表面に体がめり込んだ水素は息を止めながら驚異的な脚力で地球の元の場所に舞い戻る。
「お、行けた!」
水素がしてやったりと言わんばかりの笑顔をヒノ荒らしに見せつける。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.544 )
(この男には 俺の全てをぶつけたくなった!)
「オォォォォォォォォォォ!!」
ヒノ荒らしが全速力で水素目掛けて突っ走り接近、水素に高速連打を繰り出すが水素の反撃の拳を受けて吹っ飛ばされ、体の半分が砕かれる。
「そうだ!それでこそ倒しがいが…」
自然治癒力により再生したヒノ荒らしに水素の更なる攻撃が炸裂する。
「連続普通のパンチ!」
水素の右拳から繰り出された高速の連続パンチがヒノ荒らしの全身を消し飛ばす。が、ヒノ荒らしは更に全身を再生させて今度は跳躍する。
「こうなったら俺の切り札を喰らえ!この星を貴様諸共消し飛ばしてやる!」
ヒノ荒らしの莫大なエネルギーが顔面の単眼に集中する。
「崩星咆哮砲!!」
ヒノ荒らしの単眼から青色に輝く極太の、地球の表面を焼き尽くす威力のエネルギービームが放出された。
「ならこっちも切り札を使うぜ!必殺マジシリーズ…」
「 マ ジ 殴 り 」
水素が全力で右腕の拳をビームに向かって突き出すと、とてつもない威力の余波がビームを二つに切り裂いてヒノ荒らしに命中した。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.545 )
水素のマジ殴りの余波は地球を覆う雲をも掻き分けた。闘いは終わった。
飛行艇の甲板には、体が黒く朽ち横たわっているヒノ荒らしの姿があった。
「この俺が…地球人に敗れた…。」
力無い声でヒノ荒らしが虚空を見つめながら呟いた。
「俺のマジ殴りを受けてまだ息があるとは大した奴だな。やっぱ強いよお前。」
勝者である水素が立ちながらヒノ荒らしを見下ろす。
「お前には余裕があった…。最初から…勝負にすらなっていなかったのだ…この俺がまさか地球人に…」
ヒノ荒らしの体は朽ち果てた。塵となって風に吹かれていった。
「楽しかったぜ、ヒノ荒らし。」
水素はそう言ってその場を後にした。
「そういえばあの3人回収しなきゃ!あーめんどくせ!」
水素はヒノ荒らしに敗れた3人のことを思い出し、急いでボスの部屋に向かっていった。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.546 )
3人を回収し、超速再生能力を持つ李信を除く2人を担いで水素がグリーンバレーの地上北地区に戻ってきていた。
「水素、もう終わったのか?」
水素の帰りを出迎えて一番に口を開いたのは小銭だった。
「ああ、結構強かったぜ。楽しいバトルが出来た。」
「で、お前ら3人は?」
小銭の横に居た星屑が喋り出す。
「荒喧のボス・ヒノ荒らしは俺達の技や能力を一切受け付けなかった。完敗だ。水素が来なければ3人揃って御陀仏だったよ。」
北条が悔しそうな表情で歯軋りしながら答えた。
「俺も数秒でKOされた。あんな出鱈目な奴は初めてだ。」
エイジスも苦々しい表情で呟いた。
「だが流石は水素だ。これで世界の平和は守られた。」
李信はあまり悔しそうではなかった。
「だがまあ氷河期さん、助けに来てくれてありがとう。」
「ああ。」
この世界に来てからずっと啀み合っていた李信とエイジスは和解の握手を交わした。
Re: 「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」( No.547 )
「帰るのか?」
「ああ。俺には旧ガルガイドの土地が合うようだ。」
「そうか。またな。」
「ああ、またいつか。」
闘いが終わり数日後、エイジスは李信に見送られてグリーンバレーの国門を通り抜けて旧ガルガイド領の街へと帰っていった。
「さて、面倒だが曲がりなりにも俺は将軍だ。荒喧に破壊された王都の復興作業の指揮を取らないとな。」
李信はエイジスの姿が見えなくなるとグリーンバレーの中へと戻っていった。王都は騎士や住民達が復興作業に勤しんでいる。
思えばこの世界に来て様々なことがあった。転生して早々捕縛されそうになり、自分の身柄を巡って戦争が勃発し、力を使い時には策を弄して敵を倒していった。全ては自分のこの世界への転生から始まったように思う。
そんな記憶を辿りながら李信は歩く。平和が訪れたグリーンバレーは復興作業に精力的に従事する人々の活気的な声があちこちに響いていた。
「おい直江、サボってないで手伝え!」
横から大声で自分を呼ぶ声がする。星屑の声だ。
「おう!今行く!」
李信は駆け出した。人々の方へ、そして未来に向かって。
この物語は二次元世界に転生した1人の男と、二次元世界で理想の自分を貫く志を胸に秘めたもう1人の男の物語である。
「Re:じゃないけど始めるポケガイ民の二次元生活」
完